心と体の調整期間「春の土用」『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第三回)』

2019.4.26

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三浦奈々依 ( フリーアナウンサー )

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり連載「神様散歩」を執筆。『福を呼ぶ 四季みくじ』出版。カラーセラピストとしても全国で活動中。

夏の足音が聴こえてくるような、今日この頃。
いかがお過ごしですか?

すっかり暖かくなったこの時季の七十二候は「霜止出苗(しもやみてなえいずる)」。
気がつけば、稲の苗もすくすくと成長していますね。

ですが「八十八夜の忘れ霜」といって、突然霜が降りることもあるから注意しなさい、という戒めのことわざもあるんですよ。でも、「忘れ霜」は「別れ霜」。
この時季を乗り切れば、霜の心配もなくなり、本格的な米づくりが始まります。

さて、私たち人間にとって今はどんな時季かご存知ですか?
ちょうど今は、心と体の調整期間とも言える「春の土用」です。

今日は「春の土用」の意味をご紹介しながら、この時季の過ごし方についてお話したいと思います。

春の土用とは

「土用」というと、「夏」「うなぎ」を思い浮かべる方も多いでしょう。

実は、土用は季節ごとにあって、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を「土用」と言います。春の土用は、雑節(ざっせつ)のひとつ。

中国から伝わった二十四節気と違い、農業と照らし合わせてつくられた日本独自の季節の節目となる歴日です。「春の土用」は立夏の前日まで続きます。

今年の立夏は5月6日ですから、4月17日に土用入りをして、土用明けは5月5日です。

この土用の期間は、土を司る「土公神(どくしん)」という神さまが司るといわれ、土を掘り起こしてはいけないと言われています。
今でも、この18日間を外して土木工事を行う方が多いとか。

ただし、土用の期間中でも土公神が天上に行き、地上を留守にする「間日(まび)」は作業をしてもいいとされているそうです。面白いですね。

その他、土用の期間は引っ越しや人生に関わる大きな決めごとなどは避けた方が良いといわれていますので、心にとめておきましょう。

春の土用の過ごし方

この春から、新たな環境で仕事や学業に励んでいる方もいらっしゃるでしょう。

「5月病」という言葉がありますが、ちょうど一カ月が過ぎ、ぷつんと糸が切れたようにやる気を失ってしまうことも。

「春の土用」に、体のケアもしっかりと。

季節の変わり目は、胃腸の抵抗力も落ちるといわれています。
お腹をこわしたり、疲れやすくなる方もいらっしゃるので、暴飲暴食にはくれぐれも気をつけて、腹八分目を心がけましょう。

気温が上がってくると水分補給の回数も増えますが、なるだけ飲み物は氷なしの常温で。

女性と漢方について探求していらっしゃる漢方薬・生薬認定薬剤師である村上百代さんによると、体温より冷たいものを摂取することにより、体が冷えて生まれるほてりが炎症を生み、皮膚疾患を悪化させやすくするのだとか。

年々、「花粉症」に悩む方も増えていますね。

私もそのひとりですが、氷入りの冷たい水はアレルギー体質の症状を深くするともいわれていますから、気をつけましょう。

春の土用におすすめの食べ物

春の土用は、「戌(いぬ)の日」に、「い」のつくものや、「白いもの」を食べると良いといわれています。

例えば、「いんげん豆」「いちご」「いも」「いか」。
白いものなら「豆腐」「大根」「しらす」等々。

お子さんと一緒にスーパーで「い」のつくもの、「白いもの」を探すのも楽しそうですね。
特にいちごや、桜の咲く頃を目安に取れ始め、5月に最盛期を迎えるしらすは、まさに今が旬。

炊き立てのご飯に釜揚げのしらす、小ねぎをのせて、真ん中に満月のような卵黄を落として、胡麻油をたらりとかけていただく、しらす丼なんていかがでしょうか。

しらすと言えば、神奈川県江の島名物の生しらす丼は絶品です。

ぷりぷりっとした食感。特に、この時季のしらすは濃厚な旨味がぎゅっと詰まって美味しいですよ。

海風に抱かれながら江島(えのしま)神社の女神さまに手を合わせ、テラスから青い海を臨み、生のしらす丼をいただいたら、心も晴れて5月病も吹き飛んでしまうでしょう。

いかがでしたか?

今日は、心と体の調整期間とも言える「春の土用」についてご紹介しました。

今から8年程前、半年の間に立て続けに二回入院するということがありました。
二回目の入院時、女優の天海祐希さん似の美しい女医さんに、「おかえりなさい」と厳しくも温かく迎えられ、食の徹底指導を受けました。
その後、一年間、穀物彩食の料理教室へ通いました。

そんな時間の中で、食べるもので私たちの体はつくられていて、その土地のもの、旬のものをいただくということは、自然の力をいただくことにほかならない、ということを痛感しました。

健やかに美しく生きるために、食を通じて自然の力をありがたくいただきましょう。

『四季に寄り添い、祈るように生きる』

次回は、「令和」新たな時代の始まりに憧れの神旅!と題して、日本国民の総氏神である「伊勢神宮」の正式な参拝法、1500年もの間、毎日欠かさず続けられているお祭りなど、伊勢の魅力を余すことなくご紹介させていただきます。


福ふく


参考文献

村上百代『二十四節気に合わせ心と体を美しく整える』

三浦奈々依 のプロフィール

三浦奈々依

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。

ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。

東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。

全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。

被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。


http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。


カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。

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