2021.3.1
二つの震災で感じた思いを胸に ~ シンガーソングライター・佐野碧(後編)『四季に寄り添い、祈るように暮らす(連載第七十三回)』

震災後、ボランティア活動や取材、ラジオ番組を通じて多くの皆さんとお会いし、お話を伺う時間の中で、あるひとりの女性との出会いがありました。
日本とアジアを音楽で結ぶシンガーソングライター、佐野碧さん。
故郷を襲った東日本大震災をきっかけに、その音楽性も大きく変化したといいます。
ネパールで歌を歌った時間は、碧さんに大きな気づきと歌う喜びをもたらしました。
そして、碧さんの人生に訪れた大きな別れ。悲しみの向こうに碧さんが描く夢とは?
碧さんの素直な思いを伺いました。
音楽の持つ力を再認識したネパールでの時間
多数の死傷者を出した、2015年のネパール大地震。
お母様が愛するネパールのために、そして、東日本大震災で出来なかったことを精一杯やりたいという思いに突き動かされ、地震発生からわずか2か月後、ネパールへと旅立った碧さん。
震災で疲弊していたネパールの人々、至る所に瓦礫が積み上げられた町。
それでも、「私の曲知ってる?」と思うほど、碧さんの心の奥で溢れる思いと連動するように、ネパールの人々は日本語で歌う碧さんの音楽に叫び、声をあげました。
人と人、言葉や文化を越えて人間は一つになれるんだと、音楽の持つ素晴らしい力に改めてネパールで気づかされたといいます。
歌っていると、どんどんネパールの人々がステージに上がってきて、歌を歌う碧さんがステージから追いやられるくらい演奏者と聴き手の間に境界線はなく、それこそが音楽の在り方だと感じたネパールでの時間。
それは碧さんにとって、とても印象的で感動的な経験でした。
そんな碧さんをいつも明るい笑顔で見守り、ネパール・チャリティ・フェスティバルも現地の方々とともにひっぱってくれたのがお母様の優子さんでした。
愛する人の死を抱きしめて
どんな時も碧さんを応援してくれ、最大の味方でいてくれた最愛のお母様が、昨年の12月に他界。
改めて、「ネパールの母」でもあったお母様の偉大さを感じられたそうです。
演奏者と聴き手の間に境界線がないネパールという国のように、お母さまはいつも血の繋がりを越えて、誰かのために走り続けていました。
「どんな状況でも、どんなことがあっても、最後まで信じ、受け入れること。一つになることは愛することだということを、母に教えてもらいました」と碧さんは話します。
場所を越えてつながる思い
2020年3月1日に、1000人チャリティ・ライブを東京で開催予定だった碧さん。
これまでにない新たな挑戦でしたが、コロナウイルス感染拡大によりライブは中止。無観客ライブとして配信されることとなりました。
1000人の大きな会場でたった一人ステージに立ったとき、原点に立ち返り、何のためにここまで来たのか。何のために歌ってるのか。心の奥にあるシンプルな生き方をより一層大切にしたいと感じたといいます。
目標にしていた「数」がある意味で意味をなくした瞬間。
握手もできない、話もできない、オンラインでのLIVEで心を伝えたいと思えば、自然といつも以上に表現も大きくなっていました。
「たった一人のライブ会場で、自分の歌に耳を傾けてくれているだろう皆さんと場所を越えて繋がっていると感じることが出来たんです」
碧さんの歌声は、オンラインを通じてネパールの皆さんにもしっかりと届いていました。
碧さんが未来に描く夢

ネパールの朝日
「コロナ禍で、大自然に生かされていることを感じました。その大いなる何かを感じながら歌い、会えないけど確かにある繋がりを多くの方々と音楽を通じて共にしたい。
シンプルに皆さんの笑顔が見たいんですよね。これまで活動してきたネパールでの活動も活かし、日本だけでなく、ネパール、そしてアジアへも挑戦していきたいと思います」
碧さんは今、未来に新たな夢を描いています。
震災から10年。そしてコロナ禍が続く2021年。
碧さんのストーリーは新たなはじまりを紡いでいきます。
佐野碧さんの音楽に深く触れてみたいと思った皆さん。
3月6日土曜日に配信される『佐野 碧 有料配信LIVE2021-私からはじまるStory-』で、悲しみも喜びも碧さんと分かち合い、皆さんお一人お一人の人生のストーリーに思いを馳せて下さい。
2021年3月6日(土)
開場:19:30/開演:20:00
※アーカイブは、3月12日まで視聴可能
【出演】
佐野碧
※ピアノとのアコースティックLIVEを予定
【料金】
一般:2500円
ファンクラブ会員:2000円
【チケット販売】
https://twitcasting.tv/c:theglee1201/shopcart/55507
佐野碧
幼少期より世界各国を訪れ、異文化に触れる。
大学卒業後、上京。インド声楽を学ぶ。彼女の声は世界的ボイストレーナー、グル・デブ・カマット師にも認められ、「魂の声」として評される。
ふるさとを襲った東日本大震災が大きく音楽性を変え、2015年に発生したネパール大震災をきっかけに地元東北とネパールでの活動を並行して行うように。2016年より毎年開催しているチャリティフェスティバル『HIKARI SONG GIFT』には述べ5000人以上が参加。海外メディアでも大々的に取り上げられる。日本とネパール、そしてアジアを音楽で繋ぐ活動を続ける。
HP :https://aoisano.com/
Facebook: https://m.facebook.com/aoi.channel
You tube: https://m.youtube.com/user/Aoifactory
三浦奈々依 のプロフィール

フリーアナウンサー・神社仏閣ライター・カラーセラピスト。
ラジオ番組にて20年以上にわたり、音楽番組を担当。
東日本大震災後、雑誌Kappoにて約7年にわたり「神様散歩」の連載を執筆。心の復興をテーマに、神社仏閣を取材。
全国の神社仏閣の歴史を紹介しながら、日本の文化、祈りの心を伝えている。
被災した神社仏閣再建の一助となる、四季の言の葉集「福を呼ぶ 四季みくじ」執筆。
→ http://ameblo.jp/otahukuhukuhuku/
アマゾン、全国の書店、世界遺産・京都東寺等で販売。
カラーセラピストとしても全国で活動中。
旅人のような暮らしの中で、さまざまな神社仏閣を訪ね、祈り、地元の人々と触れ合い、ワインを楽しむ。