2020.7.3
一生ものの道具で料理上手に! 『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第五十七回)』

道具は選び方、使い方、手入れの仕方を知ることが大切だと考えています。
道具の選び方、使い方、手入れの仕方をお伝えしながら日々ノ暮らしの中で手触りがいい、眺めていて素敵、気負わない。
日々ノ道具、日々ノ雑貨、日々ノ日常着をそろえております。
ハレとケなれば、毎日のケを彩るモノ達に目線をあわせているのが
日々ノ道具奥田金物です。
こんな素敵なコンセプトのもと、2016年、仙台を代表する老舗金物店の娘さんである山本潤美(ますみ)さんが、仙台泉中央セルバテラス2Fに「日々ノ道具 奥田金物」をオープンしました。
山本さんが選び抜いた、毎日のケを彩るモノ達は訪れる人の心をワクワクさせ、暮らしにときめきを運んでいます。
コロナによるステイホーム。
料理、掃除、洗濯と、家事に追われ、ストレスフルな毎日を送った女性も多かったでしょう。
そんな中、「家の隅々まで掃除したのはもちろんのこと、毎日使っている道具を見直すいい機会になった」と話す友人も少なくありませんでした。
コロナ禍、道具選びのプロフェッショナル、山本さんにインタビューをさせていただき、私の心に風が吹きました。
「親から子へ伝えられるもののひとつが、味覚だと思うのです」と話す山本さん。
愛する人に美味しいものを味わってほしい。
楽しく家事をしたい。丁寧に暮らしたい。
そう、願う女性たちへ・・・
今日は、道具のプロフェッショナル、笑顔がチャーミングな山本さんがおすすめする、一生ものの道具をご紹介します。
一生ものの道具を手に入れる喜び
メディアでもてはやされる、「これ便利!」「時短!」のうたい文句で目にする道具は、買ってすぐはそれなりに便利に感じることがありますが、用途が狭かったり、商品として長く使い続けられるクオリティーのものではなかったり…。
結局使わなくなり、眠ってはいませんか?
「昔からあるオーソドックスな道具を、正しい使い方、手入れの仕方を知って使うほうが、どんどん使いやすくなって、また一生ものの道具として使い続けることができますよ」と山本さんは話します。
山本さんが、一生ものの道具としておすすめして下さったのが、鉄のフライパンと蒸篭。
「鉄のフライパンは、使い始めに油ならしというシーズニングをしなければなりません。初めての方にはハードルが高いと思われがちですが、慣れてしまえばこびりつくこともありませんし、使い込むほどにフライパンに油がなじみ、鶏もも肉や豚ばら肉など、油を引かずとも、それ自身の油で焼くことが出来ますし、格段に美味しくなります。過加熱をしてもフライパンが駄目になることはないので、まさに一生もの。その上無理なく鉄分を吸収することもできますよ。
また、蒸篭もとても便利。野菜は茹でるより蒸したほうが栄養分が野菜に残り、また冷凍ご飯も電子レンジで解凍するとご飯から水分が抜けてパサパサになりますが、蒸篭で解凍すれば丁度よく水分を残しながら炊きたてのご飯のように解凍出来て、お弁当にいれても、ぱさついて硬くなることもありません」と伺い、目からうろこでした。
鉄のフライパン、蒸篭は私にとっても暮らしに欠かすことの出来ない、大好きな道具達です。
一生ものの道具、鉄のフライパンで泣かないために
鉄のフライパンをお持ちの方、また、これから鉄のフライパンを購入しようと思っている方、この記事を読んで「いいかもね」と思った方へ、鉄のフライパンを上手に使うポイントをご紹介しましょう。
フライパンを中火で、フライパンに手をかざして焚き火の熱さを感じる程度の温度、30秒から40秒温めます。
※すべてを通して強火は、ほぼ使いません。IHでは特に「強」は熱量として強すぎるので中火程度での調理が◎
鉄のフライパンを使い終わったらフライパンが温かいうちに、束子とぬるま湯でごしごし洗いを。洗剤は不要です。フライパンがカンカンに熱いところに水をいれてしまう急冷は、フライパンの底面が変形する原因になりますので、ご注意を。
洗い終わったらよくすすいで、コンロにかけて空焚きをしましょう。
鉄のフライパンを洗って空焚きしたあと、黒い膜がついたような部分がある場合、油膜の汚れが落ちていませんので注意しましょう。山本さん曰くこれが、調理した際のこびりつきの要因になるそうです。
おうちのごはんは家庭の文化
三人の男の子のお母様である山本さんにとって、どんなに忙しくても、お惣菜、冷凍食品は一切使わず、料理を作るのがポリシー。
「親から子へ伝えられるもののひとつが、味覚だと思います。母の味、実家の味、ふるさとの味、それはひとつの文化です」と話す山本さんは、奥田金物店をお父様と一緒に切り盛りしてきたお母様から受け継いだ家庭の文化を今も大切に守り継いでいらっしゃいます。
だからこそ、日々の道具を大切にしたい、大切にして欲しいと、話していらっしゃいました。
鉄のフライパンで作る絶品餃子
私事になりますが、誕生日に鉄のフライパンをいただきました。
ですが、餃子の命である皮がすべてフライパンにはりつき、大失敗。
それがトラウマになり、せっかくいただいた鉄のフライパンもしまったままになっていました。
山本さんに話すと、「それは、ショックでしたね」と優しい言葉とともに、餃子を美味しく焼くためのポイントを伝授して下さいました。
それは、蒸し焼きにする時、水ではなく、お湯を入れること。
水を投入すると、フライパンの温度が急激に下がってしまい これが、こびりつきの要因になってしまうそうです。
鉄のフライパンで、餃子作りにリベンジ。
パリパリジューシーな餃子に、友人たちから「オゥ~!」と歓声が。
鉄のフライパンで焼いた餃子は一味違います。なんだか、料理上手になった気分。
こちらが、私の鉄のフライパン。
おめでとうの思いが込められた鉄のフライパン、一生大事にしようと心に決めました。
そんな私に山本さんがひと言。
「ちなみに、10年保証のついた丈夫なフッ素樹脂加工のフライパンもあります。鉄には鉄の良さ、フッ素加工にはフッ素加工の良さがありますよ~」と。
道具の世界は深いですね。
日々ノ道具を見直して、暮らしを豊かにしませんか?
「日々ノ道具 奥田金物」
老舗金物屋 株式会社奥田金物本店 専務取締役 山本潤美(ますみ)さん
1967年、仙台市生まれ。大学を卒業後、地元企業に就職し後家業である株式会社奥田金物本店に入社。30歳で結婚し三男をもうける。息子たちを出産後、すぐに職場復帰。
2016年開業、奥田金物新規事業の「日々ノ道具 奥田金物(セルバテラス2F)」の企画・運営を主として「けごと市」の主催や本社卸事業の客先の売り場のプロデュースや企画を担う。
2020年6月20日にはオンラインストアもオープン「https://www.inthelife-plus.jp/」
仕事、育児、家事のサイクルで多忙の毎日を送る。
三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。