2023.4.3
【英研究】なぜ花粉症に苦しむ人と、そうでない人がいるのか?

春の訪れとともに、花や木が咲き乱れる一方で、多くの人にとってアレルギーの季節の始まりでもあります。花粉症の方は、くしゃみ、目のかゆみ、鼻水など、おなじみの症状が出始めるかもしれません。
花粉症は、アレルギー性鼻炎として知られ、42%の人が発症し、春から夏にかけての生活の質に大きな影響を与えることがあります。
花粉症の方は、アレルゲン(花粉)に接触すると、免疫系がそれを脅威と誤認し、中和するために免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる抗体を産生します。IgE抗体は、鼻、目、肺に存在するマスト細胞という免疫細胞の一種に付着します。
アレルゲンがマスト細胞上のIgE抗体と接触すると、ヒスタミンなどのタンパク質が放出され、炎症が起こり、花粉症の症状が現れます。
しかし、なぜ多くの人が花粉症になり、そうでない人もいるのでしょうか?
様々な要因が絡んでいます。
遺伝、免疫、環境
花粉症になりやすいかどうかは、遺伝的な要因が大きく関わっています。免疫系の調節や反応に関わる遺伝子を含むいくつかの遺伝子が、花粉症の発症リスクの上昇に関係しているといわれています。
研究によると、遺伝率(遺伝子の違いがその人の形質のばらつきを占める度合い)は、花粉症で33%から91%であることが分かっています。つまり、家族の中に花粉症の人がいれば、自分も花粉症になる可能性が高いということです。
また、アレルゲンに対して免疫系が過剰に反応し、アレルギー反応を起こして花粉症になる方もいます。実際、他のアレルギーや喘息、アレルギー性皮膚炎や湿疹があると、花粉症発症のリスクが高まります。
大気汚染、タバコの煙、その他の刺激物にさらされるなどの環境要因も、花粉症になりやすくする可能性があります。
これは、鼻腔や呼吸器系にダメージを与えることで、アレルゲンが体内に入りやすくなり、アレルギー反応を誘発しやすくなることが原因と考えられます。同様に、幼少期に副流煙にさらされることも、後に花粉症を発症する危険因子となります。
アレルゲンにさらされる頻度や量が他の人よりも多く、花粉症を発症しやすい人もいます。これは、例えば、花粉の多い地域に住んでいたり、職場で特定のアレルゲンにさらされていたりすることが原因として考えられます。
なぜ、季節によって症状が悪化することがあるの?

イギリスでは芝花粉がポピュラー
空気中の花粉などのアレルゲンの量は、年や季節によって異なることがあります。年によっては、花粉の量が多く、花粉症の症状がより重くなることもあります。
気温、湿度、風などの気象条件は、空気中の花粉の量や分布に影響を及ぼします。雨の多い春は花粉の一部を洗い流してしまうかもしれませんし、暖かく乾燥した夏は花粉の発生が多くなる可能性があります。
また、体の免疫システムも時間とともに変化し、アレルゲンへの反応に影響を与えることがあります。つまり、昔は花粉症の症状がひどかった人が、年をとるにつれて症状が軽くなることもあるのです。
確かに、花粉症は何歳になっても発症する可能性がありますが、子どもや若い世代に多くみられます。年齢が上がるにつれて、免疫系がアレルゲンに対して反応しにくくなり、花粉症の症状が軽くなることがあります。
また、人は年や季節によって異なるアレルゲンにさらされることがあり、それが症状の重さに影響することがあります。例えば、イネ科の花粉にアレルギーを持つ人は、特定の木の花粉に誘発される人とは異なる時期に誘発されます。
ストレス、食事、運動などの生活習慣は、免疫系に影響を与え、花粉症の症状の重さを助長する可能性があります。例えば、ストレスは免疫力を低下させ、アレルゲンに対する感受性を高めます。
気候変動は、植物が放出する花粉の量や成分、タイミングを変化させています。気温と大気中の二酸化炭素濃度の上昇により、花粉を多く生産する植物もあれば、開花時期を早めている種類もあります。
つまり、花粉の飛散時期が早まり、飛散期間が長くなり、飛散量が多くなっているのです。
花粉症対策のヒント
花粉症の症状を引き起こすアレルゲンに触れないようにしましょう。花粉の飛散量が多い時期には室内にとどまり、屋外で作業する場合はマスクを着用しましょう。
空気中のアレルゲンを除去するために、家庭や職場でHepa(高効率粒子状空気)エアフィルターを使用することを検討しましょう。
花粉が多い時期は窓を閉め、アレルゲンの侵入を防ぎましょう。
アレルギー反応の際に放出されるヒスタミンの作用を阻害し、花粉症の症状を軽減する薬です。
免疫療法は、アレルギーの予防注射として知られており、時間をかけて特定のアレルゲンに対する免疫システムを鈍感にすることで、花粉症の症状を軽減することができます。
ストレスは花粉症の症状を悪化させることがあるので、瞑想、ヨガ、深呼吸などの方法でストレスを管理するようにしましょう。
花粉症の新しい薬や治療法を始める前に、医師に相談することが重要です。
News Source
Hay fever: why some people suffer from it and others don’t By Samuel J. White , Philippe B. Wilson『THE CONVERSATION』
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。