大国主神に助けられた、縁結びと病気平癒の神使「うさぎ」-『神々の意思を伝える動物たち 〜神使・眷属の世界(第八回)』

2020.8.19

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

神使「うさぎ」

表紙の画像は、赤い目をして、丸みを帯びた体が可愛らしいうさぎ像。こちらは京都市左京区の「東天王 岡崎神社」の拝殿前にある狛うさぎです。

幼い頃から月の影が、餅をついているうさぎの姿に見えることが不思議で仕方ありませんでした。宇宙の神秘について思いを巡らせる原点は、この月のうさぎかもしれません。

月のうさぎ、実は月周回衛星「かぐや」による収集データの分析によると、39億年以上前の巨大隕石の衝突跡だと分かったそうです。

さて、今回は神使「うさぎ」について見てまいりましょう。

 

因幡の白兎

うさぎを神使ではなく、主神として祀っているのが鳥取市の「白兎(はくと)神社」です。

「白兎神社」は、古事記に出てくる有名な日本神話「因幡の白兎」の舞台となった、白兎地区に鎮座する社です。

出雲の国の大国主神(大黒様)は、兄弟の神々と一緒に因幡の国の八上比売(やかみひめ)という美しい姫に会うため、旅に出かけます。

その道中、先を歩いていた兄弟たちが、因幡の国の気多の岬を通りかかった時に、体の皮を剥がされた1匹のうさぎを見つけます。

兄弟たちは、いたずら心をおこし、そのうさぎに「海水に浸かり、風に当たると良い」と嘘をつきます。

体の痛みに耐えかねていたうさぎは、これ幸いと海に飛び込み、風当たりの良い丘に上がって体を乾かしました。すると、皮の剥がれた体に、海水の塩分が乾いて染み込み、ヒリヒリと余計に痛みはじめるのです。

大国主神と白兎(出雲大社)

もがき苦しんでいるうさぎの前に現れたのは、兄弟たちのあとを大きな袋を担いで歩いていた大国主神。

うさぎの哀れな姿に驚いた大国主神は、その訳を聞きます。するとうさぎは・・・

「隠岐の島に住んでいたが、この因幡の国に一度は渡ってみたいと、泳いで渡ろうとした。その時にちょうどワニ(サメ)がやって来たので、彼らを利用して海を渡ってやろうと、ワニと自分の仲間、どっちが多いかくらべっこをしようということになった。

ワニたちを隠岐の島から、因幡の国まで並べて、その数を数える振りをして、ワニたちの背中を渡って行った。しかし、私の企てがワニたちにバレてしまい、仕返しに皮を剥がされてしまった。

そこに先ほど通りかかった神様たちが、海に浸かって、風に当たると良いと言われたので、その通りにしたら、前よりももっと痛くなった」

と訴えます。

大国主神は、「川の水で体を洗って、蒲(がま)の花を積んで来て、その上に寝転びなさい」と言い、その通りにしたうさぎの体は、次第に癒え、体毛も生えて、元通りになったのでした。

兄弟たちに遅れて、因幡の国に到着した大国主神でしたが、八上比売の心を射止めたのは大国主神でした。

「白兎神社」にはこの兎が、白兎神として祀られています。

「因幡の白兎」に登場するうさぎが、大国主神と八上比売の縁を取り持ったという由緒から、「白兎神社」のうさぎ像に白い石を置くと良縁・縁結びのご利益があるとされ、2010年には「恋人の聖地」にも認定されています。

また大国主神が、うさぎの傷を癒したことから、日本医療、動物医療の発祥地ともされており、皮膚病、傷病、病気平癒のご神徳が得られるとされます。

白兎神社の兎像(鳥取県鳥取市)

古くから下血、吐血の薬として使われた蒲

月待信仰と、月の兎

月待(つきまち)」とは、十五夜、十六夜などの特定の月齢の夜に、「講中」といわれる仲間内が集まって飲食を共にし、経文などを唱えて月の出を待って拝み、様々な祈願、供養を行った行事のことです。

この「月待」の祈願、供養の際に、記念として塔が建てられ、今も各地に残されています。

神道式に行われる場合と、仏教式に行われる場合とがあり、前者では月読尊(つくよみのみこと)、後者では勢至菩薩の掛け軸が飾られていました。

こうした「月待」の信仰と、古代中国や、仏教の説話で語られていた「月の兎」が時代とともに結びついていくようになります。

月になぜ兎がいるのか、を語る説話はインドの『ジャータカ(本生譚)』や、日本の『今昔物語集』などに収録されています。

それは以下のようなものです。

猿、狐、兎の3匹が、山の中で力尽きて倒れているみすぼらしい老人に出逢った。3匹は老人を助けようと考えた。猿は木の実を集め、狐は川から魚を捕り、それぞれ老人に食料として与えた。しかし兎だけは、どんなに苦労しても何も採ってくることができなかった。自分の非力さを嘆いた兎は、何とか老人を助けたいと考えた挙句、猿と狐に頼んで火を焚いてもらい、自らの身を食料として捧げるべく、火の中へ飛び込んだ。その姿を見た老人は、帝釈天としての正体を現し、兎の捨て身の慈悲行を後世まで伝えるため、兎を月へと昇らせた。月に見える兎の姿の周囲に煙状の影が見えるのは、兎が自らの身を焼いた際の煙だという。

https://ja.wikipedia.org/wiki/月の兎#仏教説話

埼玉県にある「調(つき)神社」は、中世頃、社名の「調」と「月」が同じ読みであることから、「月待」信仰と結びつきが強くなっていきました。

神仏習合の時代には、神社を管理する別当寺と呼ばれる寺が置かれていましたが、「調神社」の別当寺は「月山(がっさん)寺」でした。この「月山寺」には二十三夜堂が建てられ、勢至菩薩が本尊として祀られました。

こうした謂れから、「調神社」には神使のうさぎ像が数多く置かれています。

調神社の兎像(埼玉県さいたま市)

調神社・手水舎(埼玉県さいたま市)

その他、京都市左京区の「岡崎神社」の神使も兎ですが、こちらはかつての境内地、及び周辺地域が野兎の生息地となっており、またうさぎが多産なことから氏神の使いとされ、子授け・安産の神として崇敬を集めています。

岡崎神社(京都市左京区)

岡崎神社・子授けうさぎ(京都市左京区)

岡崎神社・うさぎみくじ(京都市左京区)」

 

 

【神社】
白兎神社
調神社
岡崎神社
住吉大社

 

参考文献

『神道辞典』国学院大学日本文化研究所(編)弘文堂
『神社のどうぶつ図鑑』茂木貞純(監修)二見書房
『神様になった動物たち』戸部民生(著)だいわ文庫
『東京周辺 神社仏閣どうぶつ案内 神使・眷属・ゆかりのいきものを巡る』川野明正(著)メイツ出版

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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