2021.12.25
【明晰夢で人生を豊かにする!⑬】明晰夢が及ぼす影響 〜 パンデミックとメンタルヘルス

【明晰夢で人生を豊かにする!】バックナンバー
『【明晰夢で人生を豊かにする!①】「夢には人生を変える力があった 」〜 わたしの見た不思議な夢 〜』
『【明晰夢で人生を豊かにする!②】睡眠と夢の構造 〜 夢を覚えておくためには?〜』
『【明晰夢で人生を豊かにする!③】"夢"は自分1人のものではなかった!〜他者との夢の共有〜』
『【明晰夢で人生を豊かにする!④】明晰夢とは夢の中で目覚め、夢に能動的に関わること!』
『【明晰夢で人生を豊かにする!⑤】〜 明晰夢を習得して、人生を2倍生きる!〜「覚醒」と「睡眠」の間に橋を架けよう』
『【明晰夢で人生を豊かにする!⑥】"わたしは今ここにいる" 〜 昼間、意識を持ち続けることが明晰夢への第一歩!』
『【明晰夢で人生を豊かにする!⑦】あなたも明晰夢を見ることができる! 〜 様々な明晰夢習得メソッド』
『【明晰夢で人生を豊かにする!⑧】もっとも効率的な明晰夢実践方法 と、明晰さを確認する方法』
『【明晰夢で人生を豊かにする!⑨】明晰夢は新しい生き方のための実験室!!』
『【明晰夢で人生を豊かにする!⑪】明晰夢を見ている人と、覚醒している人とのコミュニケーションは可能か』
『【明晰夢で人生を豊かにする!⑫】ニンニクを食べると明晰夢が見れる?〜明晰夢の2大要素とは?』
新型コロナウイルスのパンデミックが明晰夢を見る機会を増やした!?
前回の『【明晰夢で人生を豊かにする!⑫】ニンニクを食べると明晰夢が見れる?〜明晰夢の2大要素とは?』でもお伝えしたように、約50%の人が明晰夢を見た経験があるという研究結果があります。
しかし、この2年あまりに渡る新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で、明晰夢を見る人が増えているというのです。
これは、どうやらリモートワークのため、自宅で仕事をする頻度が増え、それによって睡眠時間そのものも同時に増えているからだと考えられます。
通勤時間や、外出時間の減少によって睡眠に充てられる時間が増えることそのものはとても良いことですが、スマホなどの過度の使用によって睡眠の質が低下していることも事実。
創造性の高い睡眠を得るためにも、日頃から睡眠の質を高める努力をしたいものです。
明晰夢の起源

聖アウグスティヌスの彫像(プラハ)
西洋の歴史で明晰夢に関する最も古い記述は、アウレリウス・アウグスティヌス(354-430年)が西暦415年に著した書簡の中に残されています。
この中で、死後の生について論じた際にアウグスティヌスはカルタゴの医師ゲナディウスの見た夢を引用しています。
ゲナディウスは夢の中で天使のような容姿をもった若者と出会い、この若者の様々な問答に答えます。
明晰夢が及ぼすプラスの効果
「International Dream Research」が行った「明晰夢の応用とその効果」と題するオンライン調査では、528人が「明晰夢をどのように使っているか」「明晰夢は覚醒時の気分にどのような影響を与えているか」について回答しています。
それによると「明晰夢をどのように使っているか」という質問に対して、「願望の実現」が最も多く、次いで「現実に起こっている問題の解決」「恐怖や悪夢の克服」「スピリチュアルな体験」「身体的・精神的な癒し」「運動技能の訓練」の順で多く、最も少なかったのは「瞑想の一環」だそう。
若い世代ほど明晰夢を「願望の実現」に用い、中高年ほど「現実に起こっている問題の解決」「身体的・精神的な癒し」「瞑想」など内的な充足感のために用いていることが分かっています。
また、女性は「恐怖や悪夢の克服」に用い、主に「心の治癒」が目的となっていました。
覚醒時の気分は、「ポジティブ」から「中立」の反応が最も多く、とくに「願望の達成後」では「ポジティブ」が優位となっています。
近年、明晰夢は心的外傷後ストレス障害(PTSD)で起こりやすい、繰り返し見る悪夢への介入手段として(Lucid Dream Therapy (LTD) )研究されていますが、悪夢に影響を及ぼす結果は得られていません。
しかし、治療期間中の不安や抑うつ症状を軽減させる結果が出ており、LTDがPTSDに対する補完的治療になる得るとして、研究が進められています。
明晰夢が及ぼす悪影響
一方で2020年に行われた408人を対象とするオンライン調査「Lucid nightmares: An exploratory online study」では、明晰夢の悪影響が指摘されています。
「悪夢の筋書きを変えることが出来なかった」「夢から意図的に目覚めることが出来なかった」場合には、否定的な感情が伴います。
明晰夢の主な悪影響には、「疲労と、易刺激性(些細なことで不機嫌になること)」「混乱」「解離」などが挙げられます。
明晰夢の研究家で作家のダニエル・ラヴ氏は、明晰夢が治療法として有益な可能性を秘めているとはいえ、今後はるかに多くの研究が必要であると指摘しています。
参考文献
『明晰夢 夢見の技法』スティーヴン・ラバージ(著)春秋社
『みたい夢をみる 明晰夢の技術』チャールズ・マックフィー(著)講談社
『ドリーム・テレパシー』M・ウルマン+S・クリップナー+A・ボーン(著)工作舎
『夢を操る - マレー・セノイ族に会いに行く』大泉実成(著)講談社
『臨死体験』立花隆(著)文藝春秋
『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』ショーン・スティーブンソン(著)ダイヤモンド社
『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン(著)新潮新書
『The Lucidity Institute』Website
『Dream Doctor - Making sence of your dreams』Website
『Does Lucid Dreaming Help Your Mental Health or Harm It? Experts Weigh In』 Website
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。