「お歳暮」あなたの感謝の思いがカタチになった贈り物『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第三十二回)』

2019.12.6

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三浦奈々依 ( フリーアナウンサー )

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり連載「神様散歩」を執筆。『福を呼ぶ 四季みくじ』出版。カラーセラピストとしても全国で活動中。

12月7日は二十四節気の「大雪(たいせつ)」。

野山に雪が降り、日を追うごとに寒さが厳しくなっていく時季です。本格的な冬の訪れですね。

この時季、ひっそりと咲く真っ白な侘助椿は、まるで雪の妖精のようだなと思います。

茶花としても好まれた侘助椿は、かの千利休も愛してやまなかった花です。

昨年、京都の寺で庭園の隅でひっそりと花笑む侘助を見て、そのつつましく、やさしい佇まいに、しばし見とれてしまいました。

さて、気がつけば、今年もお歳暮の季節を迎えています。

お歳暮は東日本と西日本で、時期が違うことをご存知ですか?また、お歳暮に贈る品としてふさわしくないものもあります。20代の頃の失敗から学ばせていただいた、お歳暮のマナーを皆さまに。

今日のテーマは「お歳暮」です。

 

お歳暮に込められた思い

お歳暮とは、「今年一年お世話になりました。また、来年もよろしくお願いします」というお礼の気持ち。もともと 「歳暮」という言葉には「年の暮れ」という意味があります。

お正月のお年玉が目上から目下に贈られるのに対して、お歳暮は目下から目上に贈り、謝意をあらわすものだったそうです。

その起源は諸説ありますが、室町時代とも。その後、江戸時代には、盆と暮れに長屋の大家さん、仕事でお世話になっている取引先に、店子や商人が贈りものを持参するという、一般的な風習として全国に広まったといわれています。

お歳暮の時期は、東日本では11月下旬から1220日前後、西日本では1213日から20日前後とされています。

昔は、年神様を迎えるための準備にかかる日のことを「正月事始(しょうがつことはじめ)」といって、12月13日から門松を準備したり、雑煮を炊く薪をとるために山へ入ったり、煤払いなどをしていたそうです。現在、その習慣を守る人も少なくなり、お歳暮を贈る時期も前倒し傾向にあるようです。

お歳暮は、送り先の方が暮らしている地域に合わせて贈るのがマナーですよ。

お歳暮に贈ってはいけないもの

 

普段、何気なく贈っているものであっても、お歳暮にふさわしくないものがあることをご存知ですか?

私がまだ20代の頃。

尊敬する会社の先輩にお歳暮を贈り、やんわりとご指摘をいただいたことがありました。先輩は、「あなたの気持ち、とっても嬉しいわ。どうもありがとう」と感謝の言葉を。その後、「世の中にはこういうことに細かい方もいらっしゃるから」と、お歳暮を贈る際のマナーを教えて下さいました。当時は、穴があったら入りたいと、顔から火が出そうになりましたが、今は先輩に感謝しています。

お歳暮としてふさわしくないとされるものは、

マットやスリッパ・・・「踏みつける」を連想。

ハンカチ・・・『手巾』は、芥川龍之介の短編小説のタイトルにもなっていますが、ハンカチは日本語で「手巾(てぎれ)」といいます。この言葉の響きは「手切れ」、絶交という意味に通じるという解釈もあり、お歳暮にはふさわしくないと考えられています。

はさみや刃物・・・刃物は「縁を断ち切る」という意味でとらえる方も。

花や植物・・・意外に思う方が多いと思いますが、花や植物にはさまざまな花言葉があります。贈る場合はしっかりとチェックしましょう。

櫛・・・日本ならではの考え方として、4と9という数字は、「死」「苦」を連想させることから、あまり縁起が良くないとされています。そこで、9と4の数字を連想させる櫛は、お歳暮として控える方も多いようです。

お歳暮の品は、お相手の方との関係性にもよるかと思います。ご参考までに。

「感謝の気持ち」を大切にする歌舞伎の世界

歌舞伎界では、襲名披露はもちろんのこと、お中元、お歳暮、ごひいきへの挨拶まわり、演技をご指導いただいたお礼、楽屋への差し入れと、なにかと記念品を贈り、感謝の思いを伝えることで知られています。

約400年の歴史の中で、演劇、舞踏、音楽の要素を備えた総合芸術、日本が世界に誇る素晴らしい伝統芸能として現在に受け継がれる歌舞伎の世界では、人と人とのつながり、ご縁というものを重んじ、感謝の思いを長い歴史の中でカタチにして贈ってきたのですね。

歌舞伎の世界はもちろんですが、日本で贈り物の習慣はもはや文化といえるでしょう。

お歳暮に贈りたいもの

さて、お歳暮を贈るお相手は、昔であればお世話になった人や上司、取引先などが主でしたが、最近では、親しい友人や知人、親族などに贈るケースも増えているそうです。

私はお歳暮に東北生まれのものを贈っています。私が暮らす東北には、震災後、さまざまな思いを胸に立ち上がってきた会社が数多くあります。

そのストーリーを手書きで添えて、そのモノがつくられた背景に思いを馳せて欲しいという私なりの復興への願いを込めて。

そういえば、11月下旬、ローマ教皇が38年ぶりに来日し、ローマ教皇庁大使館で昼食会が行われましたね。

その際、昼食を提供したのが千葉県佐倉市のイタリアンレストラン「オリベート」。

ローマ教皇に出す料理はレストラン側に一任されたそうですが、萩原オーナーはどんな料理を出すべきか悩んだ末、9月以降、台風や豪雨で被災した農家の食材をふんだんに使い、料理を。

そこに込められたものはおもてなしの心と、やはり、復興への願いでした。

ローマ教皇にその思いが通じて、「ありがとう」という言葉とともに、スタッフの皆さんに感謝のロザリオが贈られたそうです。

お歳暮に贈るものは、単なるモノではなくて、感謝の思いです。

「私の感謝の思いをカタチにするとしたら……」

そう考えて、お歳暮を選んでみてはいかがでしょうか?

 

参考文献:小学館 『日本の歳時記』

三浦奈々依 のプロフィール

三浦奈々依

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。

ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。

東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。

全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。

被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。


http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。


カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。

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