2020.8.7
仙台弁こけし ~いぎなしなまってるこけしに癒されてけさいん~ 『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第六十回)』

毎日、マスクをつけて出勤。地下鉄では会話は控えるようにというアナウンスが流れ、テレビをつければ、感染者数の推移やイベント中止といった暗いニュースばかりで、心が疲れていませんか?
先日、仙台空港で『仙台弁こけし』を見かけ、久しぶりに心がフニャフニャしました。
「離れでけろ」「んだ、んだ」
こういう時こそ、笑いが必要ですね。
2014年の誕生以来、「ほっこりする~」「かわいい」「癒やされる」「元気になる」
「田舎のじいちゃん、ばあちゃんを思い出す」と子どもから大人まで、心を癒し続ける仙台弁こけしをご存知ですか?
LINEスタンプからスタートしたキャラクターが着ぐるみとなり、今や仙台のアイコン的存在になりつつあります。毎週木曜日放送のドラマに出演している、あの女優さんのバッグにも仙台弁こけしの巾着が。
その可愛らしさと面白さで、見る人をとりこにする仙台弁こけし。
今年は仙台の夏の風物詩である仙台七夕まつりも中止ですが、仙台駅では「願いごとが叶うといいなや~」と書かれた仙台弁こけしのうちわが配られ、涼やかな風を運んでいます。
今日は記事を読みながら、仙台弁こけしで癒されてけさいん。
みんな大好き、仙台弁こけし誕生秘話
女優の石原さとみさんの私物公開で、バックの中から、仙台弁こけしの巾着が出てきて、その存在を知った方もいらっしゃるでしょう。
仙台弁こけしは宮城のご夫婦が生み出しました。
イラスレーターのjugo(ジュゴ)さんが生みの親。エントワデザイン株式会社・代表取締役 佐藤寛和さんは仙台弁こけしのプロデュースを行っています。
ご夫婦であるお二人いわく、仙台弁こけしは「自分たちの子どものような存在」だそうです。
東京で暮らしていたお二人は、東日本大震災後の2011年9月に故郷の宮城へ戻り、ご主人である佐藤さんの実家で暮らしはじめました。
県北にあるご実家は、三世帯の大家族。日常会話で方言が飛び交っていたそうです。
雨の中帰ってきた義理のお父さまがひと言、「きゃっぽりくらった」。
「きゃっぽり?」とjugoさんが聞くと「靴の中に水が入ることを言うんだ」と。
そんな楽しい田舎暮らしを送る中、子どもを出産したことで、子育てをしながらできることはないかと考え、東北の伝統工芸品が色々な表情で仙台弁を話したら面白そう!と思いつき、「仙台弁こけし」のLINEスタンプを作ってみることに。
2014年12月にLINEスタンプの配信を開始してまもなく、Twitterもはじめたjugoさん。
そこで、LINEスタンプのイラストとともに仙台弁で毎日の挨拶や日常生活のエピソードをつぶやいていくとフォロワーさんがどんどん増え、Twitter上でフォロワーさん同士が仙台弁で会話するなど温かい交流が生まれました。
その後、仙台弁こけしは河北新報PR大使、宮城県警採用広報キャラクターに起用されるなど活動の幅が広がって、ついには着ぐるみも誕生するなど、今や仙台のアイコン的存在になりつつあります。
面白い仙台弁をご紹介
「仙台弁」は「仙台市」の方言ではく「宮城県」の方言。
江戸時代の仙台藩領内で庶民が使用した言葉を元にした方言です。
「おはよう靴下」
穴のあいた靴下のこと。穴のあいた靴下から指が「おはよう」と顔を出しているように見えることから、この呼び方が定着したと思われます。
どんな風に使うかと言いますと、「おはよう靴下、おしょすいごだ!(穴のあいた靴下は、恥ずかしい!)」
「あっぺとっぺ」
ちぐはぐ、とんちんかん、つじつまの合わない、筋が通らない、首尾一貫していない、整合性の無いこと。
「あっぺとっぺなごどばりかだる(ちぐはぐなことばかり話す)」
「おれさま」
雷、かみなり。
「おれさま鳴ったど(雷が鳴ったよ)」
「らずもねぇ」
大変な、とんでもない。
らち(埒)もないが訛って、らづもねぇになった。らずもねぇと書いてあることが多い。
「おらいのじゃがいも、いのすすさみなやらったんだおんや~。らずもねぇなや~
(私の家の畑のじゃがいも、イノシシに全部食べられちゃったんだよ。大変だよ)」
仙台弁こけし4コマ漫画
Jugoさんは、田舎暮らしの日常を仙台弁こけしの漫画にしています。
みんなに愛され優しくなった仙台弁こけし
最初は、どちらかというとシュールで尖った印象のイラストだった仙台弁こけし。
ですが、Twitterのフォロワーさんとのやり取りの中で、顔の表情も性格も優しくなっていきました。
Twitterで毎朝「おはようござりす」と挨拶をすると、「毎日こけしちゃんの笑顔を見ると癒される~」と返事がきたり、「今日は暑いから熱中症に気ぃつけでけさいん」とつぶやくと、「こけしちゃんも気をつけてね」という優しいコメントが。
フォロワーさんの優しさ、愛情に触れ、だんだんとこけしも優しい表情になったそうです。
仙台弁こけしの生みの親であるJugoさんにとって忘れられないエピソードがあるそうです。
偶然、Jugoさんの目の前で、小学生くらいの男の子が仙台弁こけしのバッジを探していました。
仙台弁こけしのファンは、どちらかといえば大人。「珍しいな~」と思いながら見ていると、男の子は「んだ」と描かれたバッジを選びました。
後日、Twitterのフォロワーさんが母の日のプレゼントに息子から「んだ」のカンバッジをもらったよ!と。「あの時の男の子だ!」とうれしくなったそうです。
また、Twitterのフォロワーさんが一人暮らしを始めた息子さんの家のクローゼットにこっそり、仙台弁こけしの手ぬぐいを飾ったそうです。
そこには、いつでも故郷を思い出してほしいという母の願いが込められていました。
仙台弁こけしに感じる故郷の温もり
「様々なストレスや制約があるコロナ禍の今、ソーシャルディスタンスも大事ですが、人と人との心の距離も遠くなってきているのではと感じます。仙台弁こけしを通してそれぞれの故郷を思い出し、家族や身近な人を思いやる気持ちになってもらえたらうれしいです」とJugoさんと佐藤さん。
大切に思うからこそ距離をとるソーシャルディスタンス。
「おつかれさんでがす」「あづいなや~」「んだっちゃだれ~」「ありがとうござりす」と、
いぎなし(とても)なまってる仙台弁こけしにほっこり。
ささやかなしあわせの分かち合いが、きっと心の距離を近づけてくれるでしょう。
心がフニャフニャ、やわらかくなる時間を大切に。
「がんばっぺ!」
仙台弁こけし公式サイト https://kokesu.com/
▼ラインスタンプ
仙台弁こけし 巣ごもり編
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アマビエこけし
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毎日 仙台弁こけし2
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三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。