【英研究】抹茶 〜 最新のエビデンスが示す、その健康効果とは?

2023.4.10

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

抹茶は何世紀にもわたって親しまれてきましたが、最近になってさらに人気が高まっています。

その理由は、ジェニファー・アニストンやグウィネス・パルトロウといったセレブリティに愛されていることと、その健康効果にあるようで、多くの人が抹茶は緑茶よりもさらに健康に役立つと主張しています。

緑茶はすべて同じ植物から採れます: カメリアシネンシス(Camellia sinensis)です。

緑茶(煎茶)は、この植物の未発酵の葉から作られます。抹茶(碾茶)は、日光を遮り、収穫した葉を蒸して乾燥させ、粉末にしたものです。

つまり、緑茶が乾燥した葉を淹れて飲むのに対し、抹茶は葉を丸ごと粉にして飲むので、普通の緑茶よりも栄養価が高い可能性があるのです。

しかし、抹茶の研究はまだ始まったばかりで、どのような効果があるのか、まだわからないことがたくさんあるのです。

 

緑茶の効能

緑茶には、多くの健康効果があると考えられています。

これは、緑茶に含まれるポリフェノールと呼ばれる特定の化合物によるもので、この化合物には抗酸化作用があります。つまり、これらの化合物は、私たちの細胞にダメージを与える他の不安定な分子と相互作用することがあります。

緑茶に含まれるポリフェノールは、人間のコレステロール値血圧を適度に低下させる効果があるとされています。

さらに、2つのメタアナリシスでは、緑茶を飲むと心臓病発症リスクが低下する可能性があることが示唆されています。緑茶に含まれるカテキンという特定のポリフェノール化合物が、その保護作用に寄与していると考えられています。

また、他の研究では、カテキンががん細胞の増殖を阻害するため、緑茶が特定の種類のがんのリスクを低下させる可能性があることが示唆されています。

さらに、緑茶は、短期的には、運動中に脂肪を燃焼させる体の能力を高めることによって、体の代謝に影響を与える可能性があります。

長期的には、緑茶は、潜在的に脂肪燃焼に関連する特定の遺伝子の発現の変更に影響を与える可能性があります。つまり、緑茶の定期的な摂取は、特に運動との組み合わせにおいて、長期的に脂肪を減少させる能力に部分的に影響を与える可能性があるのです。

 

抹茶の測定方法

一般的な緑茶1杯には約70mgのカテキンが含まれており、これは紅茶の約2倍です(ただし、お湯の温度や抽出時間など、多くの要因が影響します)。

しかし、抹茶には1杯あたり3倍以上のカテキンが含まれている可能性があり、ある研究では、通常の緑茶の137倍という驚異的なカテキンが含まれていると報告されています。

つまり、抹茶には他のお茶よりも多くの抗酸化物質が含まれており、心臓血管や免疫の健康に役立つことが説明できます。

また、茶葉を丸ごと摂取するため、抹茶にはL-テアニンなどのアミノ酸を含む他の天然成分がより強力に含まれている可能性があります。動物実験でも人体実験でも、抹茶に含まれるL-テアニンは不安ストレスの軽減と関連しています。

また、抹茶には1gあたり約20~40mgの高濃度のカフェインが含まれており、これは同量のコーヒー豆に含まれるカフェインの2~4倍に相当します。

そのため、抹茶を対象とした最近の研究では、カテキンとカフェインの複合効果について検討されています。

20代後半の女性を対象とした最近の2つの研究では、抹茶を飲むと、ウォーキング中の脂肪燃焼量が最大35%も改善されることがわかりました。

これらの結果は、緑茶エキスを用いた他の研究とほぼ同様であり、抹茶は緑茶と同等、あるいはそれ以上の効果があることを示唆しています。

このように、抹茶は運動と並行して使用することで、さらなる効果を発揮する可能性があります。しかし、今後の研究では、抹茶が他のグループの運動効果も高めるかどうかを調査することが重要です。

 

その他の可能性のある効果

抹茶は、覚醒度、意思決定、記憶力、集中力を向上させることも示されています

ある研究では、4gの抹茶パウダーを飲み物として与えられた参加者は、プラセボを与えられた参加者に比べて、注意力、情報処理、反射神経、記憶力を調べる認知テストにおいてより良いスコアを示しました。

また、1日に数杯の緑茶を飲むと、加齢による認知機能の低下を防ぐことができるという研究結果もあります。これは、L-テアニンのストレス軽減効果や、抹茶に特に多く含まれるエピガロカテキンガレートEpigallocatechin gallate:EGCG)という強力なカテキンが関係していると思われます。

したがって、抹茶が緑茶と同様の認知機能改善の効果を持つ可能性は高く、今後の研究において、抹茶をより具体的に調べることが重要です

この分野の研究はまだ始まったばかりで、抹茶がどれほど有益であるかを本当に理解するためには、特に成人を対象としたさらなる研究が必要です。

しかし、もしあなたが一日の始まりにお茶やコーヒーを飲むのが好きな人なら、抹茶に変えることを検討してもよいかもしれません。

カフェインを摂取するのに最適な方法であるだけでなく、健康に役立つ可能性があります。1日2~4g(カップ2~4杯分)の抹茶を摂取することで、長期的にこれらの効果を得ることができるかもしれません。

 

News Source

Matcha tea: what the current evidence says about its health benefits By Justin Roberts ,  Henry Chung 『THE CONVERSATION』

本記事は『THE CONVERSATION』(4月4日掲載 / 文=Justin Roberts ,  Henry Chung )からのご提供を頂き、翻訳の上、お届けしています。

The Conversation

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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