2019.12.1
トイレにも心がある~トイレ掃除で人生を輝かせよう~『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第三十一回)』

12月に入りました。月日が経つのは早いものですね。
私はアナウンサー、ライターとして活動をする前、旅行会社で働いていました。その時、お世話になった先輩に、「40歳を超えると、まるで下り坂を駆けるように、あっという間に時間が過ぎていくわよ」と言われたことを思い出しました。その言葉の意味を、身をもって感じています。
冬の朝日を浴びながら、残りわずかとなった2019年、一日一日を大切に過ごそうと思いました。
さて、12月は一年の最後の月。
「旧年を払い除いて、新年を迎える」という意味で、「除月(じょげつ)」と呼ぶそうです。
12月31日は「除日(じょじつ)」。その夕方は「除夕(じょせき)」。その夜は「除夜(じょや)」。ちなみに年が改まったばかりの社寺に参詣することを「除夜詣(じょやもうで)」といいます。
この「除」という漢字。作家、評論家として活躍する山下景子さんによると、もともとは梯子や階段をあらわす漢字だったそうです。一説によると、神様が天に昇り降りするための梯子を意味していたとか。
新たな一年、神様をお迎えするために煤やほこりを払う。邪気を祓い清める。
古いものをとり除き、新しい年へ向かう「除月」は、一年を12段の梯子とすれば、最後の一段ということになりますね。
その先に、「来年」という新たな一年が待っている。
そう思えば、「この一カ月で何を取り除くか」「来年に向けてどんな心構えを持つか」ということは、2020年の運命を大きく左右するかもしれません。
今回は「除月」、12月におすすめしたいトイレ掃除についてご紹介します。
トイレがあなたの運命を変える!と言っても過言ではありません。
あなたのお家のトイレはキレイですか?
トイレの神様
2010年、「トイレの神様」という曲が大ヒットしました。あの曲を耳にするたび、亡くなった祖母のことを思い出して、少し切ない気持ちになります。
「トイレには それはそれはキレイな女神様がいるんやで
だから毎日 キレイにしたら 女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで」
人生の流れを良いものに、と願うのであれば、ぜひトイレ掃除から始めましょう。
トイレにも心がある
これは、九州の小学5年生の女の子の体験談です。
その女の子は、「掃除の道」の提唱者である鍵山秀三郎氏が創業した自動車用品販売会社イエローハットのスタッフの皆さんと一緒に、トイレ掃除をすることになりました。
「トイレにも心がある」と言われ、その女の子は「そんなことあるものか」と思いながら、担当の便器に到着。こびりついたあかや汚れはなかなかとれず、半分やけくそになってゴシゴシやっていた時、「トイレにも心がある」という言葉を思い出して、「キレイになりますように」と思いながらこすると、まるでその心が伝わったかのように、汚れもつるっと落ちて、トイレもピカピカに。
「わぁ、ほんとうなんだ」と、女の子は驚きました。
掃除が終わってトイレから出てみると、友だちみんな、気持ちのよい顔をしています。
女の子は、「トイレ掃除をして私の心も磨けた気がしました」と作文に書きました。
私は全国各地で仕事をするので、さまざまなトイレをお借りしますが、プロのお掃除の方が入っているところは別として、スタッフの皆さんが手分けをして掃除をしているところなど、トイレが清潔なお店様、会社様は、お客様も入っていて、仕事も上向きなところが多いなと感じます。
きっと、スタッフの皆さんの心も磨かれているからなのでしょう。
トイレ掃除を習慣にしているという、ビートたけしさんや明石家さんまさん。皆さん、長年にわたり愛され、今も第一線で活躍していますね。
ふんわりアロマが香るトイレ
私の場合、朝起きたら、まずはトイレ掃除から一日が始まります。
手作りの消臭&お掃除兼用スプレーをクリーナーとしてプシュッ。とっても気持ちが良いので、ぜひお試しください。
・無水エタノール 20ml
・水道水(あれば精製水。100円ちょっとで購入できます) 30ml
・おすすめオイル ペパーミント、ラベンダー、ユーカリなど 20滴~
・クエン酸 小さじ1/2
・スプレー容器
私は、部屋に花や緑を飾る習慣があるのですが、その中から一輪、トイレにも飾り、枯れたら、「ありがとう」と言って処分するようにしています。
以前、友人のちびっこが初めて家に遊びに来た時、「いい香り~」「気持ちいい」と、何度も何度も家のトイレへ。爆笑しました。
子どもは素直。子どもはみんな小さな神様だなと思います。子どもたちが喜ぶキレイなトイレは、きっと神様も大好きだと思います。
神様はキレイ好き
神社に行くと、手水で身を清め、祈祷では榊の枝に紙垂(しで)や布、麻をつけた大麻(おおぬさ)といわれるものを振ってお祓いをします。
人は本来、神様と同じ心を持っているといわれますが、日々の生活で心の曇りや穢れというものは、どうしても積もってしまうもの。
お祓いとは、本来の自分自身、即ち、神様の心に戻るための儀式です。
そう考えれば、神様はもちろんキレイ好き。
そして、私たちの「キレイにしよう」という心がけが、神様の心に戻るための第一歩ではないでしょうか。キレイにもさまざまな意味がありますね。
身なりにきちんと気を使っている人
立ち居振る舞いの美しい人
心が清らかな人
身のまわりをキレイにしている人
さて、私が執筆致しました『福を呼ぶ 四季みくじ』には「沈丁花」というカードがあります。
春の宵にただよう沈丁花の甘い香り。
私は沈丁花の香りが大好きで、毎朝、沈丁花の香りのお線香を焚いて、祈りを捧げています。
清めや祈りの香りとして唐より伝わった香は、自分の存在や、あふれ出る思いを表現する雅な道具として用いられるようになりました。
香りは「香居り」が由来ともいわれています。
立ち居振る舞いにあらわれるのは、あなたの心。匂い立つのは、心が放つ香り。
「心のあり方が、人の印象を大きく左右しますよ」というメッセージが込められたカードです。
この除月。
「トイレさん、今年も一年お世話になりました。本当にありがとう!」と感謝の思いを伝え、ピカピカに磨いたら、その心が通じて、女神様みたいにべっぴんさんになって、きっと、沈丁花に負けないくらい素敵な香りが私たちの心から放たれるでしょう。
『四季に寄り添い 祈るように暮らす』
次回は、20代の失敗から学んだお歳暮を贈るときのマナーについてご紹介させていただきます。
参考文献:山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』/ 鍵山秀三郎『掃除道』
三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。