2023.3.10
【豪研究】メンタルヘルスの改善に効果的な、治療法としての「運動」

メンタルヘルスと運動の関係について、スポーツ医学雑誌『British Journal of Sports Medicine』に掲載された、南オーストラリア大学の研究をご紹介します。
精神疾患は、世界的にも増加の一途を辿っており、世界保健機構(WHO)によれば、うつ病患者は3億人前後、双極性障害は6000万人程度と推計されています(COVID-19のパンデミックにより、有病率は世界で35%から38%に増加している)。
世界の8人に1人(9億7000万人)が精神疾患の影響を受け、ほぼ2人に1人(44%)が生涯で精神疾患を経験するといわれています。
このまま対策が講じられなければ、2030年までの間に16兆ドルもの損失を世界経済に生じさせるとの試算が出されています。また、精神疾患の世界的な年間コストは、2.5兆ドルと推定されており、2030年までに6兆ドルに増加すると予測されています。
治療法としての「運動」
増加する精神疾患への対策は急務です。
メンタルヘルスを、より適切に管理するためには、運動を生活に取り入れる必要があります。
運動、睡眠衛生、健康的な食事などの生活習慣管理アプローチの役割は、各国のガイドラインによっても異なりますが、多くは最初に薬物療法、そして心理療法が各国の臨床実践ガイドラインによって異なります。
米国のガイドラインでは、心理療法や薬物療法が最初の治療アプローチとして推奨されており、生活習慣のアプローチは、心理療法や薬物療法が「効果がない、または受け入れられない」場合の「補完的代替治療」として考えられています。
オーストラリアなどの他の国では、生活習慣の管理が第一選択の治療法として推奨されていますが、実際には薬物療法が最初に行われることが多いようです。
運動がうつ病、不安、心理的苦痛に及ぼす影響を調べた何百もの研究試験があり、その多くが運動が心理療法や薬物療法と同様の効果を持つ(コスト、副作用、付随的な健康効果の点で、心理療法や薬物療法よりも多くの利点がある)ことを示唆しています。
運動の利点に関するいくつもの証拠があるにも関わらず、治療上広く採用されてはいないのが現実です。
患者の抵抗、臨床現場での運動(身体活動)の処方(提案)とモニタリングの難しさ、そしてほとんど矛盾のない膨大な量の研究が、おそらく実際により広く採用されることを妨げている側面もあります。
12週間以内の運動がメンタルヘルスの改善に効果を発揮!
『British Journal of Sports Medicine』に掲載されたレビューは、これまでで最も包括的なものです。これには、97件のレビュー、1039件の試験、128,119人の参加者が含まれています。
News Source
Effectiveness of physical activity interventions for improving depression, anxiety and distress: an overview of systematic reviews by Ben Singh et al. 『British Journal of Sports Medicine』
Exercise More Effective Than Medicines to Manage Mental Health『Neuroscience News.com』
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。