2022.11.30
【ポーランド・イギリス研究】雪に包まれた白銀の世界を歩くと、 "ボディイメージ" が向上する!

1年が経つのは早いもので、今年も12月を迎えます。
それと同時に強い寒気が流入し、東北北部の日本海側では大雪が降る予報が出ています。
降雪地域にお住まいの皆さんは、毎年降り積もる雪にうんざりといった方も多いかもしれませんが、その雪が、そして雪に包まれた白銀の世界が、人の健康に良い影響を与え得るとしたら・・・
雪の中で過ごすと身体感覚が改善される!
スイスの科学ジャーナル『International Journal of Environmental Research and Public Health』に掲載された新しい研究です。
ポーランドにあるシレジア医科大学(Medical University of Silesia)と、イギリスのアングリア・ラスキン大学(Anglia Ruskin University:ARU)が主導した研究において、雪の多い環境や、白い空間(雪に覆われた森林など)で過ごすことで、身体の感覚が改善されることが分かりました。
これまでの研究では、公園や森などの緑地、海岸や川の側など「青い」環境がボディイメージ(*)を向上させることが分かっていました。
自然の中で40分過ごすと、ボディイメージが高まる!

シレジア地方の山間部
実験地は、ポーランドの南西部に位置するシレジア地方にある雪深い森林地帯です。
この雪に包まれた森林地帯を歩く前に、参加者に対して、自然とのつながり(14項目)や、自己への思いやり(12項目)についての測定が行われ、それぞれ5段階で評価されました。
この研究では、自然の中で短い時間 (今回の研究では約40分) を過ごすと、ボディイメージが高まることが分かりました。
さらに、自己への思いやりの特性で高いスコアを出した人は、ボディイメージのより大きな改善が示されました。
しかし、青と緑の自然環境が身体イメージの結果に与える影響に焦点を当てた以前の研究とは対照的に、私たちの研究は、雪に覆われた環境で過ごす時間がボディイメージに与えるプラスの影響を初めて示したのです。
The Real Benefits of Walking in a Winter Wonderland『Neuro Science News.com』
と、この研究の主著者であるシレジア医科大学のKamila Czepczor-Bernat博士。
主著者でアングリア・ラスキン大学の社会心理学教授であるViren Swami博士は、次のように話します。
私たちの調査結果は、健康的な身体イメージを促進する費用対効果の高い方法である可能性があり、豊かな自然環境に誰もがアクセスできるようにすることの重要性を示しています。
どのような天候であろうと、自然の中で屋外にいることには大きな利点があります。
The Real Benefits of Walking in a Winter Wonderland『Neuro Science News.com』
最近は、すぐに転んだり、よく物にぶつかるなど、身体感覚の不器用さが顕著な子どもが増えていると聞きます。
都心や、西日本、九州などでは雪が降ることも稀で、ウィンタースポーツ以外で雪遊びをしたことのある子どもは少なくなっているのかもしれません。
ボディイメージの育つ、幼少期に思いっきり雪の中で過ごすことは、様々な意味で有意義なことかもしれません。
勿論、私たち大人にとっても、自分の体への感覚を鋭敏に保つために、白銀の世界を散策する意味は大きいでしょう。
(文=久保多渓心)
News Source
The Impact of a Woodland Walk on Body Image: A Field Experiment and an Assessment of Dispositional and Environmental Determinants『International Journal of Environmental Research and Public Health』
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