2019.12.13
12月26日山羊座日食 ~時代が変わる800年に一度のチャンス(前編)~『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第三十三回)』

12月13日は「正月事始(しょうがつのことはじめ)」といわれています。
門松を準備したり、雑煮を炊く薪をとりに山へ入ったり、煤払いをして、年神様を迎えるための準備を始めるのにふさわしい日。
12月、日本各地の神社で、一年の汚れを落とす、煤払いが行われていますね。
以前、故郷の神社で、煤払いの様子を拝見。朝早く、神職さんが境内を掃き清め、松を飾り、新しい年を迎えるための準備を行っていました。
私事になりますが、当時、私はすべての仕事から退き、余命宣告をされた妹と病院で日々を過ごしていました。
毎朝、病院の近くに鎮座するこちらの神社を参拝。どうか、妹を助けて下さいと神頼みを。
その日、引いたおみくじに書かれてあったのは、
これ、七転び八起きという
力を落とさず、希望を捨てず正しい道をぐんぐんと進んでいく
肉体は滅びても、幾千万年続く魂の世界がある
この言葉に、涙がこぼれました。
大切なことに気づかされた気がして、すべてを受け入れようと思うことが出来ました。
それからは、妹が妹らしく生きられるようにと祈りました。
あれから5年の歳月が流れましたが、この時期になると、あの日の神社の清々しい空気を思い出します。
今年も残すところ、あとわずかですね。
身も心も、暮らしもきれいに整え、新たな一年を迎えましょう。
さて、12月26日木曜日、山羊座で日食が起こります。
今回の日食はなんと、人生の流れを激変させる稀有なチャンスをもたらす、800年に一度ともいわれる特別な意味を持つそうです。
今から800年前といえば、新しい価値観、新しい人生観を求めた人々によって、鎌倉幕府が開かれ、政権は貴族から武士へ。
そこから800年にわたる日本の歴史の変遷を振り返りながら、今週来週と二週にわたり、山羊座日食を読み解きます。
アドバイスをして下さるのは、星学のプロフェッショナル阿部小百合さんです。
「日食」は長期的な意味でのスタート
2019年12月26日14:12分頃。山羊座で日食が生じます。
日食とは新月の時、月が太陽の前を横切ることで、太陽を隠すことから生じる現象です。文字どおり太陽が食べられてしまうかのように見える現象。
日本では14:30分頃から部分日食が始まり、15:30頃が最大となります。
そもそも、新月は太陽と月が同時に昇るため、月の形を見ることができない「闇夜」。
旧暦では月が立つ日。新たなスタートを意味しますが、特に‘日食’は、長期的な事柄がスタートする、特別な新月といわれています。
とりわけ今回の、令和元年12月26日の山羊座日食は、「新しい時代の幕開けとして、非常に大きな転換点となるでしょう」と、阿部先生。
20年に1度の‘グレートコンジャンクションの幕開け’ともいわれる山羊座日食。
この時期をどう過ごすか。
その過ごし方によって、長期的なスパンで、まだ見ぬ未来が大きく変わる、と言われたら、ドキッとしますよね?
20年に一度のグレートコンジャンクションとは?
グレートコンジャンクションとは、地球から見て、木星と土星が重なって見える星回りです。
ローマ神話における神々の王‘ジュピター’の名で呼ばれる木星は、拡大や発展を司り、さまざまな流行を生み出します。
一方、時の神‘サターン’の名で呼ばれる土星は、時間をかけてじっくりと形作るよう物事を遅らせると同時に、権力の象徴でもあります。
つまり、言うなれば、天空で‘王’と‘権力者’が同座すること。
それがグレートコンジャンクションです。
そう聞いただけでも、強力なパワーを感じますね。
これら二つは、いずれも社会の動きを司る惑星ですので、グレートコンジャンクションは経済システムの変化、政権交代、あるいは新しい文明の利器の普及など、大きな変革をもたらすといわれています。
例えば1961年に生じたグレートコンジャンクションの頃を振り返ってみましょう。
「カラーテレビや自動車が一般家庭に普及し始めた時期。ムームー、カンカンドレスやショートパンツなど、それまでにない独特なファッションが流行ったのもグレートコンジャンクションの特徴といえるかもしれません」と、阿部先生。
この時期の星回りは、社会全体が大きく変わる、呼び水となります。
直近のグレートコンジャンクションでいえば、来年2020年12月22日午前2:46分 水瓶座0°で生じます。
グレートコンジャンクション自体は約20年に一度、訪れる星回りで、それほど珍しいわけではありません。
ですが、2020年のグレートコンジャンクションは、「地の時代」から「風の時代」へと移り変わる非常に大きな節目となります。
「一人一人の意識までも塗り替えてしまうくらい、壮大な変化がやってくるでしょう」と、阿部先生は話します。
「地の時代」「風の時代」とは?
では、「地の時代」「風の時代」とはそもそも、どんな時代なのでしょうか?
1802年に乙女座で生じてから約200年間、殆どのグレートコンジャンクションは牡牛座・乙女座・山羊座という「地の星座」で起こりました。
「地」が司るのは「物質」です。
大地に裾野を広げる山のイメージでとらえていただくと、分かりやすいかもしれません。
「地」のエレメントのキーワードは、所有、生産性、保守、安定、実質的、伝統、等々。
つまり過去約200年間続いた「地の時代」は ‘物質主義の時代’だったといえます。
200年前といえば、ペリー率いる黒船が浦賀に来航した時期です。
これをきっかけに安政の大獄、桜田門外の変、薩英戦争など、いくつもの事件や戦いを経て、日本は開国。ついには、第15代将軍である徳川慶喜が政権を朝廷に返上する”大政奉還”を行い、265年続いた江戸幕府は幕を閉じました。
そうして、”明治”という新しい時代が始まったのです。
明治政府は官営規範工場の設立や、交通、通信網、金融制度の整備を行い、日本は驚くべき速さで近代国家への道を歩み始めました。
産業革命が起こり、物質的にどんどん豊かになっていきましたね。
日本史における大転換期ともいえるでしょう。
一方、来年2020年のグレートコンジャンクションは「風」の星座である水瓶座で起こります。
前回、風の星座の時代の幕開けとなったのは、西暦1186年、天秤座のグレートコンジャンクションでした。
わかりやすい例では、日本の平安時代が「地の時代」、鎌倉時代が「風の時代」です。
「平安貴族たちは庶民から搾取することで豊かな貴族文化を築いてきましたが、そこに「風穴」が空き、蓄積した不満が噴出した結果、鎌倉幕府が生まれたともいえますね」と、阿部先生。
「風」のエレメントのキーワードは、「革新的」「思考」「知的好奇心」「移動」「新しさ」「若々しさ」「コミュニケーション」。
つまり、凝り固まったものを崩し、新しい風を巻き起こすのが「風の時代」なのです。
来年2020年、およそ800年ぶりに風の星座の時代がやってきます。
ということは、社会はもちろん、私たちの人生も大きく変化していく可能性が。
そして、ここから2159年に生じる水の星座・蠍座のグレートコンジャンクションまでの約140年間、「風の時代」が続きます。
歴史を紐解くと、地の星座の時代から風の星座の時代への移行期には「風穴を開けるできごと」が起きていますので、日本史、世界史における、大転換期が再びやってくるかもしれません。
私たちにとって2020年はどんな年?
2020年は2008年から山羊座入りしていた冥王星が、木星・土星とそれぞれ重なります。
ですから、冥王星を含めた‘トリプルグレートコンジャンクション’と呼ぶ人もいるそうです。
黄泉の国の王‘プルートー’の名で呼ばれる冥王星は‘死と再生の星’。
社会の在り方、価値観を根本から変容していく力となります。
山羊座に惑星が集中した後、水瓶座へと抜けていく2020年。
地の星座である山羊座的な価値観は、少数の特権階級が利権を独占し、多くの人々から搾取するピラミッド型社会に象徴されます。
個々の違いを認めず、一律にしようとする動きも特徴。
一方、ピラミッドを覆して、一人一人の個性を認め、平等な社会を作ろうとするのが風の星座である水瓶座的な価値観といえます。
「風の時代」は、人間性が主体。
一人一人の個性を活かしあい、社会を築き上げていく時代といえそうです。
「物質的な豊かさよりも、精神の豊かさを求めるようになるでしょう」という阿部先生。
今年、私の友人は脱サラをして、都会を離れ、パートナーと農業を始めたのですが、一足早く風の時代に向かって歩き始めていたのかもしれません。
2020年は山羊座的な古い価値観と、水瓶座的な新しい価値観がぶつかりあう、相反するエネルギーが渦を巻く、刺激的な一年。
闇を打ち破り、朝日が昇る。新たな時代の幕開けといえるでしょう。
明るい未来を手に入れるために、手放すもの
この大きな過渡期。
私たちにとって最大のライバルとなるのが、他でもない自分自身の思い込み。
「こうあるべき」「きっと、こうだ」といった過去の思い込みから、「目覚めて~!」と、けたたましくアラームが鳴り始めます。
特に、「世の中はこういうもの」「社会は変わらない」と、半ばあきらめ、ひたすら耐えてきた人は、勇気を出して声を上げることで、現状を突破する道が開かれるかもしれません。
そういう大きな力が働くのが、2020年なのです。
「また、そんな夢物語みたいなことばかり言って。もっと現実を見なさいよ」
と言われても、夢を持って、信じた道をひたすら歩き続けてきた人たちが報われる時代へ。
心に夢を描いて下さい。
中でも、山羊座、蟹座、牡羊座、天秤座の人たちは、この12年間、大きな変化を促され、とりわけ過去2年間を振り返った時、「苦しい」と感じることが多かったかも知れません。
そうした試練と向き合い、もがきながらも前進してきた人たちにとって、この山羊座月食は、光と風を感じられる、新たな未来の幕開けとなりそうです。
今回は、天体の動きとともに日本の歴史を紐解いてきました。
ちょっと壮大な話になりましたが、次回は、26日の山羊座日食が私たち一人一人の人生に及ぼす影響、そして今よりもっとしあわせに生きるためのアドバイスを、星座別にご紹介します。
一年間の汚れを払い、隅から隅まできれいにすると、年神様がたくさんのご利益を持って降りてくると信じていた、古の人々。
お正月に年神様を迎えるために、1年の汚れを払い、清めることが煤払いと言うならば、今回の山羊座日食は、「一年どころではなく、長期的なスパンでの人生を左右する煤払いだと思います」と阿部先生。
星学のプロフェッショナル阿部小百合先生もワクワクしている今回の日食。
次回もどうぞ、お見逃しなく。
<阿部小百合プロフィール>
精神科学研究室「シルフェ」主宰 / 星学コンサルタント養成講座講師
HP:http://sylphens.com/
ブログ:https://ameblo.jp/tori9494/
三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。