2022.11.11
【豪研究】睡眠時無呼吸症候群のCPAP治療が、認知症のリスクを低下させる!

睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は、文字通り、睡眠中に繰り返し呼吸が止まってしまう病気です。
医学的には、睡眠中に10秒以上呼吸が止まり(または呼吸が弱くなる)、1時間あたり5回以上こうした状態が繰り返される症状を「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)」といいます。
日本での潜在患者数は500万人といわれており、男女比は2〜3:1で、男性に多い傾向にありますが、女性も50代以降の閉経期から発症頻度が上昇する傾向にあります。
睡眠時無呼吸症候群では、いびきや無呼吸の症状だけでなく、日中の眠気、疲労感や倦怠感、頭痛、うつ症状や不安など、メンタルヘルスにも多大な影響を与えます。
また、高血圧、脳卒中、心筋梗塞を引き起こすリスクも非常に高くなります。
しかし、実際に医療機関を受診する人は少なく、治療を受けているのは潜在患者数の1割ほどだといわれています。
CPAP治療とは?
睡眠時無呼吸症候群の治療のひとつに「CPAP(シーパップ)療法」と呼ばれるものがあります。Continuous Positive Airway Pressure(経鼻的持続陽圧呼吸療法)の頭文字を取ったものです。
睡眠時無呼吸症候群には、「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」「中枢型睡眠時無呼吸(CSA)」「混合型睡眠時無呼吸」の3種類がありますが、CPAP療法は主に、閉塞性睡眠時無呼吸の有効な治療法として知られています。
閉塞性睡眠時無呼吸は、気道の閉塞によって引き起こされるため、鼻にマスクを装着し、CPAP装置からエアチューブで、気道に空気を送り続けます。
オーストラリア「クイーンズランド大学(The University of Queensland:UQ)」の研究で、この睡眠時無呼吸症候群のCPAP治療が、認知症のリスクを低下させる効果があることが分かりました。
CPAP治療で認知機能が改善した!
クイーンズランド大学の「クイーンズランド脳研究所(Queensland Brain Institute)」と「生物医科学スクール(School of Biomedical Sciences)」のElizabeth Coulson教授と、そのチームはマウスにおいて睡眠中の脳への酸素不足とアルツハイマー病の因果関係を発見しました。
Coulson教授は、
しかし、睡眠呼吸障害を誘発する新しい方法を開発し、マウスがアルツハイマー病の病理学的特徴を悪化させることを発見しました。
脳に酸素が不足すると、認知症で特徴的に死滅するニューロンの選択的変性が、低酸素症によって引き起こされることが実証されました。
The Link Between Sleep Apnea and Dementia『Neuro Science News.com』

CPAP装置をマウスに適合させることはできませんでしたが、実験的に低酸素症を予防し、これにより認知障害とニューロンの死滅を停止させ、アルツハイマー病の病状も軽減しました。
これは、閉塞性睡眠時無呼吸のCPAP治療が認知症リスクを低下させる可能性があることを示唆しています。
The Link Between Sleep Apnea and Dementia『Neuro Science News.com』
Coulson教授は、この研究結果は認知症の臨床医が患者を診断し治療する方法を変える可能性があると述べています。
認知症の臨床医の中には、睡眠障害が特定され治療された後、患者の記憶力が改善したと報告している人もいます。
The Link Between Sleep Apnea and Dementia『Neuro Science News.com』
News Source
Cholinergic basal forebrain degeneration due to sleep-disordered breathing exacerbates pathology in a mouse model of Alzheimer’s disease『Nature Communications』
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