2019.4.12
「腸」は第一の脳!?心身の健康は腸内環境を整えることから 腸ケアにおすすめな「トリファラ」とは?

脳と腸は連携している
ここ数年「脳腸相関」という言葉がよく聞かれるようになりました。
「脳」と「腸」は常に連携を取り合っていて、相互に作用を及ぼし、それが心身の状態に直結するという意味で用いられています。
「腸」は「第二の脳*」とも言われているように、人は強いストレスを感じると、お腹がシクシクと痛くなったり、トイレへ駆け込んだりということが起こります。
私は小学生の頃から不登校で、とても両親を心配させたものです。
決まって朝になるとお腹が痛くなり、それを訴えて学校を休ませてはもらえるのですが、いざ病院へ連れて行かれると、どこも悪いところがなく病院の待合室で先生による診療を待っている頃にはケロっと治っているということがしばしばでした。
ですから「仮病だ!」「学校へ行きたくないからといって嘘をつくんじゃない!」といって叱られたりもするのですが、決して嘘をついているわけではなく、朝になると本当にお腹が痛くなるのです。
これは「脳」が感じた「学校へ行きたくない」という強い不安感や切実な思いが、自律神経を介して「腸」にストレスによる刺激を与えたからでしょう。
この他にも緊張を強いられる場面で、何回もトイレに駆け込んだり、食欲がなくなったりするのも「脳腸相関」の典型例かもしれません。
40億年前の海で誕生した原始生命体と呼ばれる生物の誕生の歴史まで遡ってみても、生物には「腸」が「脳」よりも先に備わっているのです。
海に漂っていた小さな細胞が、いくつも組み合わさって効率的に海から栄養分を摂取するために「腸」という器官が作られたのです。
母親の胎内で育つ赤ちゃんも、受精後4週間頃から「腸」が形成され始め、その後「脳」が形成され始めます。
「脳」より先に「腸」が作られるということが指し示していること、それは「脳」が及ばない活動を「腸」が担っているという可能性です。
腸は独自で機能できる臓器
以前「明晰夢で人生を変える①(前編)~睡眠と夢~」という記事を投稿しました。
その際、睡眠中の脳の活動について触れた箇所で「ニューロン」の説明をしましたが、そこで「ニューロン」とは「情報処理と情報伝達に特化した電気信号を発する神経系を構成する細胞」だと書きました。
実は脳に存在するはずの「ニューロン」は腸にも存在しています。
元々、腸は脳からの信号による指示を受けなくても、独自でその機能を果たせる唯一の臓器です。
つまり腸が自分で考え、消化や排泄といった動きを行なっているのです。
それを司っているのが腸にある「ニューロン」です。
この腸内の「ニューロン」は1億個にも及び、これは猫の脳の「ニューロン」とおよそ同じ数です(人間の脳内の「ニューロン」は1000億〜2000億個ほど)。
最新の研究では腸の「ニューロン」が結腸に排便を促すべくリズミカルな発火をする様子を捉えることに成功しています。
発火とは「ニューロン」の膜電位の急激な変化を指します。通常の膜電位は−70mV程度です。
樹状突起から情報の入力があると膜電位が変化しますが、一定の閾値を超えなければすぐに変化は収まります。
閾値を超える入力があった際には膜電位は急上昇します。これを「ニューロンの発火」といいます。
こうしたリズミカルな「ニューロンの発火」が腸管神経系(ENS)で捉えられたことは「腸が思考している」明確な証拠です。
*JNeurosci The JOURNAL OF NEUROSCIENCE
腸こそが「第一の脳」!?
「腸は第二の脳」と冒頭でも書きましたが、「第二」とあるようにあくまでも優先順位からいえば「脳」が先であるという固定観念がまだ私たちにはあります。
しかし、そうともいえない、若しくは「腸」は「脳」よりも優位に立っているのではないか、むしろ「腸」こそが「第一の脳」なのではないかという論を取っている学者や専門家も増えてきているようです。
実際にこちら(英文)の記事では「腸内細菌」が人間の遺伝子情報を制御しているメカニズムが発見されたという報告もあります。
遺伝子情報を制御し得ているということは「腸内細菌」こそが人間の健康や疾患、または性格に及ぶまでほぼ人間の全体の領域に影響を与えているといって良いということになります。
その「腸内細菌」を失わせている元凶となるものが「抗生物質」や「砂糖(糖類全般)」です。
実際に母親の「腸内細菌」の状態如何によって、生まれてくる子供の自閉症リスクが高まるという研究報告もあります。
また乳幼児期の「抗生物質」の投与(特に症状に対して的を得ていない種類の抗生物質の投与)が「腸内細菌」の大量死滅に繋がり、自閉症(骨形成を含め他の症状にも及ぶ)に繋がっているということも分かって来ています。
砂糖に関しても、腸に有用な微生物が住み着くことを阻害する働きがあり、あらゆる慢性疾患の元となっているという説もあるのです。
またコロンビア大学の最新の研究によると、腸の移植を受けた患者の血中に提供者の血球成分が含まれている事実を発見しています。
つまり臓器移植された腸には、その提供者の造血幹細胞が含まれているということなのです。もっと噛み砕いていえば「腸が血球を生成している」わけです。
「腸の健康」の重要性については、今後も「AGLA」で継続して取り上げていく予定です。
また執筆者に今、話題の東京は広尾にある「腸律サロン セラピーエ」の腸律師 小澤かおりさんをお迎えしての連載記事も近日公開予定ですので、どうぞお楽しみに。
【参考リンク】
●YaleNews -Sugar targets gut microbe linked to lean and healthy people
●University of virginia HEALTH SYSTEM - Autism Risk Determined By Health of Mom’s Microbiome, UVA Finds
●Diamond online - 抗生物質を安易に使うと危険!人体の9割は細菌でできている
●8000 scientific papers link refined white sugar to chronic disease
●うつ病、腸内細菌に関連 ベルギー研究
●Human Intestinal Allografts Contain Functional Hematopoietic Stem and Progenitor Cells that Are Maintained by a Circulating Pool
●「血球は腸で生成される」ことがわかった - 腸移植の耐性を高める可能性 【News Week 】
「腸内細菌」や「脳腸相関」に関しては良書がたくさん出版されていますので、もっと詳しく知りたい方は以下の書籍を参考になさって下さい。
「あなたの体は9割が細菌 : 微生物の生態系が崩れ始めた」アラナ・コリン 著
「腸と脳 - 体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか」エムラン・メイヤー 著
「失われていく、我々の内なる細菌」マーティン・J・ブレイザー 著
腸のケア方法
さて「腸」の健康が如何に重要かについては、女性であれば関心が高い方も多いと思いますので既にご存知であった方も多くいらっしゃるかもしれません。
消滅してしまった「腸内細菌」を元に戻すことは叶いませんので、日頃から「腸」をどれだけケアしていくかということが大事になって来ます。
そこで私が昨年より試し始めているのが「アーユルヴェーダ」で用いられるハーブ「トリファラ」です。
「トリファラ」の「トリ」はサンスクリット語で数字の「3」を、「ファラ」は「果実」を意味します。
この「3つの果実」が指しているのは「アマラキ」「ビビタキ」「ハリタキ」の3種類の果実です。その中でも、私が個人的に興味が持っているのは「ハリタキ」です。
メディスン・ブッダともいわれる「薬師如来」の右手には「ハリタキ」の枝が握られているのです。
和名では「訶梨勒(カリロク)」といい、8世紀頃に律宗の開祖でもある僧侶 鑑真が伝えました。
「訶子(かし)」「唐訶子(とうかし)」「ミロバラン」ともいいます。樹皮と果実はともに、染料の原料となり、木材は家具などに使われます。
京都の仁和寺に収められている国宝の医薬書「新修本草」の中に「訶梨勒(カリロク)」の記述があり「味苦、温、無毒、冷気、心腹脹満を治し、食を下す」と記されています(正倉院にも「呵梨勒」として記述がある書物が収められている)。
古来から諸病を治癒させる霊力ある薬として用いられて来た「訶梨勒(カリロク)」は、その効力から室町時代より魔除けとして袋に入れて家の柱などに吊るして飾りました。現在でもこの風習は「匂い袋」という形で残っています。
インドの古い仏典にも、この「訶梨勒(カリロク)」の効能が分かるお話が伝わっています。
仏陀が激しい腹痛に見舞われた際に、帝釈天がミロバランの実を差し出したところ、仏陀の腹痛は即座に癒えたというのです。
仏教の説話の中にも、これと似たお話がいくつか散見されるようです。
「訶梨勒(カリロク)」の語源についても調べていますが、有力なものは見つけられません。
サンスクリット語である「ハリタキ」の「ハリ」と、「訶梨勒(カリロク)」の「カリ」の音が似ており、インドから名前自体も伝わっていたのかもしれません。
「訶梨勒(カリロク)」の「勒」は「弥勒菩薩」の「勒」でもありますが、これは「整える」という意味があります。
トリファラの効能
さて、肝心の「トリファラ」ですが、(私が取り寄せている)インド在住の日本人が運営しているHP上には、以下のような効能が謳われています。
かなり広範囲に渡る効果に驚かれるかもしれません。
トリファラは「強力なデトックス作用を有したハーブ」なのです。
アーユルヴェーダに関心のある方であれば既にご承知のことかと思います。
腸壁には、いつまでも不要な粘液がこびりついているのですが、トリファラはこれを削ぎ落として腸絨毛を洗い流すのだそうです。
胃腸の環境を改善し、抗酸化作用、抗肥満、坑糖尿病作用、抗菌力、ストレス軽減作用もあります。これに加えて特筆に値するのは放射線防護効果です。
マウスを使ったγ(ガンマ)線の放射線誘発死亡率実験で、トリファラを投与されたマウスは、投与されていないマウスに比べて60%も死亡率が低下しています。
3.11の原発事故によって放射線の怖さについては、多くの人が知ることになりましたが、もはや風化しつつあるのが現実です。
まだあの「フクシマ」の事故は収束していません。
γ(ガンマ)線とは、非常に透過力の強い放射線です。
紙はもちろんのこと、アルミニウムなどの薄い板を突き抜け、鉛などの厚い板でようやく遮蔽可能です。
このように到達距離が長いので、人体も難なく突き抜け、一部は人体に残ります。つまり外部被曝と内部被曝の両方の被害を被る放射線です。
「フクシマ」で放出された放射線で当てはまるのは「ヨウ素131」と「セシウム137」(この二つはβ線も出します)です。
「ヨウ素131」は甲状腺に、「セシウム137」は筋肉、肺、腎臓、骨、肝臓に蓄積されていく怖さがあります。
こうしたことからも、原発に取り囲まれた生活を余儀なくされている日本人にとっては放射線防護効果は重要な要素だといえます。
【参考リンク】
●アーユルヴェーダの「トリファラ」処方には放射線防護効果があることを発見!!
●Therapeutic Uses of Triphala in Ayurvedic Medicine
便の匂いがなくなる
トリファラを服用している多くの方が「ダイエット」目的であるのも頷けるほど、効果的に、しかも健康的に「痩せる」効果がありますが「腸内環境」を整えることを主題にして服用してみる価値は大いにあります。
汚い話ですが、最も顕著に感じるのは「便の匂いがほとんどなくなること」が挙げられます。
便の匂いの元は細菌です。嫌悪感のある匂いは大抵が悪玉菌(ウェルシュ菌や大腸菌など)の類ですので、匂いがなくなるということは非常に良い効果が出ている顕著な証です。
粉末と、錠剤があり、飲みやすいのは圧倒的に錠剤です(従来は粉末を水などに溶かして飲むのが普通です)。
基本的に食間に服用します。
残念ながら日本では販売しているショップがありません。
主にインドなどから個人輸入というかたちで購入することになり、多少手間がかかってしまいますが、副作用などもない安全な天然ハーブですので、腸に問題を抱えている方などは是非お試しになってみてはいかがでしょうか。
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。