【孤独は社会的病】幼少期の生活環境が、高齢期の「孤独」と密接に関わっていることが判明

2022.5.28

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AGLA編集部

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今回は、オーストリアのウィーン経済・経営大学がオープンアクセスの科学雑誌『PLOS ONE』に発表した最新の研究をご紹介しましょう。

「友達が少ない」、「兄弟姉妹がいない」、「親との関係性が良好ではない」、「心身の健康状態が良好ではなかった」、「貧困家庭に育った」など、子供時代の生活環境が好ましいとはいえなかった場合、高齢者になると孤独を感じる割合が高くなることが分かりました。

調査は、ヨーロッパ(※)に住む50歳以上の個人を対象に、健康、社会経済的地位、社会的・家族的ネットワークに関する情報を収集した「Survey on Health, Ageing, and Retirement in Europe (ヨーロッパにおける健康・老化・退職に関する調査・SHARE)」()を用いて行われました。

※調査対象国:オーストリア、ドイツ、スウェーデン、スペイン、イタリア、フランス、デンマーク、ギリシャ、スイス、ベルギー、イスラエル、チェコ共和国、ルクセンブルグ、ポルトガル、スロベニア、エストニア、クロアチア

また、孤独感に関しては「UCLA孤独感尺度(※)」で測定されています。

UCLA孤独感尺度:カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者3人が開発した、孤独感を数値的に測定するツール。

日本語版・UCLA孤独感尺度(合計点が43点以上の場合「孤独」と判定される)
上記リンクから是非、お試し下さい。
50歳以上で孤独を感じる確率は、子どもの頃に仲の良かった友達がほとんどいなかった人は、友達が多かった人に比べて1.24倍高く、子どもの頃に母親との関係が悪かった人は、良好だった人と比べて1.34倍高く、貧困家庭で育った人は、裕福な家庭に育った人と比べて1.21倍高い傾向がありました。
ウィーン経済・経営大学のSophie Guthmuller氏は「予想通り50歳以上では、健康状態と社会的支援が孤独と関連する主な要因であることが分かった。興味深いことに、この研究では、小児期の性格特性と生活環境が、その後の人生における孤独感と有意に関連していることが明らかになっている」と、話します。

Childhood Circumstances and Personality Traits Are Associated With Loneliness in Older Age『Neuro Science News.com』(

私たちは「孤独」について語ったり、明らかにすることを避けて通ることに慣れてしまっています。さも、「孤独」が恥ずかしいこと、情けないこと、後ろめたいことでもあるかのように。
しかし、「孤独」は社会的な病であるのですから、社会の積極的関与、社会的な処方が必要なのです。
コロナ禍によって、ステイホームという名の自粛生活が強いられ、高齢者の社会的孤立は健康問題をともなって、より深刻な問題となっています。
「孤独」を「孤高」と言い換えて、自己肯定する時代は終わりを迎え、「孤独」について、私たち一人一人が真剣に向き合うべき時代がやって来たといえるでしょう。


(文=久保多渓心)

 

参考文献(Original Research)

Loneliness among older adults in Europe: The relative importance of early and later life conditions『PLOS ONE』(

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