【喘息や呼吸器疾患だけではなかった!!】大気汚染は脳やメンタルヘルスにも影響を及ぼす!

2022.12.16

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AGLA編集部

心と体を調える 女性のための新感覚スピリチュアルメディア。

米・ミシガン州デトロイトにあるウェイン州立大学(Wayne State University)精神医学・行動神経科学博士研究員のClara G. Zundel氏の報告によると、大気汚染は脳やメンタルヘルスにも影響を及ぼすことが分かりました。

 

大気汚染の計り知れない影響

汚染された空気を吸っている人は、感情を制御する脳領域の変化を経験し、その結果、よりきれいな空気を吸っている人よりも不安や抑うつを発症しやすい可能性があります。

これらは、Zundel氏と同僚が最近『NeuroToxicology誌に発表した重要な発見です。

Zundel氏の学際的なチームは、屋外の大気汚染が精神衛生や感情を制御する脳の領域に及ぼす影響に焦点を当てた、動物と人間の両方の研究からの100以上の研究論文をレビューしています。

Zundel氏らが注目した3つの主要な脳領域は「海馬」「扁桃体」「前頭前皮質」でした。

この分析では、研究の73%が平均より高いレベルの大気汚染にさらされたヒトやラットなどの動物におけるより高いメンタルヘルスの症状と行動を報告しました。

環境保護庁(United States Environmental Protection Agency:EPA)の基準で現在 「安全」 とみなされている大気汚染区域では、負の影響を及ぼす曝露が発生しています。

さらに、脳への影響を調べた研究の95%で、大気汚染レベルの上昇に曝された人の感情を調節する脳領域内に、身体的・機能的に大きな変化が見られることが分かりました。

これらの研究のほとんどは、高レベルの大気汚染への曝露は、炎症の増加や脳の化学伝達物質として働く神経伝達物質の調節の変化と関連していることを明らかにしています。

 

求められる、大気汚染が健康に与える影響に関する研究

喘息や呼吸器の問題など、大気汚染への曝露に関連する身体的健康への影響に関する研究は、数十年にわたって十分に文書化されてきています。

しかし、大気汚染が脳にどのような影響を与えるのかが解明され始めたのは、ここ10年ほどのことです。

研究によると、自動車の排気ガスに含まれる超微粒子などの小さな大気汚染物質は、鼻を通って脳内に入ることで直接的に脳に影響を与えることもあれば、体の炎症や免疫反応の変化を引き起こして脳内に入り間接的に影響を与えることもあるのです。

同時に、大気汚染とメンタルヘルスへの悪影響との関連性を実証する研究も増えています。

残念なことに、気候変動が激しくなり、炭素排出量が規制されないままでは、大気汚染は悪化するだけであることが研究で示唆されています

このため、呼吸器系の健康への影響を超えて、生物学的精神医学の領域まで、大気汚染暴露の健康への影響に関するさらなる研究が強く必要とされています。

例えば、大気汚染がメンタルヘルスの様々な症状のリスクを増大させる神経生物学的メカニズムは、まだ十分に解明されていません。

 

研究はまだ道半ば

こうした主要な発見に加えて、Zundel氏のチームは、大気汚染と脳の健康の関係をより完全把握するために取り組む必要がある、研究内のいくつかの注目すべきギャップも特定しました。

乳児期や幼児期、小児期や青年期などの若年期における大気汚染曝露の影響を調べた研究は比較的少ないのです。

脳は若い青年期まで発達し続けるため、大気汚染の影響を特に受けやすい可能性があることを考えると、これは特に懸念されます。

また、脳への大気汚染の影響を調査した研究のうち、ヒトで実施されたのは10件に過ぎませんでした。

動物の研究では、大気汚染が動物の脳内に多くの変化を引き起こすことが広く示されていますが、大気汚染が人間の脳にどのような影響を与えるかについての研究ははるかに限られています。

さらに、人間を対象とした既存の脳研究のほとんどは、脳全体の大きさの違いなど、身体的な変化に焦点を当てています。

Zundel氏のような研究者が、身体的な変化の前に起こる可能性のある微妙な変化や小さな変化を検出できるようにする、脳機能イメージング(*functional brain imaging)と呼ばれる技術に依存するさらなる研究が必要です。

(*)脳機能イメージング:生きている脳内の各部の生理学的な活性(機能)を様々な方法で測定し、それを画像化すること、あるいはそれに用いられる技術。脳で行われる様々な精神活動において、脳内の各部位がどのような機能を担っているのかを結びづける研究資料になる。また、正常の状態と比べることで、脳の病気の診断にも用いることができる。<wikipediaより>

今後、研究チームは脳画像法を用いて、大気汚染が青年期の不安のリスクをどのように高めるかを研究することにしています。

子どもたちが1日の過ごし方に合わせて装着できるパーソナル・エア・モニターなど、さまざまな手法を用いて、より正確に大気汚染の曝露を評価できるようにする予定です。

 

 

News Source

Air pollution harms the brain and mental health, too – a large-scaleanalysis documents effects on brain regions associated with emotions『THE CONVERSATION』

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