精油で女性ホルモンが増える!? 更年期障害の緩和も期待【最新研究】

2018.10.23

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AGLA編集部

心と体を調える 女性のための新感覚スピリチュアルメディア。

最新研究の解説

研究背景

アロマテラピー(アロマセラピーとも)はヨーロッパや中東で生まれた民間療法ですが、1990年代以降世界的に普及し、日本でもリラクゼーション方法の1つとして人気があります。 しかし、医学的にその効果は検証されているとは言えません。今回、長崎大学から発表された研究では、更年期障害の症状を和らげるのにどのような精油が有効かを検証しています。

研究内容

40代の女性15人に10種類の精油を20分間吸入してもらい、吸入の前後で唾液中のエストロゲン(女性ホルモンの1つ)の濃度を測定しました。 ・クラリセージ ・フランキンセンス ・ゼラニウム ・ラベンダー ・ジャスミン ・ネロリ ・ローズオットー ・イランイラン ・オレンジ ・カモミール

研究結果

ローズオットーとゼラニウムでエストロゲン濃度の増加が観察されました。 ローズオットーとは、バラのうちダマスクローズという品種の花から抽出した精油を指します。 ゼラニウムは赤い花を咲かせる植物で、南アフリカ原産ですが日本でも栽培可能で、ガーデニングでも人気の花です。バラに似た香りがします。

考察

ローズオットーとゼラニウムの精油を嗅ぐことで、エストロゲンを増加させることができ、更年期障害の症状緩和に役立つ可能性があります。

医学的にみたアロマテラピーの効果

科学的な効果検証は難しい

アロマテラピーで使用される精油(エッセンシャルオイル)は、植物を蒸留して得られる油で、原料の状態や産地、抽出条件によって成分は異なることがあります。 また成分には多数の化学物質が含まれており、どの成分がどの効果をもたらしたか、組み合わさるとどうなるのか、などを考えると、科学的に効果を検証するのが難しいと言えます。

世界的にも効果に根拠がある訳ではない

アロマテラピーの歴史は非常に古いのですが、アロマテラピーが生まれたヨーロッパでも、アロマテラピーを科学的に検証しようという動きは必ずしも多くなく、その効果やメカニズムについても民間伝承的に伝えられているに留まります。 経験的に、こうすれば効果があることが多いと分かっているだけで根拠がある訳ではないのです。

医療現場でのアロマオイル使用例

妊産婦のリラックスのため、もしくはがん患者や死を迎えようとする患者の苦痛を取り除くためにアロマオイルを使用したマッサージや足湯が行われていますが、健康保険の適応ではなく、各施設の、主に看護職員の判断で行われています。

精油が身体に与える影響

精油が身体に働きかける3つの経路

■ 1. におい→脳
精油を吸入することでにおいの刺激が脳に働きかける経路。

 

■ 2. 皮膚→血液
皮膚に塗った精油が皮膚から吸収されて血液中に入る経路。

 

■ 3. 口・粘膜→体内
精油を口や粘膜から取り込む経路。 このうち、皮膚を通して吸収されるのはごくごくわずかであり、精油を飲むことはほぼないので、1.のにおいによる効果がほとんどと考えられます。

身体に与える影響

においは鼻の穴のてっぺんにある嗅球という脳の一部で感知され、脳の大脳辺縁系に伝わりますが、この辺縁系は大脳皮質と比べて古い脳と呼ばれ、記憶・性欲・感情の中枢です。特定のにおいで記憶を呼び覚まされたり、感情が沸き起こるのはこのためと考えられます。 大脳辺縁系からさらに情報が伝わり、血圧の変動や様々な心身の変化が起こると考えられます。

女性ホルモン量の増減で起こるカラダの変化

多い

女性らしい丸みを帯びた体型になり、乳房が大きくなり、髪や肌につやと張りが出ます。性器や乳輪・乳首が茶色く色づきます。

少ない

骨量が減って骨粗鬆症になりやすくなり、高血圧・高脂血症といった動脈硬化性疾患になりやすくなります。 気分が落ち込み、不安・不眠・イライラなどが起こりやすくなります。性器や乳首の色がピンク色になります。皮膚に張りがなくなり、シワができやすくなります。 女性ホルモンが多い状態が性成熟期であり、少ない状態が閉経後の状態で、性成熟期から閉経後に移行する時期が更年期です。

香り以外で女性ホルモンを高める方法

ホルモン補充療法

更年期や閉経後の症状を和らげるため、女性ホルモンを飲み薬・張り薬などで補充する方法です。 女性ホルモンの一種であるエストロゲンだけを投与すると、乳がんや子宮体がんのリスクが高くなることがわかり、現在ではもう一種類の女性ホルモンであるプロゲステロンも合わせて補充することになっています。

植物性のエストロゲンを摂る

■ 大豆製品
大豆製品に含まれるイソフラボンはエストロゲンに似た構造をしています。イソフラボンは腸内である種の腸内細菌によって処理され、エクオールという物質に変化します。 エクオールもまたエストロゲンと似た構造をしています。エクオールを作る腸内細菌を持っている人と持っていない人がおり、腸内細菌がない人が大豆製品を食べても効果は乏しいとされています。

 

■ プエラリア
タイやミャンマーの山岳地帯に生える豆の仲間であるプエラリアという植物には、大豆より豊富にイソフラボンが含まれており、サプリメントとして注目されています。

イソフラボンの摂取における注意点

1日の摂取量を守る

日本では特定保健用食品に含まれる以下成分に摂取量を定めています。

 

■ 植物性エストロゲン:1日当たり30mgまで

 

■ イソフラボン:1日当たり70mg程度(食事を含む摂取目安) 150mgを超えると過剰摂取となります。
豆腐1丁、納豆2パックでおよそ70mgとなので、サプリメントの摂りすぎには注意しましょう。

20代が摂取しても効果があまり期待できない

イソフラボンはエストロゲン受容体に結合しますが、実際のエストロゲンに比べると受容体を刺激する活性が1000分の1程度と低いとされています。 そのため、エストロゲンが多い状態では、エストロゲン受容体を占領することで抗エストロゲン作用を持ち、閉経後などエストロゲンが少ない状態ではエストロゲン作用を持つのです。 そのため20代など体内のエストロゲンが多い状態の人が、イソフラボンを摂っても、閉経後の人に比べると効果は期待できないと言えます。

最後に医師から一言

源氏物語にも、衣服に香木のにおいを焚き染める様子が描かれています。
香道という香りを楽しむ伝統もあり、日本でも古来から様々な香りを生活に取り入れていましたが、医学的には匂いや香りについてまだまだ未解明の状態です。
今後の研究が期待されます。

(医師監修済み)

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