2022.7.31
【米研究】イチゴが将来のアルツハイマー病のリスクから脳を守ってくれる!

米国・イリノイ州シカゴにある私立大学、ラッシュ大学(Rush University)が興味深い研究結果を医学雑誌『Journal of Alzheimer's Disease』に寄せています。
皆さんは、イチゴはお好きでしょうか?
冬から春にかけて市場に流通するイチゴの本来の旬は春から初夏にかけて。
レモンやキウイに次ぐビタミンC豊富で、風邪予防や美肌効果も期待出来る栄養価の高い果物です。
ケーキ、パフェ、フルーツサンドなど様々なスイーツを彩るイチゴが、アルツハイマー病から脳を守る可能性があるかもしれないことが発見されたのです。
ペラルゴニジンが神経原線維変化を減少させる
ラッシュ大学の研究者らは、イチゴに含まれるペラルゴニジンと呼ばれる生物活性化合物が、脳内の神経原線維変化(※)の減少と関連している可能性があることを発見しました。
※神経原線維変化:アルツハイマー病患者の脳の神経細胞にみられるもので、リン酸化されたタウというタンパク質が神経細胞内に繊維状に蓄積した状態。
神経原線維変化はアルツハイマー病の特徴の1つで、脳に蓄積したタウの異常な変化によって引き起こされます。
「ペラルゴニジンの抗炎症特性は、サイトカイン(※)産生を低下させる可能性のある神経炎症全体を減少させる可能性があると考えています」 と、本研究の著者であり、ラッシュ大学医療センター・ラッシュアルツハイマー病センターの准教授で神経病理学者のDr.Julie Schneider氏は話します。
アルツハイマー病は、アミロイドβと呼ばれるタンパク質の断片が脳内にプラークとして蓄積することによって引き起こされると考えられています。この研究で得られたデータは、ペラルゴニジンが脳をアルツハイマー病の病理発生から保護する可能性を示唆しています。
「記憶と老化プロジェクト」のデータを元にした研究
ラッシュ大学の研究者らは、1997年に開始された「ラッシュ・アルツハイマー病センター(Rush Alzheimer's Disease Center:RIDC)」による 疫学研究「記憶と老化プロジェクト(Rush Memory and Aging Project:MAP)」による継続中の長期研究から得たデータに注目しました。
既に死亡している575人(平均死亡年齢91.3歳)の脳解剖データ、生前の追跡期間中に得られた食事情報などが元となっています。
被験者のうち、合計452人がアポリポタンパク質E4(APOE4)の非キャリアであり、APOE4を有するのは120人でした。アポリポタンパク質E4(APOE4)は、アルツハイマー病の最も主要な危険因子として知られています。
被験者は死亡前の約20年間の追跡調査中、標準化された神経病理学的評価のための食物摂取頻度質問票を用いて食事について評価されました。
研究の過程で、各被験者は「エピソード記憶」「作業記憶」「意味記憶」「視空間認知」「知覚速度」 の、5つの領域の認知能力について毎年標準化された検査を受けました。
「記憶と老化プロジェクト(MAP)」は、イリノイ州北部の40以上の退職者コミュニティと高齢者公営住宅の居住者であった65歳以上の人々を含みます。
登録した被験者のほとんどは認知症のない白人であり、全被験者は生存中に毎年臨床評価を受け、死亡後に脳の病理解剖を受けることに同意しました。
教育、APOE4の状態、ビタミンE、ビタミンCなど、記憶力や思考力に影響を与える可能性のある他の要因を調整したあとも、結果は同じで、ベースライン時に認知症や軽度認知障害のない被験者の方が関連性が強い傾向にありました。
まだまだ、サンプル数の少ない観察研究に過ぎませんが、ペラゴニジンを多く含むイチゴなどが、脳の健康に寄与する可能性があることは、65歳以上の高齢者の認知症有病率が16.7%(602万人)、六人に1人が認知症という時代を迎えている、私たち日本人にも希望となるはずです。
スイーツの食べ過ぎは禁物ですが、認知症予防だと思えばイチゴをたくさん食べることも許される?
(文=久保多渓心)
News Source
Strawberries may fend off Alzheimer's『Medical Xpress』
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