2020.1.24
インナービューティークッキング ~ キッチンは家庭の薬局 ~『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第三十八回)』

大寒を過ぎて、気がつけば1月も第4週目に入りました。
寒さが厳しい時季といわれていますが、福岡の舞鶴公園で21日、タンポポの開花を観測。平年より41日、去年より1日早い開花、というニュースが飛び込んできました。
暖かさに誘われ、早くも春の花が咲き始めています。
ちょうど、その3日前まで福岡で仕事をしていたのですが、雪ではなく雨が降り、雨が上がったほんの数分、空にダブルレインボーがかかり、仕事仲間としあわせなひとときを過ごしました。
さて、冬から春へと移り変わっていくこの時季、気温の変化に体調を崩す人も多いといいます。
震災後、私は二回の入院経験から食の大切さを痛感。
一年にわたり、インナービューティークッキングなるものを学びました。「キッチンは家庭の薬局です」とおっしゃる先生に、体の中からきれいになるレシピや、感情と臓器の関係について教えていただき、さまざまな料理を作りました。
今日は、肩こりに効く温かい飲み物のレシピ、感情別におすすめの食材などをご紹介します。
「最近イライラしている」「なんだかひどく気持ちが落ち込む」「ボーっとしてしまう」……
皆さんの心の状態はいかがですか?
また、食べてきれいになる方法もご紹介。それは、驚くほど簡単なことです。
肩こりによい飲み物とは
同じ肩こりでも、右肩、左肩で、おすすめの飲み物は違います。
今日は、緑茶の茶葉と茎を摘み取って天日干しをして、よく乾燥させ、三年間熟成後じっくり焙煎をさせたお茶、三年番茶を使った飲み物を。
まずは、右肩の肩こりにおすすめののレシピをご紹介します。
大根湯の材料
生姜おろし 大根おろしの10%
醤油 大さじ2分の1
三年番茶 1カップ
① 大きめの茶碗に大根おろしを入れて、生姜をおろします。あとは醤油を入れてかき混ぜ、番茶を注ぐだけです(かき混ぜません)。
大根は有害物質を無毒化するのを助ける食材のひとつ。大根湯は肩こりはもちろん、首、後頭部、耳鳴り、腰痛にもよいといわれています。
左肩の肩こりにお悩みの方には、梅生番茶がおすすめです。
梅生番茶の材料
醤油 大さじ1~2
生姜の絞り汁 2~3滴
三年番茶(赤) 50~200cc
① 湯飲み茶わんに梅干しを入れて、スプーンでまんべんなく潰します。
② 生姜の絞り汁を入れ、醤油を加えます。
③ ②をしっかり練り、沸かしたての三年番茶を注いで飲みます。
梅生番茶は疲労の回復を早めるといわれ、低血圧で寝起きの悪い方にもおすすめです。胃痛や腹痛、貧血気味の方も、ぜひお試しを。
よく噛んで、いつまでも若々しくきれいに
弥生時代の人びとは、1回の食事で約4000回も噛んでいたといいます。
ところが、忙しい現代では食事にかける時間も減少。やわらかい食べ物を好むようになったことなどから、噛む回数が6分の1に減少しているといわれています。
食べ物を口に入れたら、味わうとともに、食べ物を噛むことによって、唾液化して呑み込む。この唾液の成分が、胃腸での食べ物の消化吸収を促進するのです。
料理教室では、咀嚼の大切さも学びました。
皆さんは、咀嚼が、がんや老化予防につながるといわれていることをご存知ですか?
唾液に含まれるペルオキシダーゼというたんぱく質には、発がん性物質の発がん作用を抑える働きがあるといわれています。また、ペルオキシダーゼは、活性酸素を抑制する酵素。よく噛むことは老化防止、ひいては"きれい"につながります。
早食いは、消化器官に負担をかけ、消化不良を起こすことも。また、早食いの人は満腹感を感じる前に必要以上の食事をしてしまうことから、肥満につながる恐れがあります。
早食いをせず、よく噛んで、食事を楽しみましょう。
そういう時間の中でこそ、命をいただくことへの感謝の気持ちも感じることが出来るのではないでしょうか。いただく命、自分の命に対する感謝、思いやりの心を持って、ひとくちで最低でも30回は噛むよう、心がけましょう。
感情と臓器の密接な関係
感情と臓器には密接な関わりがあります。
私たちの心のあり方、感情が、体に大きな影響を及ぼしていると知り、驚きました。
私が料理教室に通い始めたのは、震災後、一年の間に2回入院するという経験がきっかけでした。
非日常の生活を送りながら、仕事、ボランティア活動と並行して行っていたのですが、突然、激しい腹痛に襲われ、緊急入院。
振り返ってみると、当時、私の中でさまざまな感情が渦巻いていたような気がします。
その後、再び深い悲しみを経験し、心と体を整える意味で、食を意識するようになりました。
今日は感情別に、体によい食材をご紹介します。
怒り
怒りは肝臓とつながっています。
肝臓が病むと気が上昇、怒りっぽくなります。また反対に、怒る気力がなくることも。
最近、妙にイライラする、心が落ち着かないという人は、緑の食べ物、ほうれん草や小松菜などの青菜、ブロッコリー、酢の物をいただきましょう。
また、自然豊かな場所に出掛け、天然の緑に抱かれのんびり過ごしましょう。
喜び
過剰な喜び、有頂天になって大笑いをするということも、実は、心臓に負担をかけます。
喜びが強すぎると、子どもは興奮が高まり、心が不安定になりますね。
心を患っている方が、突然笑い出したかと思えば、一転、笑いを忘れボーっと宙を見つめる。その状態も同じです。
喜びが強い場合は、赤い食べ物、にんじんやトマト、その他、夏野菜であるきゅうりやなすなどをいただきましょう。
物思い
物思いにふけり過ぎると、脾臓や胃に害を及ぼし、下痢などの症状が出る人も多いといわれています。
心配事があり、思い悩む日々が続いていると、胃に負担がかかり、口臭が強くなることも。その場合、消化不良も考えられますので、胃腸に負担をかけない、消化に良い食事を心がけましょう。
おすすめしたい食材は、さつまいもやトウモロコシ、かぼちゃといった黄色い食べ物。また、玉ねぎ、にんじん、大根、キャベツなど。お砂糖が入ったお菓子類は控えて下さいね。
悲しみ
嘆き悲しむなどの感情が強いと、気が消えて肺を弱めるといわれ、乾燥しやすくなり、体の症状としては、便秘やカラ咳などに悩まされることも。
悲しい時は我慢せず、思いっきり泣きましょう。涙を流すことは、悲しみの感情を和らげることにつながります。
悲しみを感じている時は、大根やレンコン、ネギ、玉ねぎなどの白い食材、高野豆腐を召し上がって下さい。
恐れ
恐れや驚きの感情は、気を乱して腎臓を害します。
ちょっとしたことで驚きやすくなり、びくびくしたり、恐怖心を持ちやすくなるといわれています。体でいえば、骨や耳、膀胱などのトラブルが起きやすくなる人も。
また、腎臓が弱ってしまうと、下半身の冷えに悩まされる女性も多いようです。腹巻をする、靴下を二枚重ねて履くなど、冷え対策を。
黒い食べ物、海藻、貝類、黒ゴマ、黒豆、蕎麦、小豆などを摂取して下さい。個人的には、黒豆茶もおすすめです。
感情も食事も「バランス」が大切です。
味わっている感情によって、料理に使う食材を意識すると、心と体の状態が今より整っていくかもしれません。
いかがでしたか?
食の時間を大切にすることが、私たちの命を輝かせ、真のきれいを育んでくれる。
そう思って、おいしく、ゆっくり、じっくり、食の時間を楽しみましょう。
三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。