【睡眠で健康とパフォーマンスの向上を!】フィットネスにとって睡眠が重要な理由

2023.2.24

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

アスリートが優れている理由を考えるとき、睡眠が重要な役割を果たすかもしれないと考える人はほとんどいないでしょう。

しかし、世界トップクラスのアスリートの多くは、睡眠はトレーニングに欠かせないものであり、良いパフォーマンスを発揮するための鍵であると語っています。

例えば、セリーナ・ウィリアムズは毎晩8時間の睡眠をとるよう心がけています。NBAのスター選手、レブロン・ジェームズも8~10時間を目標にし、NFLの伝説的選手、トム・ブレイディも早く寝て最低9時間の睡眠をとっていると言っています。

それもそのはず、睡眠は代謝、筋肉などの組織の成長と修復に重要な役割を果たし、記憶、反応速度、意思決定がすべて最適に行われるようにします。これらのプロセスはすべて、スポーツのパフォーマンスに影響を与えます。

しかし、適切な睡眠がもたらす恩恵は、アスリートだけではありません。ジム通いをしているアマチュアの方でも、毎晩十分な質の良い睡眠をとることで、フィットネスと健康のために運動の効果を最大限に高めることができるのです。

ここでは、睡眠がフィットネスにもたらす効果をいくつかご紹介します。

 

エアロビック・フィットネス

運動は有酸素運動能力を高めるのに効果的です。

運動は有酸素運動能力(ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、長時間継続して行う運動)と効率(同じペースで走ったり自転車に乗るのに体が必要とする酸素量がより少ないという意味)の両方を向上させるのです。

有酸素運動能力の向上には、体内のミトコンドリアの働きが関与しています。ミトコンドリアは筋肉の細胞内にある小さな構造体で、運動中に筋肉が必要とするエネルギーを作り出す役割を担っています。

研究によると、健康な参加者の場合、睡眠不足(1日4時間しかとらず、5日間寝ない)がミトコンドリアの機能を低下させることが分かっています。

高強度インターバルトレーニングは、短期的(5日間)にこれらの障害を緩和することが示されました。しかし、これらの障害が長期的に運動への適応にどのような影響を与えるかは今のところ不明です。

有酸素運動の体力向上が目標の1つであるならば、睡眠をしっかり取ることがベストです。

 

筋肉の成長

睡眠は、筋力や筋肉を増強するためにも重要です。

筋肉の成長は、新しいタンパク質が筋肉の構造に追加されたときに起こります - 「筋タンパク質合成」として知られるプロセス。このプロセスは、運動と食事(特にタンパク質)の摂取によって刺激され、運動後少なくとも24時間持続します。

研究によると、たった数日の睡眠不足でも、栄養摂取に対する筋タンパク質合成の反応が低下することが分かっています。

このことから、睡眠不足は筋肉がつきにくい体質を作っている可能性があります。

 

アナボリックホルモン

ホルモンは、化学伝達物質として、組織の成長や発達など、体全体のさまざまな機能に寄与しています。このような筋肉増強のプロセスに関与するホルモンを「同化」ホルモンと呼ぶことができます。

睡眠中に分泌されるテストステロンと成長ホルモンという2つの同化ホルモンは、運動からの回復や運動への適応にも重要であると考えられています。

これらのホルモンは体内で複数の役割を担っており、体組成の改善(体脂肪の低下と筋肉量の増加)に関連しています。筋肉量が多く、体脂肪が少ないことは、運動や健康にとって有益なことです。

睡眠時間を5時間に制限すると(多くの社会人がとる睡眠時間に近い)、健康な若い男性ではテストステロン値が低下します。

また、同程度の時間の睡眠を制限すると、睡眠中の成長ホルモンの分泌も変化します。さらなる研究が必要ですが、これらのホルモンは、体組成の改善と関連することから、睡眠と体力の関係を媒介する役割を果たす可能性があります。

アナボリックホルモン:「タンパク質同化ホルモン」とも呼ばれる。タンパク質の合成を促進したり、分解を抑制して、窒素の蓄積を促進するホルモンの総称。

 

運動後のエネルギー補給

運動では、しばしばグルコース(糖質)を燃料として使用します。

筋肉は、食事から摂取したグルコースをグリコーゲンという形で貯蔵し、運動の要求に応えています。運動後にグリコーゲンを補給することは、回復プロセスの重要な部分です。

適切な栄養摂取をすれば、グリコーゲンの貯蔵量を完全に補充するのに24時間かかるといわれています。筋肉がグルコースを吸収してグリコーゲンを作るには、インスリンというホルモンが必要です。

多くの研究が、不十分な睡眠はインスリンの効果を減少させることを示しています。ある研究では、睡眠不足が続くと、筋肉のグリコーゲン貯蔵量が減少することが明らかにされています。

グリコーゲン貯蔵量の減少は、短期的にも長期的にも、その後の運動パフォーマンスを低下させる可能性があるため、運動後にグリコーゲン貯蔵量を確実に補充することが重要です。

 

よく眠るには

睡眠がフィットネスに重要であることは明らかです。そこで、毎晩適切な睡眠を確保するための方法をいくつか紹介します。

一貫した就寝の習慣を身につける

就寝前に本を読んだり、リラックスできる音楽を聴くなど、リラックスして眠れるようなことをしましょう。また、寝る前に熱いシャワーを浴びたり、お風呂に入ったりすると、体温が下がり、早く眠りにつくことができます。

睡眠環境を整える

夜中に光を浴びると睡眠の質が低下するので、できるだけ光を遮断するようにしましょう。部屋は涼しく、冷えすぎないようにすることを心がけましょう。暑すぎたり寒すぎたりする環境は、睡眠の質を低下させる可能性があります。

日中に体を動かす

体を動かすことが睡眠の質に良いという研究結果もありますから、1日の中で運動や体を動かすことを心がけましょう。

睡眠時間を一定にする

睡眠と覚醒のサイクルを整えることで、睡眠の質の向上につながることが分かっています。

 

体力の向上を目指すなら、質の良い睡眠を十分にとるようにしましょう。毎晩、少なくとも7~9時間の睡眠をとることを目標にしてください。

 

News Source

Why sleep is so important for your fitnes by Emma Sweeney,Ian Walshe 『THE CONVERSATION』

本記事は『THE CONVERSATION』(2月20日掲載 / 文=Emma Sweeney,Ian Walshe)からの提供を頂き、翻訳を行ってお届けしています。The Conversation

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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