精進料理をお家で味わうゴールデンウィーク『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第五十回)』

2020.5.1

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三浦奈々依 ( フリーアナウンサー )

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり連載「神様散歩」を執筆。『福を呼ぶ 四季みくじ』出版。カラーセラピストとしても全国で活動中。

 

朝の散歩のひととき。

東北では桜の花が散り、桜若葉が芽吹いていました。もう、春も終わり。季節は一歩ずつ、夏へと向かっていくのですね。

先日、番組を通じて素敵な方とお会いしました。

仙台で「日々ノ道具 奥田金物」を営む山本潤美さん。

どんなに忙しくても、レトルト、総菜、冷凍食品は一切使わないという、食に対して確固たるポリシーをお持ちでした。男の子3人を、仕事をしながら育てるというのは本当に大変だったろうと思います。

「食べているもので、人の体は作られています。家庭の食事は小さな文化だと思うのです」と話していらして、故郷の母の姿が浮かびました。

私の母も、料理に一切の手抜きをしない人です。

父亡きあとは、母が会社を切り盛り。一家の大黒柱として仕事をしてきました。でも、どんなに忙しくても朝食から夕食まで、丁寧に料理を作り、大人になった今も、里帰りをするたび、心の込もった朝食が。

働き者の母は7時前には家を出るので、起きると、「採れたてです」「お醤油で」などと、一品一品に付箋が。いつもありがたいなと思っています。

今日は、このゴールデンウィークにもおすすめ、お家で簡単に楽しめる精進料理をご紹介します。

絶品料理と修行が体験できる高野山の宿坊「一乗院」直伝のレシピ。とにかく、簡単で美味しい!

ぜひ、このゴールデンウィークに。

精進料理の心

料理を作ることは、「いのちと心をととのえること」。

食材を敬い、食材のいのちを生かす。無駄を出さない。食べる人の幸せを祈って作る。

精進料理を作る上で大切にされていることは、私たちの日々の暮らしにそのまま生かすことが出来ます。食材のいのちを生かし、心を込めて作られた料理をいただく者にも、また、心がけと作法があると思います。

目の前に出された料理ができるまでに、どれだけの手がかけられているのか、また、そこに込められた思いに心を澄ます。

食事は空腹を満たすためだけのものではなく、健やかな心と体を養う天然のお薬ですね。

精進料理には肉類は一切使われていません。また、野菜の中でも、葱、らっきょう、韮、にんにく、しょうがといった匂いの強いものも使ってはいけないとされています。

それは、精進料理は僧侶のための食事であり、瞑想の妨げになるような食材は使わない、という意味であると考えられているそうです。

現代の日本人は肉食過多といわれ、野菜が不足しがち。

最近、「野菜は苦手」という子どもたちも多いですね。昔ながらの、野菜や海藻、豆類、山菜などを使って作られる精進料理は、実は、子どもから大人まで美味しく味わえる、心と体にやさしい料理です。

一乗院でいただいた精進料理

本来、精進料理は修行の一つであり、厳格な作法にのっとっていただくもの。

「宿坊にお泊りになる方にそこまで求めることはありませんが、感謝の気持ちをもって、美味しく召し上がっていただきたい」というのが、一乗院の思い。

以前、一乗院に宿泊しました。

友人と高野山で待ち合わせをしていたのですが、なんと、空港で不発弾が見つかり、友人が乗る予定だった飛行機が欠航に。おひとりさまの旅でした。少し不安でしたが、目にも麗しい精進料理をいただき、まだ明けきらぬ早朝、朝勤行へ参加。身も心も洗われるような美しいひとときを過ごし、生まれ変わった気がしました。

一乗院の精進料理は、数ある高野山の宿坊の中でも、「絶品」と評判です。

今日は、一乗院でいただいた料理の中から、お浸しと、ごま豆腐鍋をご紹介しましょう。

奇跡のお浸し

あまりに美味しいので、友人たちに「奇跡のお浸し」と言わしめる一品。

お浸しに使う野菜は、菜の花、たらの芽、わらび、アスパラガス、キャベツ、レタス、うるい、スナップエンドウや、そら豆などの豆類、旬のもの、お好きなものを。

今回は、山形産の天然のこごみが手に入ったので、レタスと合わせてお浸しを作ります。

奇跡のお浸し 浸し汁のレシピ(2人分)

浸し汁
昆布だし    1と1/4カップ
しいたけだし  1/4カップ
昆布茶     小さじ1
薄口しょうゆ  大さじ1
みりん     大さじ1と1/3
塩       小さじ1/2
酒       大さじ1と1/3
油揚げ     1/3枚

*だし類は市販のものでも構いませんが、お時間があればぜひ精進だしを。

作り方はいたって簡単です。

昆布だし・・・水1リットルに、軽く汚れをふき、ハサミで5cm角に切った昆布50グラムを入れ、冷蔵庫で約18時間漬け込む。

しいたけだし・・・水1リットルに、軽く洗った干ししいたけ10枚を容器に入れて約18時間漬け込む。

<作り方>

こごみはくるっと丸まった部分に汚れがたまりやすいので、水の張ったボウルに入れるなどして、丁寧に洗いましょう。こごみは根元のかたい部分はカットします。

油揚げは長さを半分にカット。5mm幅の細切りに。熱湯をかけて油抜きを。

鍋に浸し汁、油揚げを入れてひと煮立ちさせます。火からおろし、鍋ごと氷水につけて冷まします。

沸騰した湯4カップに塩小さじ1(分量外)を入れ、こごみを投入。1分ほど茹で、すぐに氷水にとって冷まし、ざるで水気を切ります。(レタスは10~15秒ほど茹でましょう)

浸し汁に野菜を入れて漬け込みます。

野菜の水気はあくまで自然に切り、絞らないことがポイントです。

美味し過ぎて、いくらでも食べられてしまうお浸し。是非、ご賞味を。

あら不思議!お口の中でとろけるごま豆腐鍋

<材料>

ごま豆腐    2丁
えのき     1パック
水菜      1/4カップ
柚子こしょう  お好みで(柚子でも可)
だし汁
昆布だし    2カップ
しいたけだし  1/2カップ
薄口しょうゆ  大さじ1
みりん     大さじ1と1/3
塩       小さじ1/4
酒       小さじ2
昆布茶     小さじ1
鍋にごま豆腐、えのき、だし汁を入れて火にかける。
だし汁が沸騰したら、水菜を投入。柚子胡椒を添えていただく。

これだけです!

ごま豆腐は炊きすぎると食感が失われます。沸騰したらすぐに火を弱めて下さい。

一乗院さんでは、ごま豆腐も手作りですが、市販のごま豆腐でOK。とろけるような触感に夢見心地に。

特に、ストレスの多い日には精進料理を。

食で仏心を磨く

ステイホームの時間の中で、料理をする時間も圧倒的に増えていますね。

ぜひ、旬の時季に、旬のものを味わう贅沢なひとときを。

「祈りを込めて作る。感謝をもっていただく」

それは、子供にとっても、大人にとっても、仏の心、「仏心」を磨く立派な修行です。

毎日の暮らしに、時々精進料理を取り入れて、健やかな毎日をお過ごしください。

 

参考文献 

一乗院料理長 石和田聡信『高野山 一乗院のこころとからだをととのえる』

三浦奈々依 のプロフィール

三浦奈々依

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。

ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。

東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。

全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。

被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。


http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。


カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。

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