【スウェーデン研究】朝の運動はより多くの体脂肪を燃やす!

2023.2.25

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

忙しい毎日を過ごしていると、できる限り運動を取り入れようと思うかもしれません。しかし、運動をする時間帯によって、その効果に違いがあることを示す証拠が増えつつあります。

私たちの最新の研究によると、(少なくともマウスでは)時間帯によって運動に対する体脂肪の反応が異なることが明らかになりました。

最新の研究では、マウスが朝(起床後3時間程度)に1回の運動をした場合、深夜に運動したマウスに比べて脂肪組織(体脂肪)をより多く燃焼させることがわかりました。

それとともに、運動後の脂肪組織遺伝子の反応の仕方にも変化が見られました。

 

朝の運動はより効果的

ヒトの遺伝子のほとんどはマウスと似たような形をしているため、マウスを使ってヒトの生理機能を調べることはよく行われています。このため、マウスで観察される効果は、ヒトで期待される効果と似ている可能性があります。

この研究では、マウスを活動期(私たちの午前中に相当)と休息期(私たちの深夜に相当)のいずれかに激しい運動をさせました。また、運動後4時間ごとに脂肪組織を採取し、運動後20時間経過した時点で、それぞれのタイミングが及ぼす影響を調べました。

脂肪組織は、脂肪酸を血中に放出し、運動時に使うエネルギーを体に供給するとともに、脂肪細胞のサイズを小さくします。

午前中(朝)に運動したマウスでは、運動直後と運動後12時間の血液中の脂肪酸の濃度が上昇しました。しかし、深夜に運動したマウスでは、そのような変化は見られませんでした。

つまり、深夜に運動した人は、2倍の脂肪分解を経験したことになります。

さらに興味深いことに、運動のユニークなタイミングによる効果は、遺伝子の働き方にも見られました。

午前中(朝)に運動して増える遺伝子は、脂肪燃焼(分解)、熱産生(エネルギー使用)、血管産生に関連していました。これらの変化はすべて、体内の脂肪減少や血糖値の調節に有益であり、ひいては体重や健康に利益をもたらす可能性があります。

この研究は、筋肉や肝臓など多くの組織で運動のタイミングが重要であることを示した過去の2つの研究と一致しています。

また、ヒトを対象とした最近の研究では、1日のうち異なる時間にトレーニングを行うことで、血糖値や体重の調整に重要なホルモンであるインスリンに対する身体の反応に影響を与えることが示唆されています。

 

体内時計

運動に対する体の反応が時間帯によって異なる主な理由の1つは、生物学的な体内時計(概日時計)にあると思われます。

体内のすべての細胞には体内時計があり、1日の光、栄養、運動の変化に合わせて代謝を調整しています。ホルモン、体温、音に対する感受性までもが、体内時計の影響を受けているのです。

体脂肪も同様で、体内時計があり、多くの遺伝子の発現を調節しています。

今回得られた知見や他の研究結果に基づいて、運動のタイミングが体内時計と相互作用して、脂肪がより燃焼しやすいように脂肪細胞をプログラムしているのではないかと推測されます。

また、概日リズムは、日中の明るい時間にお腹を空かせることで、食べ物を食べるタイミングをコントロールしています。これは、私たちの体が1日中、すべての機能を果たすために必要なエネルギーを確保するためです。

ですから、私たちが運動するとき、体は最近食べたものをエネルギー源として利用します。しかし、食べ物がない場合は、主に脂肪組織から放出される脂肪酸をエネルギーとして使わなければなりません。

そこで、空腹の状態で運動することで、午前中に運動することの効果が得られるかどうかに注目しました。

そこで、夜更かしのグループのマウスに絶食状態で運動をさせ、朝のマウスと同じように運動に反応させることができるかどうかを調べました。

その結果、夕方の空腹時の運動では、血中の体脂肪分解の兆候が増加することがわかりました。

しかし、遺伝子に変化の兆しは見られませんでした。この驚くべき発見は、概日時計が運動に対する体の反応を微調整し、食事のタイミングによる影響を打ち消している可能性を示唆しています。

 

いつ運動すればよい?

今回の研究はマウスを使ったもので、1回の運動セッションのみだったので、人に最適な運動時間を一般化することは困難です。

ヒトの場合、運動のタイミングが脂肪燃焼にどのように影響するのか、また、私たちの知見が何回もの運動セッションで一貫しているのかどうかを知るためには、さらに研究が必要です。

これがカロリンスカ研究所での、研究の次のステップです。

その一方で、今一番良いアドバイスは、時間に関係なく、積極的に運動をすることです。

運動は、余分な体脂肪を減らし、心臓病や2型糖尿病など特定の病気のリスクを下げるのに役立つ可能性があることに変わりはありません。

しかし、午前中に運動することができれば、より多くの脂肪を燃焼させることができる可能性があります。

 

News Source

Morning exercise burns more body fat, mouse study shows by Logan Pendergrast, Juleen R. Zierath『THE CONVERSATION』

本記事は『THE CONVERSATION』(2月21日掲載 / 文=Logan Pendergrast, Juleen R. Zierath)からの提供を頂き、翻訳を行ってお届けしています。The Conversation

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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