【米研究】目の健康が寿命に影響を与えることが判明!〜 概日リズムの活性化が老化予防につながる

2022.6.17

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

ショウジョウバエ

赤い目が特徴的なショウジョウバエ

体長2〜3mmの小さなハエである「ショウジョウバエ(学名:Drosophila、英名:Fruit fly)」は、今や様々な分野の研究者の間で欠かせない実験動物となっています。

その理由は、"ホメオボックス遺伝子"といわれるヒトと共通するDNA配列を持っているほか、ヒトの病気に関連する遺伝子の70%は、ショウジョウバエにもあるからです。

ショウジョウバエで起こることは、ヒトでも起こり得ます。ショウジョウバエによる遺伝子研究で得られた成果は、ヒトにも応用が可能なのです。

今回は、ショウジョウバエを用いて行われた研究の一つをご紹介しましょう。

 

「眼」は「寿命」に影響を与える

老化研究を専門に扱うバック研究所(The Buck Institute)が、オープンアクセスの学術雑誌『ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)』において、ショウジョウバエの食事、概日リズム、目の健康、寿命に関連性があることを発見したと発表しました。

バック研究所は既に以前の研究で、眼の疾患と健康不良との間に関連性があることを、ヒトによる実験で確認しています。

バック研究所のPankaj Kapahi博士は

「私たちの研究では、それは(目の疾患と健康不良は)相関関係以上のものであると主張しています。目の機能障害は、実際には他の組織の問題を引き起こす可能性があります」と話します。

An Intriguing Connection Between Diet, Eye Health, and Lifespan 『Medical Xpress』

バック研究所は、絶食とカロリー制限が体の多くの機能を改善できることを長年実証してきた実績があります。

絶食は視力を改善するだけでなく、眼は実際に寿命に影響を与える役割を果たしていることを私たちの研究は示しています」

An Intriguing Connection Between Diet, Eye Health, and Lifespan 『Medical Xpress』

ショウジョウバエの目そのものが、その寿命に直接影響を与えているのだといいます。

 

生存するために不可欠な「概日リズム」

細胞の老化を逆転させる治療法の研究を行う、Fountain TherapeuticsのBrian Hodge博士によれば、この「目の疾患」と「健康不良」との関係は、すべての生物に存在する「概日リズム(※)」、いわゆる体内時計によって説明できるといいます。

概日リズム(サーカディアンリズム):地球の自転周期に関連し、約24時間周期で繰り返される生物学的リズムのこと。「体内時計」ともいう。
生物がもつ概日リズムというシステムは、光や温度などの日内変動に生理機能を適応させるためのものであり、これは環境要因によるストレスに対しても同様に働きます。
自らの生命を明日に繋げるため、死や病から身を守るための防御システムなのです。

2016年、前述のKapahi博士の所属する研究所は、制限食のショウジョウバエは寿命を伸ばすだけでなく、その概日リズムにも有意な変化をもたらすことを発見しています。

 

絶食が眼の遺伝子を活性化させた!

後にバック研究所に加わったHodge博士は、食事の変化によって概日リズムの機能を高めるプロセスが変化するのか、変化するとすれば、それが寿命を長くすることに、どのように影響するのかを解明したいと考えます。

実験では、無制限の食餌を与えたショウジョウバエと、その10%の食餌しか与えられていないショウジョウバエを比較したとき、どの遺伝子が概日周期で振動するかが試されました。

この実験では、食事制限によって最も活性化される律動的な遺伝子が、眼の網膜の光受容部であることを発見しています。

この結果に伴い、ショウジョウバエの生育環境を一定の暗さに保つと寿命が伸びるか、バイオインフォマティクス(bioinformatics:BI)を用いて、眼の遺伝子が寿命に影響するかの実験が重ねて行われましたが、どれも当初の疑問を証明する結果となりました。

バイオインフォマティクス:ゲノム(遺伝子・DNA)をコンピュータにより数値化、及びデータ解析し、医療に役立てる技術のこと。

 

概日リズムを活性化させよう!

眼球は頭部に収納されていながら、外部に露出している唯一の部位であり、その免疫防御機能はとても活発に働いています。

外部にさらされているため、炎症を起こすリスクも高く、それが長時間にわたると慢性疾患を引き起こしたり、悪化したりする可能性があるといいます。また、光が眼の光受容体変性を起こすこともあるのです。

これまでも「明晰夢」に関するコラムでも、再三にわたって「睡眠の質」の大事さを述べてきました。

深夜にパソコンやスマホの画面を凝視するという行為は、睡眠の質を低下させるばかりか、人間の生存のために必要な体内時計を狂わせ、体全体の健康や、脳機能に多大な悪影響を与えかねないということが、この実験の結果からも分かります。

ショウジョウバエはエネルギーの大部分を眼に使いますが、人間はそうではありません。

ですから、単純にショウジョウバエによる研究結果をヒトに当てはめることは出来ませんが、概日リズムを活性化させることで、老化を遅らせることが可能となったり、または視力や眼の疾患の改善にも繋がる余地があり、この先のさらなる研究に期待が持てます。

 

まとめ

  • 絶食は視力を改善する可能性がある
  • 眼は寿命に影響を与える役割を果たしている
  • ショウジョウバエの生育環境を一定の暗さに保つと寿命が伸びた
  • 眼の遺伝子が寿命に影響を与えることが判明した

 

参考文献

Dietary restriction and the transcription factor clockdelay eye aging to extend lifespan in Drosophila Melanogaster『Nature Communications』

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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