2020.11.25
聖地に住まう、雷除け・火難除けの霊鳥「ライチョウ」『神々の意思を伝える動物たち 〜神使・眷属の世界(第二十五回)』

神使「ライチョウ」

冬から春にかけては白い羽の色に変わる
「ライチョウ」は本州中部の2,200m以上の高山帯に住む、ずんぐりとした丸い体が特徴の可愛らしい鳥です。
生息地の南限は日本の南アルプス・イザルガ岳(標高2,540m)で、80年代には3,000羽の国内生息数が確認されていましたが、2000年代には2,000羽弱に減少したといわれています。
目の上に赤い肉冠があるのがオスで、興奮したり繁殖の時期になると赤い肉冠は大きくなります。羽の色も季節ごとに変わり、冬は白、夏は褐色で、春と秋は白と褐色の入り混じった色をしています。
ライチョウは「雷鳥」と書くように、雷除け、火難除けの霊鳥とされています。名前の由来は、今にも雷が発生しそうな雲が広がっている時に動き回る習性からきているといわれます。また、高山帯に住むことから、雷が発生しやすい場所に住む鳥という意味で「雷鳥」と名付けられたとの説もあるようです。

夏羽のライチョウ
霊山とライチョウ
ライチョウが住む、頸城山塊(くびきさんかい)、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプスの山々は、いずれも山岳仏教(修験道)の聖地・霊山として知られます。
頸城山塊の主峰「妙高山」は、別名を「須弥山(しゅみせん)」といいます。須弥山とは古代インド仏教の世界観において、その中心にそびえ立つとされる聖なる山のことを指します。妙高山の名は、須弥山を漢訳したものなのです。
古くから妙高山は修験道が盛んで、女人禁制、登山禁止とされていました。そんな妙高山の神様を祀るために創建されたのが現在の「関山神社」です。

立山 雄山山頂・雄山神社
北アルプスの「立山」は富士山、白山と並び「日本三霊山」に数えられます。
富山県の立山町と、長野県大町市の扇沢を結ぶ立山黒部アルペンルートは、20mもの雪の壁の間を通り抜ける「雪の大谷」など見どころも多く、バスやケーブルカー、トローリーバスなどを乗り継ぐ世界有数の山岳観光ルートです。
富士山が木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤビメ)という女神が宿る山とされるのに対し、立山は伊邪那岐神(イザナギノカミ)と、天手力雄神(アメノタヂカラノオノカミ)の男神をご祭神とする「雄山神社」がその頂上に鎮座します。
伊邪那岐神の本地仏は阿弥陀如来、天手力雄神の本地仏は不動明王であり、この二神の霊示を受けて開山されたのが、この立山です。以来、立山は神仏習合の一大聖地として、皇室や武将の厚い崇敬を受けました。
「霊示」・・・神仏が示す事柄、ことば。

乗鞍岳・山頂

甲斐駒ヶ岳・山頂
雷除け、火難除けの霊鳥

京都御所
〜 後鳥羽院 〜
〜 藤原家隆 〜
田島御嶽神社末社・天神雷鳥社(埼玉県さいたま市)
白山比咩神社(石川県白山市)
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。