毎日に福を呼ぶ!~お家で楽しむデイリーおみくじ~『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第二十六回)』

2019.10.18

  • twittertwitter
  • facebookfacebook
  • lineline

三浦奈々依 ( フリーアナウンサー )

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり連載「神様散歩」を執筆。『福を呼ぶ 四季みくじ』出版。カラーセラピストとしても全国で活動中。

昔の人は、夕暮れ時になると山へ出かけ、虫の声を聞く「虫聞き(むしきき)」を楽しんでいました。リーンリーンと鳴くのはスズムシ。チンチロリンと鳴くのはマツムシ。私が好きなのは、リーリーと美しい声で鳴くアオマツムシです。

昔の人は、コオロギの声を「肩刺せ、裾刺せ、綴れ(つづれ)刺せ」と聞いて、着物の肩や裾に針を刺して、つづれ(ほころび)を直し、冬支度の繕いに励んだそうです。

実は、秋の虫の声は雄が羽を擦り合わせ、雌へ贈る求愛の音色……

今日は、私が執筆したお家で楽しむデイリーおみくじ「福を呼ぶ 四季みくじ」を使って、福を呼ぶメッセージをお届けしたいと思います。

日本の秋の夜長、虫たちのI love youを聞きながら、あなたの心の声に耳を澄ませてみましょう。

 

あなたが気になるカードは?

「福を呼ぶ 四季みくじ」には、春夏秋冬合わせて46枚のカードがあります。

カードに書かれたひとつひとつの季語に、昔の人が込めた思いがあります。

今日はその中から秋の季語が書かれた4枚のカードを使って、皆さんにメッセージを。

まずは、季語をゆっくり声に出して言ってみましょう。

そして、絵を見て、感じて下さい。

あなたが気になるカードはどれですか。

 

 色なき風(いろなきかぜ)

 蟷螂(かまきり)

 鹿鳴く(しかなく)

 龍田姫(たつたひめ)

 

それでは、4枚のカードに秘められたメッセージをご紹介します。

 

色なき風(いろなきかぜ)を選んだあなた

 

心のどこかに寂しさを抱えていませんか?

明確な理由があるというより、どうしようもない寂しさ、やりきれない思い……。

あなたの中に言葉にならない思いがあるようです。その寂しさの理由は、あなたの中にどこか満たされないという思いが存在するからかもしれません。

いにしえの人は、身に染むような秋風を「色なき風」と呼びました。

風にはもともと色がありませんね。でも、いにしえの人は、色をもたない風にあえて「色なき風」という名を与えました。

このカードを執筆する前のこと。

妹と平泉へ。山深い場所にある温泉宿の露天風呂につかりながら、ふたりで夜空を眺めました。「星がさんざめくって、どんな音がするんだろう」と、妹がぽそり。ふたりして、「きらきらきら」「しゃらんしゃらん」かな。いや、「さやさやさや」じゃない?と、星がさんざめく音をあれこれ想像したという懐かしい思い出があります。

色なき色があるように、音なき音があります。

静かに頬を伝う涙。そこにはきっと、声なき声があります。

虫の声に耳を傾け、秋の深まりを味わい、荒れ地に生える草花を愛でる「枯野見(かれのみ)」を楽しんだ昔の人は、今よりもっと、自然と、孤独と、仲良しだったのかもしれません。

自然を感じられる場所へ出かけて、深呼吸しませんか?

そして、自分の心と対話する時間を持ちましょう。

心を癒すひとりの時間。そんな時間こそが、あなたと人とのつながりを深めてくれるでしょう。

昔の人のように寂しさを味わい、感性や優しさを育んで。

ご自身の思いを、文章として綴るのも良いでしょう。「心の目」で見つめ、「心の耳」を澄ませると、聴こえてくる声、気づかされる思いがあるはず。

今は、詩人になりましょう。

 

蟷螂(かまきり)を選んだあなた

 

「福を呼ぶ 四季みくじ」の中で、祈りが天に届くとされる強い意味を持つカードです。

このカードを引いたら、是非、神社で絵馬を奉納しましょう。絵馬に書くのは、願い事とともに、「私は自分の願いを叶えます!」という力強い宣言。

蟷螂は胸の前でカマをそろえ、獲物を狙う姿が、まるで祈りを捧げているように見えることから、日本では「おがみ虫」と呼ばれています。英名はPraying mantis

あなたに必要なものは、ずばり集中力です。

「私には無理」「不安だな」「こわい」という言葉はゴミ箱に捨てましょう。あなたが今一番欲しいものだけに意識を向けるのです。あとは、それが手に入ったかのように心に強くイメージしてください。スポーツ選手が行うイメージトレーニングと一緒です。

2008年に現役を引退していますが、私が大好きだったプロゴルファー・アニカ・ソレンスタムの強さの秘密は「メンタルの強さ」でした。彼女のキャップのひさしの裏に書かれてあった言葉は「Face the Fear(恐れと向き合え)」。

アメリカのツアーで通算72勝、史上最多8度の賞金女王に輝いたアニカは、恐れの正体は「可能性を疑う心」と話していました。「何かを達成するカギは、そのことに恐れを抱かないこと。それをやり遂げる勇気が必要」という言葉に感銘を受け、このカードのメッセージを思いつきました。

実現してほしくないことに意識を向けない。

考えすぎて、無駄に自分を不安にしない。

ただただ、欲しいものを手に入れるためにベストを尽くす。

集中力が高まれば高まるほどに、人から発せられる強い磁力があります。あなたの磁力を使って、あなたは欲しているものを必ずや手に入れることが出来るでしょう。

自分の願いを叶える!と、覚悟を決めて下さい。

 

鹿鳴く(しかなく)を選んだあなた

 

あなたはもっと自由に、自分を表現したいと思っているようです。

人生を面白く豊かにしたい」。

そんな思いが、あなたの心の中に息づいています。もしかしたら、繰り返しの毎日に飽きているのかもしれません。「きちんとした」より、「わくわくする」感覚を優先しましょう。凝り固まった考え方をぶち壊して。物事を難しく考えず、子どもに戻って人生を楽しみましょう。

いつのまにか、「こうでなければならない」と、自分を「常識」や「大人」というせまい世界に閉じ込めてしまっていませんか?

「もう年だから」「面倒くさい」と、いろいろなことをあきらめていませんか?

刺激やときめきを求めて、旅に出る。

いつもと違ったアートや趣味の世界に触れてみる。

過去に置き忘れた夢を思い出し、再度挑戦してみるのもいいでしょう。

一歩踏み出せば、見える世界は確実に変化します。

万葉人は、萩の花に鹿が求婚するというユニークな和歌を詠んでいます。

萩の花が咲く時期と、牡鹿がよく鳴く季節が重なることから、萩は「鹿の妻」、また鹿は「萩の夫」にたとえられました。鹿は古来、「声の動物」とされてきました。歌人たちは鹿が妻を求めて鳴く声に、自分自身の妻恋い(つまごい)の思いを重ねていたのです。

もしかしたら、あなたには心が求める誰かがいるのでは?

萩を「鹿の妻」という視点で見ると、このカードに描かれているのは「家族」。小鹿にとって萩の花はお母さんですね。もしかしたら牡鹿は妻である萩の花に、「今晩の夕飯は何?」と尋ねているのかもしれませんね。

私たちが視点を変えるだけで、世界の見え方は大きく変化します。

逆の視点から物事を見つめてみると、思わぬ気づきが生まれることも。

人生を今よりもっと面白く、豊かにできるかはあなた次第です。

 

龍田姫(たつたひめ)を選んだあなた

 

「福を呼ぶ 四季みくじ」には、「麗しの大吉」カードが2枚あります。

ひとつは、あなたが選んだ日本の秋をつかさどる女神「龍田姫」。

もうひとつは、日本の春をつかさどる「佐保姫(さほひめ)」。面白いことに、日本には四季を司る女神がいます。夏は筒姫、冬は白姫。言ってみれば、四季の四姉妹ですね。

野山の木々を赤や黄色に染め上げ、景色を一変させていく「龍田姫」のカードを選んだあなたへのメッセージは、「思い切ったイメージチェンジが福を呼ぶ」。

あなたの中に、変身願望があるようです。さらに言うなれば、あなたが麗しの大吉運を手に入れられるかどうかは、あなたの変身次第ということ。

家と仕事を往復する毎日、同じようなファッション、代わり映えのないヘアスタイルで、いつもの友人と同じような場所に出掛け、痩せようと思いながらお菓子をつまんで、「何かいいことないかな~」とため息をつく。そんな毎日は確実に、あなたから若さと美しさを奪っていきます。気がついたら、立派なおばさん、おじさんに。

龍田姫が手にしている鈴は、「よ~い、スタート!」の合図。

この絵を描いて下さった仏画家・観瀾斎先生が突然思い立ち、完成した絵に、しゃらしゃらと今にも音が聴こえてきそうな神鈴を描き加えました。

実は、何度も何度もこのカードを引いた女性がいました。彼女はどちらかといえば、ファッションにあまり興味のないタイプ。長い髪をひとつに結び、眼鏡をかけて、いつもラフなパンツスタイル。

ある、ボランティア活動を通じて知り合った男性に恋をしていたのですが、思いを伝える勇気もなく、なんとなく毎日をやり過ごしていたのです。でも、このカードを繰り返し引くうちに、彼女の中に「変わってみようかな」という思いが芽生え、髪をばっさりショートにして、フェミニンなワンピースを購入。待ち合わせ場所のカフェに入ってきた彼女の変身ぶり、可愛らしさに、私もボランティアの仲間たちも顎が外れるくらい驚き、その場が騒然としました。その男性も、彼女のあまりの変わりように驚き、ドギマギと。

彼女の思い切ったイメージチェンジが、その後の二人の人生を大きく変えたのです。

このカードはあなたに、「新たな自分と出会う冒険の旅に出よう!」とメッセージしています。

人生を色鮮やかに輝かせるため、なりたい自分を具体的に思い描いて、胸をはって街を闊歩しましょう。いくつになっても、おしゃれは心をときめかせてくれます。外見、内面ともに、あなたの魅力に磨きをかける時。自分に自信が生まれれば、おのずと瞳が輝き、自分を磨けば磨くほど、あなたの運気も自然と高まっていくでしょう。

 

いかがでしたか?

あなたが選んだ1枚には、あなたに贈られる大切なメッセージがあります。

メッセージを意識して過ごしてみたら、あなたの毎日は少しづつ変化していくに違いありません。

変わろう!と思ったその瞬間から、人はきっと変わっているのですから。

 

福ふく

 

参考文献:『お家で楽しむデイリーおみくじ「福を呼ぶ 四季みくじ」』
観瀾斎(絵)三浦奈々依(文)栗原周玉(書) / 株式会社プレスアート(発行)

三浦奈々依 のプロフィール

三浦奈々依

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。

ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。

東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。

全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。

被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。


http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。


カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。

おすすめ関連記事

2019 12/06

「お歳暮」あなたの感謝の思いがカタチになった贈り物『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第三十二回)』