【アイルランド研究】発酵食品と食物繊維を食べると、ストレスが低減する!?

2022.10.31

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

これまで、AGLAでは「登山・ハイキング」「眼への電気刺激」「ハグ」「鳥の姿を見たり、さえずりを聞く」など様々なストレス低減法をご紹介してまいりました。

分子精神医学分野を中心とする科学ジャーナル『Molecular Psychiatry』誌に掲載された最新の研究によると、4週間の間、毎日、発酵食品と食物繊維を多く摂取すると、自覚的なストレスレベルが低下することが分かりました。

食事がメンタルヘルスに及ぼす影響を支えるメカニズムは、まだ完全には解明されていませんが、ひとつの可能性として示唆されるのは、脳とマイクロバイオーム※(腸内細菌叢) の関係です。

これは昨今、"腸は第2の脳" であるとする「脳腸相関」として知られている考え方で、脳と腸が常に相互に連絡を取り合って、消化や食欲などの体の基本的な機能を可能にし、脳の感情中枢や認知中枢は、腸と密接につながっているというものです。

これまでの研究では、ストレスや行動もマイクロバイオームと関連していることが示されていますが、食事の変更 (ひいてはマイクロバイオーム) がストレスレベルに明確な影響を与えるかどうかは、これまで不明でした。

(※)マイクロバイオーム(微生物叢):ヒトを含む生物や、環境中に存在する微生物の集合体のこと。消化管、皮膚、口腔、鼻腔などに、約1000種、数十〜数百兆個の微生物が生息している。重さでは1〜2kgにも及ぶ。常在菌とも呼ばれる。



食事がストレス低減に影響するのか?

食事の変更や、マイクロバイオームがストレスレベルにどのような影響を与え得るかを検証するために、2018年2月から2020年11月までの間に、アイルランド・コーク地域の住民、18歳から59歳の比較的、低食物繊維食の(尚且つ健康な)成人の男女45人が研究のために集められました。

参加者は、介入群と対照群のいずれかに無作為に分けられ(2つの群はさらに性別で分けられています)、4週間それぞれに割り当てられた食生活を守るように指示されました。

この指示された食生活を守る以外に、プロバイオティクス(※)や、その他の栄養補助食品の摂取を控え、4週間の研究実施期間を通して一貫した身体活動を行うように参加者に指示が出されています。

重大な急性疾患、慢性疾患のある人や、薬物を服用中の人、ヴィーガン、喫煙者、抗生物質を服用している人などは、この研究への参加資格がありませんでした。

(※)プロバイオティクス:抗生物質(アンチバイオティクス)に対比する言葉で、共生を意味する「プロバイオシス(probiosis)」を語源とする。イギリスの微生物学者ロイ・フラー(Roy Fuller)により、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に良い影響を与える生きた微生物」と定義される。

 

サイコバイオティクス

介入群には、脳や精神に影響を与えると考えられる有用菌(プロバイオティクス)を含んだ「サイコバイオティクス食」の摂取が指示されています。

内容は、以下の通り。

◉プレバイオティクス(※)繊維を多く含む果物や野菜 → 1日6〜8人分
(例:タマネギ、ネギ、キャベツ、リンゴ、バナナ、オーツ麦など)
◉穀物 → 1日5〜8人分
◉豆類 → 週3〜4人分
◉発酵食品 → 1日2〜3食
(例:ザワークラフト、ケフィア、コンブチャ)※
※)ザワークラフト:キャベツを乳酸菌で醗酵させた食品
※)ケフィア:コーカサス地方を起源とする乳飲料
※)コンブチャ:モンゴル発祥の紅茶に砂糖と種菌を加えた飲料。日本では紅茶きのことして知られる。
研究実施期間(サイコバイティクス食の摂取期間中)は、スイーツやファストフードなどの「不健康」とされる食品の摂取は禁じられました。
また、研究実施前と、開始後2週間後に、栄養士による教育セッションを受けました。
一方の対照群は、食事介入は一切なく、一般的な食生活指導のみを受けています。

(※)プレバイオティクス:1995年、イギリスの微生物学者であるGibson、Roberfroidらによって提唱された。「消化管上部で加水分解、吸収されない」「大腸に共生する一種または限定された数の有益な細菌(ビフィズス菌等)の選択的な基質であり、それらの細菌の増殖を促進し、または代謝を活性化する」「大腸の腸内細菌叢(フローラ)を健康的な構成に都合の良いように改変できる」「宿主の健康に有益な全身的な効果を誘導する」などの効果を示す食品成分を指す。(「公益財団法人・腸内細菌学会」HPより)

 

発酵食品と食物繊維でストレスが軽減!

この研究の結果、サイコバイオティクス食を摂取した介入群は、対照群と比較すると、有意にストレスを感じなかったと報告しています。

興味深いことに、睡眠の質は両群で改善しましたが、介入群(サイコバイオティクス食)の方が睡眠の改善が大きかったという結果が出ています。

他の研究でも、腸内微生物が睡眠過程に関与していることが示されており、この関連性を説明できる可能性があります。

サイコバイオティクス食は、腸内の微生物の組成と機能にわずかな変化をもたらしただけでした。

しかし、これらの腸内微生物によって生成される特定の重要な化学物質のレベルに大きな変化が観察されています。

これらの化学物質の一部はメンタルヘルスと関連しており、食事療法を受けた被験者がストレスを感じなくなったと報告した理由を説明できる可能性があるのです。

今回の研究は、サンプル数の少なさ(参加者数)、研究実施期間の短さなど、課題も多く残されており、今後の長期的な研究の継続が待たれます。

しかし、今回の研究で十分に、日々の食事がストレスを軽減する余地があることが示されています。この研究で得られた結果が、不安障害、抑うつ障害などの、ストレス関連障害に悩む人たちにも再現が可能かどうかなども気になるところです。

発酵食品や、食物繊維を、意識的に数週間だけでも日頃より多く摂取してみる価値は大いにあるでしょう。

 

 

News Source

Feed your microbes to deal with stress: a psychobiotic diet impacts microbial stability and perceived stress in a healthy adult population『Molecular Psychiatry』

Fermented foods and fiber may lower stress levels, says new study『Medical Xpress』

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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