【スウェーデン研究】「先延ばし」をする傾向にある人は、心身の健康に問題を抱えやすい

2023.2.13

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

「先延ばし」と「健康」の関連性

大学生は、自由が多い反面、あまり構造的ではありません。これは、先延ばしの常習犯にとっては不都合なことです。調査によると、大学生の少なくとも半数は、学業に悪影響を及ぼす可能性のあるレベルまで「先延ばし」しているそうです。

しかし、物事を後回しにすることの弊害はこれだけではありません。「先延ばし」と「健康状態の悪化」との間に関連性があることが、研究によって明らかにされています。

先延ばしにすると、ストレスレベルが高くなる他、不健康なライフスタイルになり、健康問題で医者にかかるのが遅れるという関連性があるのです。

しかし、これらの研究は、その性質上、関係の方向性を知ることはできません。

先延ばしにすることで、例えば、新しい運動習慣を始めたり、健康上の問題について医者にかかることを先延ばしにしたりするから、心身の健康が損なわれるのでしょうか?

それとも、その逆でしょうか?

例えば、体調が悪いと、今やるべきことをやるエネルギーがないから、先延ばしにするのでしょうか?

この謎を解くために、私たちは縦断的研究、つまり、人々を一定期間追跡し、研究の様々な時点で測定する研究を行いました。

ストックホルム周辺の8つの大学から3,525人の学生を募集し、1年間、3カ月ごとにアンケートに答えてもらいました。

JAMA Network Openに掲載された本研究の目的は、先延ばしにする学生は心身の健康状態が悪くなるリスクが高いかどうかを調査することです。

我々が募集した3,525人の学生のうち、2,587人が9ヵ月後の追跡調査に回答し、そこでいくつかの健康アウトカム(*)が測定されました。

(*)健康アウトカム:病院や医療機関で検査などを行い、その結果を評価して得られる「患者の状態の変化」のこと。

先延ばしと、その後の健康アウトカムとの関係を理解するため、研究開始時に先延ばし傾向が強い学生(先延ばし尺度でスコア化)と、そうでない学生を比較しました。

その結果、先延ばし傾向が強いほど、9ヵ月後のうつ病、不安、ストレスの症状がやや高いことがわかりました。

また、先延ばしのレベルが高い学生ほど、肩や腕(またはその両方)に障害をもたらす痛みを訴える傾向があり、睡眠の質が悪く、孤独感が強く、経済的に困難であることが分かりました。

これらの関連は、年齢、性別、両親の教育レベル、過去の身体的・精神的診断など、関連に影響を与えうる他の要因を考慮した場合でも変わりませんでした。

特定の健康アウトカムと先延ばしに強く関連するものはありませんでしたが、この結果は、先延ばしが、精神的な健康問題、障害をもたらす痛み、不健康なライフスタイルなど、幅広い健康アウトカムにとって重要である可能性を示唆しています。

前述の通り、先行研究では、参加者はある時点の評価しか受けておらず、先延ばしと体調不良のどちらが先なのかが分かりにくくなっていました。複数の時点でアンケートに答えてもらうことで、健康状態を測定する前に、先延ばしの度合いが高いことを確認することができたのです。

しかし、今回の分析では考慮されていない他の要因が、先延ばしとその後の健康状態の悪化との関連を説明する可能性はまだ残っています。私たちの結果は、因果関係を証明するものではありませんが、これまでの「横断的」研究よりも強くそれを示唆しています。

 

「先延ばし」は治療可能

先延ばしの常習犯に朗報があります。

臨床試験(医学研究のゴールドスタンダード)では、認知行動療法が先延ばしを減らすのに効果的であることが示されています。

この治療法は、長期目標を短期目標に分割し、気を散らすものを管理し(携帯電話の電源を切るなど)、否定的な感情を経験しても仕事に集中することで、先延ばしを克服するものです。

この方法は、ある程度の努力が必要なため、期限に追われながらできることではありません。しかし、小さな変化でも大きな効果が期待できます。

あなたも試してみてください。

今日から、仕事に集中したいときには、携帯電話を別の部屋に置いてみてはいかがでしょうか。

 

News Source

Procrastination is linked to poor health – new stud by Eva Skillgate, Alexander Rozental, Fred Johansson 『THE CONVERSATION』

本記事は『THE CONVERSATION』(1月16日掲載 / 文=Eva Skillgate, Alexander Rozental, Fred Johansson)からの提供を頂き、翻訳を行ってお届けしています。

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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