2021.12.30
【2022年版】神様とのご縁を深める初詣、神社参拝の方法(前編)

新型コロナウイルス感染症の変異株である「オミクロン株」の市中感染が国内各地で確認されています。
このことにより、年末年始の帰省や旅行などによる人出の増加が、第6波に繋がってしまうのではないかという懸念が広がっています。
各地の神社仏閣でも引き続き、感染対策を講じた分散参拝が推奨されていますので、初詣は元旦、三ヶ日にこだわらず、2月3日の節分頃までに済ませるような心構えで良いでしょう。
地域の氏神様、産土様とのご縁を深める、月参り(朔日参り、十五日参り)の作法などを随時発信しておりますが、2022年の初詣に合わせて改めて参拝に関する予備知識、所作等をまとめております。
これを参考にされることで、皆様のお住まいの地域の氏神様、産土様との絆とご縁はさらに深まることでしょう。
2021年を無事に過ごせたことのお礼と、2022年の健康と幸せを祈りに、神様に会いに行かれてはいかがでしょうか。
参拝する神社のご祭神を知る
参拝前日から、お伺いする神社への思いを深め、心構えをし、身支度を整えます。
まずは参拝する神社のご祭神のお名前(神名)を知り、覚えておきましょう。
お寺に参拝される方は、そのお寺のご本尊がどんな仏様(仏名やご利益)であるかも事前に調べておきます。
また、そのご本尊にはそれぞれ、ご真言がありますので、覚えておいて参拝時に唱えると、よりご加護を受けやすいでしょう。
お名前を覚えたら、ご神前でご祭神に呼びかけてみましょう。この方法はまた後ほど「参拝」の章で詳しくご紹介します。
初詣に参拝する神社は、遠く足を伸ばした有名神社よりも、氏神様や産土様などへの参拝をお勧めしています。とくに崇敬神社がある場合は、そちらの神社へご参拝下さい。
潔斎する
お正月は、ご家族や親戚縁者、友人知人が集まって、賑やかに食卓を囲むというご家庭は多いでしょう。
ただ、現在はコロナ禍ということもあり、帰省を控える方が多くいらっしゃると思いますので、実家で大人数で団欒という場面はほとんどないかもしれません。
それでも、ご家族でお酒を飲んだり、お肉を食べたりという機会も当然ありますね。
飲み過ぎ(泥酔はもってのほか)、食べ過ぎでの神社参拝は好ましい行為ではありません。
神社へ参拝し、より神様との距離を縮め、真摯に願いを聞き届けていただきたいと思うときは、その前日からお酒や肉類を断ち、「五葷(ごくん)」といわれるような匂いの強い野菜類を食べることを控えることが大事です。
*文献などにより内容が異なる場合があります。
参拝に訪れる前日は、ゆっくりと湯船に浸かり身を清めて下さい。粗塩やお酒を入れたお風呂に入るのも良いでしょう。
服装ですが、清潔な身なりを心掛ければ正装(スーツなど)でなくても構いません。黒い服は良くない、白い服を着るべきだとの説もありますが、肌が露出するようなものでない限り、どんな服装でも結構です。黒い服を着る場合は、インナーを白や赤などにしても良いかもしれません。
鳥居之祓を奏上する
月参りで神様と相対し、対話をさせていただくためには、まず参拝に来させていただいたことを神様に認識していただく必要があります。
日々、たくさんの方々が神社へ参拝なさっていると思いますが、基本的に神様は作法を重んじ、礼を尽くし、いつも「畏れ多い」という謙遜の気持ちを持っている者にしか視線を向けては下さいません。
これは相対し、対話する以前の問題です。
こうした姿勢を欠いたまま、どんなに通い詰めて願をかけられても、それは叶えられることはありませんし、参拝に来させていただいたことすら認識していただけません。
「鳥居之祓(とりいのはらえ)」という祝詞があることをご存知でしょうか。
鳥居の前で一礼をして、奏上する祝詞です。参拝が終わって境内を出るときも、本殿に向き直ってこの鳥居之祓を奏上します。
この鳥居之祓をしっかりと奏上いただければ、神様は「礼を尽くす者が来たり」と、こちらの存在を認識していただけるはずです。
非常に短い祝詞ですので、是非覚えてみてください。自信がない場合は、メモをして読み上げるか、このページをスマホで開いて読んでくださっても構いません。
神の在座 鳥居に伊禮ば 此身より 日月の宮と 安らげくす
かみのます とりいにいれば このみより ひつきのみやと やすらげくす
今の現に 不思慮も
大神の御門辺 欲過と為て
慎み 敬ひ 拝み奉る
此状を 平けく 安らけく
聞食と 恐み恐み 白す
いまのうつつに ゆくりなくも
おおかみのみとべを すぎなんとして
つつしみ うやまい おろがみたてまつる
このさまを たいらけく やすらけく
きこしめせと かしこみかしこみ もうす
拝(はい):角度は90度で、一呼吸分の間、低頭します。主に拝礼時に行います。
深い平伏(へいふく):正座時の作法(座礼)。角度は60度。祝詞の奏上時に行います。
浅い平伏(へいふく):正座時の作法(座礼)。角度は45度。お祓い時に行います。
深い磐折(けいせつ):立っている時の作法(立礼)。角度は60度。祝詞奏上時。
浅い磐折(けいせつ):立っている時の作法(立例)。角度は45度。お祓い時。
深揖(しんゆう):角度は45度で、半呼吸分の間、低頭。主に拝礼前後に行います。
小揖(しょうゆう):角度は15度で、半呼吸分の間、低頭。動作の前後に行います。
参道を歩く
参道を歩くときは、手水舎のある側を歩きます。そうすれば正中を横切る必要はありません。
また、参道を歩くときに「三種太祓(みくさのおおはらひ)」の一部である「天津祓(あまつはらひ)」を唱えると、より清浄な状態で神様の御前に立つことができます。参道を歩く間、繰り返し唱えます。
「吐普加美依身多女(とほかみえみため)」
天とつながり、全ての罪穢れを祓う最上の唱え言です。開運効果の高い詞ですので、日常でも是非唱えてみましょう。
参道の途中に、接末社が鎮座しているケースもあるかと思います。接末社への参拝は、本社への参拝後で構いませんが、本社に祀られている主祭神と関係性の深い神様でありますから、畏れ多くもその御前を通らせていただきますというお気持ちをもって一礼(小揖)を行います。
手水舎で手と口を清める
現在は新型コロナウイルス感染対策のため、柄杓が置かれていない神社が大半です。適宜、その神社のルール、状況に従ってください。
手水舎での作法
1:まず手水舎を前にして「一揖」を行い、右手で柄杓を持ち、たっぷりと水を汲んで左手を清めます。
2:次に、柄杓を左手に持ち替えて、右手を清めます。
3:再度、柄杓を右手に持ち替えて、左手をお椀状にして、そこに水を注ぎます。
4:その水を口に含んで、口をすすぎます。
5:お椀状にした左手をもう一度清めます。
6:その後、残った水で柄杓を洗い清めるために、柄杓を垂直に立てて残った水を流します。
手水舎にて、手と口を清める際、「略拝詞」を唱えて頂くと、より清浄な状態で神様の御前に立つことが出来ます。
お賽銭
お賽銭は決して投げ入れないようにします。
参拝者で混雑していたり、賽銭箱までの距離が遠く、お賽銭を投げ入れざるを得ない場合は、参拝だけを行い後日、混雑を避けて訪れ、改めてお賽銭を入れます。その際、参拝時にその旨を神様に申し上げます。
お賽銭の金額について、スピリチュアルな意味は全くありません。お賽銭の「賽」は、「神恩に報いる」の意味があり、日頃、雨露をしのぐ家があり、食事にありつける生活を送ることができていることに感謝の気持ちを示すため捧げるお金であって、神様へのお願い料、依頼料ではありません。
無理のない範囲で、自由にお賽銭の額を決めて下さい。
鈴を鳴らす

神楽鈴
鈴は、巫女舞の時に巫女が手に持って鳴らしている「神楽鈴」が原型となっています。
この鈴の音によって魔を祓い、ご神徳を得るための磁場を自分の周囲に形成します。
賽銭箱の上の鈴を鳴らすのは「祓い清め」の意味があるということになりますので、しっかりと鈴を揺り動かして、音が鳴り響くようにします。
とくに鳴らす回数には決まりがありません。
現在は新型コロナウイルスの感染防止のため、鈴が撤去されているケースが多くなっています(京都の八坂神社をはじめ、お賽銭を入れると自動的に鈴の音がスピーカーから流れるという仕組みを採用している神社もあるようです)。
参拝
参拝は通常「二礼ニ拍手一礼」ですが、畏れ多くも神様に願意を聞き届けていただくためには、「一揖二礼ニ拍手一礼一揖」を行います。
一揖とは小揖を指し、低頭する角度は15度です。これよりも深い45度の角度で低頭する深揖、90度の角度で低頭する一拝でも構いません。
一揖の際の手の位置ですが、指先が太腿の上部になるようにします。
一礼(拝)の際は、指先を太腿の上を滑らせるように移動させ、膝を覆うところまで持っていきます。もし、腰などに持病があって体が曲がらないという場合は、可能なところまで曲げてください。
指先が、太腿の裏についている方が多いので、参拝の際は指先の位置も意識します。
『参拝の順序』
※初詣で拝殿が混雑している場合は、適宜以下の作法を省略します。①、③、④、⑦、⑨、⑩は省略して頂いて構わない項目となります。より丁寧に神様にご挨拶したいと思われるときは、混雑していないタイミングで改めて参拝に行かれるか、初詣当日の混雑している行列から離れて、本殿の脇などで、この作法に則って参拝を行われても結構です。
① 一揖(より丁寧な二拝を行う方法もあります)して、一歩神前へ進みます。
② 二礼ニ拍手
拍手は胸や顔の前ではなく、前に突き出すように行います。両手を合わせた状態から、右手を第一関節分引いた状態で、手を打ち鳴らします。より、大きな音が鳴るように意識します。
二拍手目を打ったあと、そのまま合掌の状態を維持します。この時も重ねた手は胸や顔の前ではなく、前に突き出します。ただし、指先はやや上を向くように注意します。
*寺院の参拝は、両手を胸(みぞおち)の前に置きます。
拍手は、両手を肩幅ほどに開いた上で打ち鳴らします。
③「神社名」「神名」を申し上げて、神様に呼びかけを行います。
例)「◯◯◯神社 ◯◯◯尊 の大前に」
④ 自分の「住所」「名前」をお伝えします。
⑤ 参拝させていただいた感謝を述べます。
例)「本日は、参拝させていただき誠にありがとうございます」
⑥ 願いごとをお伝えします。
その願いごとに関し、自分がこれまでどのような努力をしてきたのかなどもお伝えします。願いが叶ったあとの自分の目標や行動についてもお伝えすればより最善です。
例)「◯◯という病気(怪我)が治りますように。治りましたら、より仕事を頑張って家族を幸せにします」
例)「仕事運が向上しますように。仕事が好調になりましたら、社会や地域の人々に還元したいです」
⑦ 祝詞を奏上します。
以下のいずれかの祝詞を奏上します。既にご存知の祝詞があれば、そちらでも構いません。
【祓詞(はらえことば)】
掛けまくも畏き伊邪那岐大神
(かけまくもかしこきいざなぎのおおかみ)
筑紫の日向の小戸の阿波岐原に
(つくしのひむかのおどのあはぎはらに)
禊祓へ給ひし時に成りませる祓戸大神等
(みそぎはらへたまひしときになりませるはらへどのおおかみたち)
諸諸の禍事罪穢有らむをば祓へ給ひ清め給へと白す事を聞食せと恐み恐みも白す
(もろもろのまがごとつみけがれあらむをばはらへたまひきよめたまひまをすことをきこしめせとかしこみかしこみまをす)
【天津祝詞 / 禊祓詞】
高天原に神留り坐ます
(たかまのはらにかむづまります)
神漏岐神漏美之命以ちて
(かむろぎかむろみのみこともちて)
皇御祖神伊邪那岐之命
(すめみおやかむいざなぎのみこと)
筑紫日向の橘の小門之阿波岐原に
(つくしひむかのたちばなのおどのあわぎはらに)
禊祓ひ給ふ 時に生坐る祓戸之大神等
(みそぎはらひたまふときにあれませるはらえどのおおかみたち)
諸々禍事罪穢を祓へ 給ひ清め給へと
(もろもろまがことつみけがれをはらへたまひきよめたまへと)
申す事の由を天津神地津神
(まをすことのよしをあまつかみくにつかみ)
八百万之神等共に
(やおよろずのかみたちともに)
天の斑駒の耳振立て所聞食と畏み畏みも白す
(あめのふちこまのみみふりたててきこしめせとかしこみかしこみもまをす)
【略拝詞】
祓え給い、清め給え、神(かむ)ながら守り給い、幸(さきわ)え給え
⑧ 一礼します。
⑨ 一歩下がって、一揖します。
⑩ 賽銭箱の左側に立っている場合は時計周りに、右側に立っている場合は反時計周りに向きを直して、拝殿を後にします。
定期的に神社へ参拝する
神社へ参拝するのは初詣や旅行のときだけ、という方は意外に多いものです。
是非、初詣をキッカケに神社参拝を習慣化してみてはいかがでしょうか。
日頃から、神様とのご縁を深めておくと、いざというときに大難が小難に、小難が無難になったりするものです。
そして、定期的に神域に足を踏み入れることにより、日常において周囲への眼差しが変容し、心が「平らけく、安らけく」いられるようになります。
朔日参り、十五日参りなどの月参りを行うか、月に数度の参拝を続けて、神様との信頼関係を築きます。
願いが叶ったら
願いが叶ったら、なるべく時間を置かずに日参りをした神社へお礼参りをします。
いつも通りの参拝方法に加えて、日本酒(純米酒)の奉納を行うと良いでしょう。
この日本酒の奉納は、願いが叶ったあとだけでなく、どうしても実現したい事柄があるときや、ある志を立てたとき、乗り越えたい状況があるときなど、神様に対して強い意思で気持ちをお伝えする場合にも最適です。
神様のお力添えも、強力かつ確実なものとなります。
正式には、酒屋さんなどで「熨斗(のし)」を書いていただきます。日本酒の購入時に「外のし」と伝え、熨斗に書き添える名前も伝えます。私が奉納する場合は、「奉納 久保多渓心」となります。
月参りなどで、頻繁に神社へ参拝される場合は、ワンカップサイズのお供えしやすいお酒で構いません。
お礼参りや、年始、特別な参拝の場合は、必ず一升瓶を奉納します。ただし、どちらも醸造アルコールが添加されていない純米酒を選択してください。奉納する本数は1〜2本で結構です。
米は神道にとって聖なる食べ物です。古代、稲作文化の発展とともに肉食から米食への転換が進み、農耕は人々の命を未来へとつなぐ必要不可欠な作業となりました。そのため、豊作を祈る信仰対象として様々な神が祀られるようになります。
人々が古来から神を信じ、祈り続けた結晶こそが米だといえます。その米を熟練した職人たちの技術や経験の粋を集めて形にしたものの一つが日本酒なのです。だからこそ、純米酒である必要があります。
【2022年版】神様とのご縁を深める初詣、神社参拝の方法(後編)
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。