【出世門鳥居・日本最古鳥居・交差点鳥居】行ってみたくなる、変わりダネ鳥居⑯

2021.6.7

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

『行ってみたくなる、変わりダネ鳥居』16回目は、伏見稲荷大社裏参道にある、こんな奇妙な鳥居から、ご紹介!

 

出世門鳥居

そらみみ, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

京都・伏見稲荷大社にお山する(稲荷山登拝) 場合は、本殿から千本鳥居をくぐって奥社奉拝所、熊鷹社、三つ辻を経て、四つ辻へ登って行くのが一般的なルートです。これを三つ辻から左側へ降って行くと裏参道となります。

「豊川稲荷本宮」や足腰に関するご利益のある「腰神不動神社」など、数多くの社や、お塚が並びます。この裏参道をしばらく進むと、住宅地に至ります。

この一角に、単立の仏教系宗教団体である「鬼法教総神苑」の寺院があり、お釈迦様などが祀られています。この寺院の境内地、裏参道にまたがって建てられている不思議な鳥居があります。

中央部分で断ち切られ、分離したような鳥居です。鳥居の柱の根元には「出世門鳥居(間あき鳥居)」の説明書きが添えられています。

それ以上の解説は書かれていないため詳細は不明ですが、鳥居の間が開いているところから、「くぐると運が開ける」という意味があるのかもしれません。

伏見稲荷大社へ参拝される方は多いですが、裏参道参りをされる方は多くありませんので、間あき鳥居の存在を知らない方も多いことでしょう。是非、くぐって開運を!

間あき鳥居をくぐって直進し、左へ曲がると伏見稲荷大社本殿裏の神馬舎前へ戻ることが出来ます。稲荷山登拝の帰路のルートに裏参道を選択するのも良いかもしれません。

間あき鳥居(出世門)
住所:〒612-0805 京都府京都市伏見区深草開土口町5−4

 

 

大井俣窪八幡神社

kiwa dokokano, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

山梨市の「大井俣窪八幡神社」の大鳥居は、現存する木造の両部鳥居では日本最古です。見るからに威厳ある佇まいですね!

大井俣窪八幡神社は、清和天皇の勅願によって貞観元年(859年)に宇佐神宮の八幡三神(八幡大神、比売大神、神功皇后)を勧請して創建された由緒ある社です。

大井俣窪八幡神社の社殿は、諏訪今川氏の侵攻により焼け落ちましたが、天文8年(1539年)に武田信玄の父にあたる、武田信虎によって寄進されました。厄年を迎えた信虎が、厄払いの意味を込めて寄進したのです。この際、信虎本人に変わって参拝に訪れたのは、晴信(のちの信玄)です。

このように武田氏と縁が深い大井俣窪八幡神社。

晴信(信玄)の四男である勝頼の死により武田氏が滅亡する直前、本殿裏にある八本杉が「社地鳴動して、北の一本根より倒れた」という伝承が残っています。

Sakaori, CC BY 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

大井俣窪八幡神社
住所:〒405-0041 山梨県山梨市北654
HP:https://kubohachiman.com/

 

 

藤崎八旛宮

承平5年(935年)、朱雀天皇により「承平天慶の乱」の平定と九州鎮護の目的で、茶臼山(現在の藤崎台球場)に、石清水八幡宮より八幡三神を勧請して創建されたのが「藤崎八旛宮」。今年で鎮座1086年を迎える古社です。

こちらの大鳥居が建っているのは、交差点の中。直進、右折する車は、鳥居をくぐり、左折する車は鳥居の柱の脇と歩道の間を通行します。

鳥居の中(柱と柱の間)は、車同士がやっとすれ違えるほどのスペース。柱の外側は、歩道の縁石との間を通行することになるので、運転にはかなりの慎重さが必要です。

柱の外側には、車の側面を擦った痕跡が見えます。大型車は、左折専用レーンからの左折が出来ず、鳥居の中をくぐって左折する必要がありそうです。

通り慣れた方ならまだしも、初めて通行する方は注意しましょう。

交差点の鳥居といえば、名古屋市中村区に鎮座する豊臣秀吉公を祀った「豊国神社」の大鳥居が有名です。昭和4年の竣工当時は、日本一の大きさを誇りました。

豊国神社の中村の大鳥居

藤崎八旛宮
住所:〒860-0841 熊本県熊本市中央区井川淵町3−1
HP:http://www.fujisakigu.or.jp/

 

 

参考文献

『鳥居 百説百話』川口謙二、池田孝、池田政弘著 東京美術
『鳥居』谷田博幸著 河出書房新社

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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