2020.7.31
氷室神社で本気の縁結び! ~神さまのポストへ愛の手紙を投函~ 『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第五十九回)』

今年もあっと言う間に8月に・・・
この時季、海岸地方では日中と夜間で風の向きが変わるそうです。
日中は海から吹く海風、夜間は陸から吹く陸風。
その変わり目。言うなれば、風が交代する朝方と夕方に風がやんで、海面が穏やかになる時間があります。それが、「朝凪」と「夕凪」。
「凪」という言葉は、物事が安定している状態のことを指す言葉でもあります。
今はどちらかと言えば、台風みたいな向かい風に対し、踏ん張らなければ吹き飛ばされてしまうような困難に遭遇している私たちですが、こういう状況の中にあっても、ふと心が穏やかになる。
凪の時間もあるのではないかと思いました。
さて、今日は最強の縁結び神社と称される神戸の氷室神社をご紹介しましょう。
仕事やプライベートで数多くの神社を訪れている私ですが、氷室神社にはなんとも不思議な空気が漂っています。
こちらの神社の本殿前には、ポストが。
そのポストに、理想の相手についてしたためた「愛の手紙」を投函すると、神さまが理想の相手を連れてきて下さると言われているのですが、手紙に書いた条件以外のお相手とは決して結ばれないと、まことしやかにささやかれる、参拝に少々覚悟のいる神社なのです。
別れの地に鎮座する縁結びの神社
氷室神社のご祭神は、縁結びの神さまとして名高い「大國主大神」、氷室の守護神である「仁徳天皇」、恋愛弁天と呼ばれる「市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)」、「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」。
明治8年、京都伏見稲荷大社より稲荷神社を勧請しています。
氷室神社の創立年月日は詳らかではありませんが、神社が鎮座する夢野の地は元来、禁野といい、高責な方の墓所、皇室の御料地としての殺生禁断の地でした。
今から約1800年前の仲哀天皇の時代、香坂皇子(かごさかのおうじ)、忍熊皇子(おしくまのおうじ)は、ご自分が位に継ぐことをお考えになり、この地で狩りを行って占いました。
しかし一日中何も捕まえることが出来ず、香坂皇子は猪に襲われて亡くなってしまったのです。そして、この地に墳墓が築かれました。
それから、約170年の時が流れた仁徳天皇の時代に、兄の額田大中彦皇子(ぬかたのおおなかつひこのおうじ)がこの地に狩りに来られた時に氷室があるのを見つけ、氷室に納められた氷を、毎年、天皇に献上されるようになりました。
境内には、現在も氷を保存するために使用したという洞窟「氷室」が残っています。
氷室神社は、源平合戦の折、平清盛の甥である通盛と妻の小宰相が今生の名残を惜しんだ場所と言い伝えられています。夫婦が最後の愛を誓った地に鎮座する神社。
夫の死を知った小宰相は、海の上から身を投げて亡くなりました。
氷室神社は生半可な気持ちでなく、本気で、恋愛成就や結婚を願う人に訪れていただきたい神社です。
(「氷室神社-神戸夢野 公式ホームページ」氷室神社由緒沿革より抜粋)
氷室神社ならではの参拝法
まず、手水舎で身を清め、参拝します。
拝殿には机と椅子、便箋とペンが用意されていますので、椅子に座ってゆっくりと手紙をしたためることができます。
平日でも、一人、二人と、途切れることなく参拝客が訪れます。
お相手がいる方は、手紙に自分の名前と結ばれたいお相手のお名前を。
お相手のいない方は理想のタイプをしたためましょう。
年齢や身長、外見や年収を細かくしたためる人もいれば、内面の豊かさを求める人もいらっしゃるでしょう。お相手に求めるものは、人それぞれ。
「清く、明るく、素直な心でお祈りすることによって、神さまの御心に近づくのです」と、神職様が話していらっしゃいました。
素直な思いで、神さまに手紙をしたためましょう。
投函料は一通200円です。
本気で恋愛成就、結婚を願う
氷室神社の「愛の手紙」。
書いた通りの理想の人に出会えますが、少しでも条件がズレている人とはご縁が結ばれることはないと、まことしやかにささやかれています。
理想のお相手の年齢、身長、年収を明確にしたためた方は、数字が、1歳、1㎝、1円でもズレていれば、必ず別れの時がやってくるのだそうです。
わかりやすく説明すると、「165㎝以上の男性が理想」としたためれば、1㎝満たない164㎝の男性とは決して結ばれることはない、ということになります。
何はともあれ、願いをかけて終わりではなく、願いを叶えるために自ら行動することが大切ですね。
お相手に求めるものが高ければ高いほど、自分もそれに見合った人間に成長できるよう努力を重ねる。その努力をご覧になって、神さまが「よし!」とゴーサインを出したタイミングで、出会いが訪れるのでしょう。
「神社で願いをかけたのに、なかなか出会えない」という時は、「もう少し努力が必要!」と思い、せっせと自分磨きに精を出す。
理想のお相手との出会いは、神さまからのご褒美。お返事のスピードは、その後の努力にかかっているかもしれません。
あなたの理想のお相手とは?
先日、神戸の仕事でお会いした男性が、奥様と出会う前に理想の女性像をノートに書き出したという話をして下さったのですが、数えきれないほど条件を書き連ねているうちに、何だかどうでもよくなって、大きなバツで消して、「自分が幸せにしたいと思える人」と書いたら、その言葉通り、幸せにしたいと思う女性と出会って結婚したのだそうです。
自分の理想のお相手と向き合う時間の中で、自分が心の底で求めているものが明確になると、新たに見えてくるものがあるかもしれませんね。
神さまのポストへ、愛の手紙を投函しませんか?
氷室神社へのアクセス
JR・阪神・阪急『三宮駅』下車後、神戸阪急前より、市バス⑦神戸駅前行きにて『石井町』で下車、徒歩約5分
JR『神戸駅』より市バス⑪にて『夢野三』下車、又は⑦にて『石井町』で下車 徒歩約5分
神戸市営地下鉄『湊川公園』又は神戸電鉄『湊川』下車後、市バス⑪板宿行きで『夢野町3丁目』で下車、徒歩約5分
三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。