2022.9.23
【BMIからW/H比へ】健康的な体型の新しい尺度!「W/H比(ウエスト・ヒップ比)」で早期死亡のリスクを予測可能なことが判明!

BMI
BMI(ボディマス指数・body mass index)は、「体重(kg)÷ 身長(m)の2乗」で算出することのできる値です。
肥満度を表す国際的な体格指標ですが、肥満の判定基準はそれぞれの国で異なります。
肥満は糖尿病や高血圧、脂質異常症、脳血管障害などの危険因子となり、BMIが22である場合を最も病気になりにくい標準体重であるとしています。
W/H比
このように肥満の評価を簡単に行えることから世界で普及したBMI。
しかし、このBMIよりも早期死亡をより正確に予測出来るのが、「W/H比(ウエスト・ヒップ比)」であることが、スウェーデンのストックホルムで開催された欧州糖尿病学会 (European Association for the Study of Diabetes:EASD) の年次総会 (9月19~23日)で発表されました。
W/H比は、ウエスト周囲径をヒップ周囲径で割った値のことです。
W/H比が大きければ、腹部に脂肪が蓄積した「りんご型肥満(内臓脂肪型肥満)」、逆にW/H比が小さければ、下半身に脂肪が蓄積した「洋ナシ型肥満(皮下脂肪型肥満)」となります。
洋ナシ型肥満 男性:1.0未満, 女性:0.9未満
皮下脂肪の少ない非肥満者では、このW/H比が相対比であるという理由から、体型を表す指標としては適切ではないとして、これまであまり使われて来ませんでした。
UKバイオバンクのデータを調査
私たちは、W/H比、または体脂肪量指数 (fat mass index:FMI) が、様々な脂肪分布の死亡率をより確実に予測するかどうかを調べたかったのです。
Waist-to-hip ratio better predicts early death than BMI and provides superior measure of healthy weight, study finds『Medical Xpress』
と、アイルランドのコークにあるユニバーシティ・カレッジ・コーク医学部の医学生、Irfan Khan氏は言います。
研究者たちはまず、高レベルの脂肪 (肥満) が実際に死亡率の増加を引き起こすのか、あるいは単に相関しているだけなのかを調べました。
UKバイオバンク(※)の参加者のうち、体重増加や肥満のリスクを高めることが知られている肥満遺伝子(※)を持っている人のデータを分析したところ、脂肪のレベルが高いと(単に相関しているだけでなく)実際に死亡率が高くなることが示されました。
(※)肥満遺伝子:エネルギーが消費されにくい、脂肪が燃焼されにくいなどの特徴をもつ。肥満遺伝子をもつ人では基礎代謝が100〜200Kcal低い。
研究者たちは、肥満度の測定値 (BMI、W/H比、FMIに関連する遺伝子の情報) を応用し、UKバイオバンク研究の一環として、死亡まで健康状態が追跡調査されていた白人男女25,297人のデータを分析しました。
年齢、性別、遺伝的祖先をマッチさせた同じ研究の対照25,297人と比較しました(参加者の平均年齢は61.6歳で、59.3%は男性)。
W/H比が高いほど早期死亡のリスクが上昇
これは、W/H比とあらゆる原因による死亡との関係が直線的に増加することを示しており、早期死亡のリスクはW/H比が最も低い患者で最も低く、その後W/H比の増加に伴って着実に増加しました。
これとは異なり、BMIとFMIは全ての原因の死亡とJカーブ(※)の関係を示し、著しく高い、または低いBMI・FMIの人は、中等度のBMIまたはFMIの人と比較して死亡のリスクが増加していました。
W/H比は、BMIまたはFMIよりも全原因死亡率と強く関連しました。
例えば、W/H比が1単位上昇するごとに、BMIまたはFMIが1単位上昇する場合のほぼ2倍、早期死亡のリスクが上昇したのです。
健康的な体型の新しい尺度「W/H比」
W/H比と、全原因死亡率の間の関連は、女性よりも男性で強い傾向にありました。
BMIやFMIとは異なり、W/H比と総死亡率の間の関係は、異なる脂肪分布の間で一致しました。
Khan氏は、こう話します。
しかしW/H比は、内臓脂肪を含む腹部脂肪のレベルをよりよく反映しており、内臓脂肪は体の奥深くにある臓器を包み込み、2型糖尿病や心臓病などのさまざまな病気のリスクを高めます。
W/H比が低ければ低いほど、死亡リスクは低くなるのです。
Waist-to-hip ratio better predicts early death than BMI and provides superior measure of healthy weight, study finds『Medical Xpress』
Khan氏はさらに、研究対象の集団に関わらず、W/H比が低い方が良いことを示唆している、と付け加えています。
研究者らは、分析には遺伝的に決定されたW/H比を用いましたが、その知見は従来のW/H比の定義にも同様に当てはまると述べており、健康的な体型の簡単な尺度として、BMIに代えてW/H比を用いるべきであると結論付けています。
健康的な体型をより正確に測定することは、2型糖尿病、心疾患、一部のがん、その他多くの疾患によって引き起こされる健康障害や死亡に大きな違いをもたらす可能性があります。
(文=久保多渓心)
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