2020.2.13
神様に捧げられた飲み物 ~チョコレートが持つ魔法の力~『 四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第四十一回)』

新暦の2月14日~18日頃までは第三侯「魚上氷(うおこおりをいずる)」。
氷の間から、魚たちが元気に飛び跳ねる時季とされます。
気がつけば、小さな春の兆しが至る所に。家やオフィスの窓から見える景色も真冬と違い、どこか華やいで見えます。
そして、2月14日はバレンタインデーですね。
チョコレートを贈り、女性たちが想い人に愛を伝える日。バレンタインデーという言葉自体、今ではすっかり春の季語になっています。
今日はバレンタインデーにちなんで、チョコレートが持つ魔法の力をご紹介しましょう。
マヤなど中米の古代文明の時代、チョコレートは神様に捧げられる「飲み物」でした。
中世ヨーロッパでは薬として薬局で売られていたそうです。
今日は、チョコレートの魅力を余すことなくご紹介。
この記事を読んだらきっとチョコレートが食べたくなります。
義理チョコよ、さようなら
一昨年、驚く広告を目にしました。
「日本は、義理チョコをやめよう」
広告主は、高級チョコレートの先駆けともいわれる世界を代表するチョコレートメーカー「GODIVA」。
この広告が経済新聞に掲載されるやいなや、ネット上でも話題になりました。
「本命もいないのに、義理チョコにこんなにお金がかかるってどうなの?」とぼやいていた女友達から、「今年から、義理チョコを渡すのはやめようと思う」と電話があり、この広告を見て、心が楽になったという女性も多かったのではないかと思います。
GODIVAの社長であるジェローム・シュシャンさんは、日本在住。弓道を愛するフランス人。
「正しい的に向かって、正しい構えで射てば必ずあたる。ビジネスも一緒。売上とか利益に捉われ過ぎず、正しい目的に向かって正しい戦略を使えば結果は出る」と、著書「ターゲット」に書いていますが、そういう考え方をなさる方だからこそ、日本の義理チョコ文化に一石を投じたのでしょう。
そこには、義理に縛られることなく、もっと自由な気持ちでバレンタインデーを楽しんでほしいというチョコレートへの愛が込められていました。
さまざまなチョコレートと出合えるバレンタインデー。
贈り物としてはもちろん、まずは自分自身へ愛を込めてチョコレートを贈りませんか?
チョコレートの歴史
メキシコの原住民はカカオ豆をすりつぶして食べていたとか。
マヤなど中米の古代文明の時代、チョコレートの原型は固形ではなく、「飲み物」だったそうです。
大航海時代になると、スペインの探検家によってカカオがヨーロッパにもたらされ、フランスやイギリスなどの貴族たちに広まっていきました。
カカオ豆の価格は法外で、一般庶民にとっては夢のまた夢。お金持ちや貴族しか味わえない特別なものだったのです。
やがて、イギリスの至る所にチョコレートハウスがオープンし、一般庶民も味わえるように。
飲むチョコレートが、食べるチョコレートへと変化したのは、好奇心旺盛なイギリスのパン職人がケーキのレシピにココアを加えたことがきっかけだったそうですよ。
「健康」「癒し」「美」チョコレートが持つ魔法の力
神様に捧げる飲み物と崇められ、中世ヨーロッパでは薬として薬剤師のいる店、薬局で売られていたというカカオ豆。
今なお、人々に愛され続けるチョコレートには計り知れない魔法の力が秘められています。
2012年、アメリカの研究で「チョコレートを食べる頻度が高い人ほど、肥満指数が低い」と米医学誌に発表がありました。
「チョコレートを食べると太る」と思っている方がほとんどでしょう。
実は、カカオに含まれるカカオバターの脂肪分は吸収率が低く、体脂肪になりにくいのだそうです。
数年前、腸の不調で入院した際、ドクターに、カカオには食物繊維が多量に含まれるため、大腸がんのリスクを高める便秘の予防にも効果があるということを教えていただいたのですが、カカオにはその他、カルシウム、鉄分、マグネシウム、亜鉛などのミネラルもバランスよく含まれ、特に女性に不足しがちな鉄分も補ってくれます。
チョコレートに含まれるポリフェノールの一種、カカオ・ポリフェノール。
赤ワインや緑茶にも含まれる成分ですが、チョコレートの含有量は、赤ワインの2倍以上と、ダントツ。このポリフェノールこそ、肌の老化、がんや動脈硬化などの病気の原因を引き起こす活性酸素の働きを抑え、血中の悪玉コレステロールや、酸化を防ぐ抗酸化力を発揮。
チョコレートの甘い香りには心を癒してくれるリラックス効果はもちろんのこと、集中力や記憶力を高める効果があることも最近の研究で明らかになっています。
また、安眠効果も。チョコレートにはカフェインが含まれていますが、コーヒーやココア等にに比べて、ほんの少量。むしろ、カカオに含まれるカフェインの一種テオブロミンが精神をリラックスさせ、質の良い眠りへ誘ってくれます。ヨーロッパではゲストの安眠を願い、ベッドサイドにチョコレートを用意しているホテルも。
知れば知るほど、チョコレートが持つ魔法の力に魅了されますね。
女性におすすめのチョコレート、効果的な食べ方とは?
特に女性におすすめなのが、カカオが60~70%以上というハイカカオチョコレート。
コンビニやスーパー等でも気軽に手に入ります。
コーヒーブレイクには、ほのかな甘味が感じられるカカオ分の高さが50~70%のものを。
夜、お酒と一緒に楽しむなら、甘味の少ない80~90%のものがおすすめです。
特に、チョコレートとウィスキーの相性は抜群。大人の楽しみ方ですね。
また、食前のチョコレートにはやさしい力があります。
チョコレートソムリエによると、カカオマスが40%以上入ったチョコレートを食前に食べると、抗酸化作用や動脈硬化の予防につながるとか。
食物繊維が豊富に含まれたカカオ豆。食物繊維は血糖値の急な上昇を防ぐので、食前のチョコレートは体へのやさしさに。糖質の消化と吸収が緩やかになります。
ただし、食べ過ぎはよくないので、1日25グラム程度におさえましょう。
いかがでしたか?
私は、緊張感の高い番組収録、セッションが続く仕事の時は、ハイカカオチョコレートでエネルギー補給をしています。
その他、料理の隠し味にチョコレートを。
カレー、鶏肉のソテー、ハンバーグはもちろん、牛すじの煮込みといった和食もお味噌の風味とチョコレートが絶妙にマッチ。コクと豊かな風味が生まれます。
是非一度、お試しを。
2020年のバレンタインデー。
想い人や家族にチョコレートを贈る人、今年は贈る相手がいないという人も、美味しくチョコレートを味わって、魔法の力を享受しましょう。
三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。