初詣や月参りに 〜『番外編:自宅参拝』〜 神社への参拝で神様とのご縁を結ぶ方法

2020.12.30

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

自宅参拝

最近では、オンラインで祈祷を行っていただける神社や、スマホのアプリで御朱印の授与を行っている神社があります。参拝のかたちも随分と進化したものです。

2020年は新型コロナウイルスが猛威を振るい、私たちの生活環境は一変しました。未知のウイルスや細菌と共存しながら、私たちはそれでも尚、豊かな暮らしを求め、開拓し、制御していくニューノーマル、WITHコロナの時代を歩みはじめたのです。

お正月の三が日に多くの人で埋め尽くされる有名神社の参道や境内は、もはやお馴染みの光景です。日頃、信仰心を持たない人も初詣はお正月の風物詩と受け止めて、神社へ参拝に訪れます。

マスクをして、ソーシャルディスタンスを守り、大声でしゃべらなくても、一定の人が一箇所に集中すれば感染のリスクは高まります。

このため分散参拝、つまり大晦日の夜から元旦、三が日に限らず、なるべく参拝日を分散して参拝をしようという試みです。

私自身は、毎年元旦や三が日という寺社が混み合う時期に参拝に訪れることはありませんでした。皆さんも是非、今回の参拝は年末の早い時期か、三が日を避けた1月の中旬頃までの参拝をしていただけたらと思います。

しかし、年が変わるとやはり日頃お世話になっている神様にご挨拶をしたいと思うものです。そんな時には是非、ご自宅から氏神様や、崇敬されている寺社に参拝をしてみてはいかがでしょうか。

宗像大島の沖津宮遥拝所

 

遥拝とは

遥か遠く離れている場所に祀られている神様を拝することを「遥拝(ようはい)」といいます。

私の住んでいる福岡県の世界遺産「宗像大社」の沖ノ島(沖津宮)は "神宿る島" といわれ、普段は島内に足を踏み入れることができない聖域です。

そのため、49km南に位置している大島(中津宮)の遥拝所から、沖ノ島(沖津宮)にお祀りされている田心姫神(たごりひめのかみ)に参拝します。

また「宇佐神宮」の上宮には、宇佐神宮発祥の聖地とされる大許山山頂の「大元神社」の遥拝所があります。

さて、この遥拝の起源ですが、それは「富士山」にあります。

今でこそ富士山は登山のメッカであり、海外からも富士の頂を目指す旅行客が絶えませんが、古の人々にとっては神そのもの。

大量の火山灰を吐き出して噴煙を上げ、大地を揺さぶる様子はまさに、荒ぶる神の躍動と捉えられたことでしょう。

恐ろしいと感じる対象を、丁重に祀り崇めることで鎮め、そのパワーを自らの繁栄や安寧に利用したいという思いを人々は古代から持ち続けています。

山宮浅間神社・富士山遥拝所(静岡県富士宮市)

静岡県富士宮市の「山宮浅間神社」には、富士山を遥拝し、祭儀を行ったと推定される遥拝所が残されています。拝殿や本殿、鳥居などが残されていないことから縄文時代中期の祭祀場跡だと思われます。

天皇陛下は1年に2度、遥拝の儀式を行われます。

元旦の早朝には、皇居の神嘉殿南庭において伊勢神宮、神武天皇陵、先帝三代(昭和・大正・明治の各天皇)の山陵、四方の神々(上賀茂神社、下鴨神社、石清水八幡宮、熱田神宮、氷川神社、鹿島神宮、香取神宮)を遙拝され、国家の安寧と五穀豊穣を祈願される「四方拝」が執り行われます。

また10月17日の「神嘗祭(かんなめさい)」では、やはり神嘉殿において伊勢神宮を遥拝されます。

このように日本では、遠くにいらっしゃる神様を心に思い描いて参拝するという風習は、古くから存在していたのです。

各地の遥拝所




御嶽神社遥拝所(長野県木曽郡大滝村)

木曽御嶽山山頂に鎮座する御嶽神社奥宮の遥拝所。目前に雄大な御嶽山が迫ります。

三峯神社遥拝殿(埼玉県秩父市)

三峯神社内で唯一、下界が一望できる場所。妙法ヶ岳山頂の奥宮を遥拝できます。

御蓋山浮雲峰遙拝所(奈良県奈良市)

春日大社の裏にあり、入山不可の禁足地となっている神山「御蓋山(みかさやま)」。武甕槌命(タケミカヅチノミコト)が、鹿島神宮より降臨したと伝えられる山頂・浮雲峰を遥拝所する場所です。

元伊勢内宮皇大神社 日室ヶ嶽遥拝所(京都府福知山市)

元伊勢内宮皇大神社の神体山「日室ヶ嶽」を遥拝することができる場所です。美しいピラミッド型の日室ヶ嶽を目前に眺められるこの場所は京都の隠れたパワースポットとして有名で、ひとつだけ願いを叶えてくれる「一願成就」のスポットとしても知られます。

斎場御嶽・久高島遥拝所(沖縄県南城市)

今や観光地としても有名な琉球の最高聖地「斎場御嶽」は、東方にある神の世界「ニライカナイ」に見立てた久高島を遥拝する場所でした。

東京大神宮(東京都千代田区)

江戸時代までは、「伊勢神宮」への参拝は大変な苦労をともなう一生をかけた旅でした。そんな伊勢神宮の遥拝所として明治13年に創建されたのが「東京大神宮」です。

白山奥宮遥拝所(石川県白山市)

日本三霊山のひとつに数えられる「白山」山頂に鎮座する「白山比咩神社・奥宮」の遥拝所。大汝峰、御前峰、別山の「白山三山」の形をした大岩が祀られています。

 

自宅参拝の方法


●参拝前に神社の手水舎で行うのと同様、手を洗い、口をすすいで身を清めましょう。

●まず氏神様や、崇敬神社など初詣に参拝している神社の鎮座地の方角を向きます。

神社の境内や、社殿など、その神社の風景をありありと脳裏に思い描けることが大切です。イメージしにくいようであれば、神社の写真(画像)、公式HP、YouTubeチャンネルなどをご覧になってください。

神棚がご自宅にある場合は、神棚へご参拝ください。

●祝詞を唱えたり、神様へのご挨拶などを申し上げる場合には、その前に二拝(礼)します。

●以下のコラムを参照し、神様のお名前をお呼びし、ご挨拶や願いごとを申し上げ、祝詞を唱えます。


●二拝二拍手一拝を行います。

以上。

ご自宅での参拝ということもあり、今後実際に神社で参拝を行うためにも、祝詞をゆっくりでも良いので唱えてみるのも良いかもしれません。この機会に、練習してみましょう。

略拝詞」「祓詞」「天津祝詞」が比較的短くて、覚えやすい祝詞です。

新型コロナウイルス対策として、インターネット参拝の特設ページが設けられている寺社もあるようです。実際に現地で参拝しているような雰囲気を味わえる、動画などのコンテンツが公開されています。
また、お守りやお札などの授与を郵送で行っていただける寺社も多いので、是非ご利用されてはいかがでしょうか。

【インターネット参拝が可能な寺社】

「愛宕神社」
https://www.atago-jinja.com/virtual/

「神田明神」
https://www.kandamyoujin.or.jp

「桜神宮」
http://www.sakura.jingu.net/youhai.html

「東林寺天満宮
https://www.torinji-tenmangu.com/インターネット遥拝/

【オンラインおみくじ】

「伏見稲荷大社・眼力社」(*おすすめ)
http://www.ganrikisya.com/lottery.html 

「愛宕神社」
https://www.atago-jinja.com/lot/

「能勢妙見山」
https://www.myoken.org/fortune/

「江ノ島神社」
http://enoshimajinja.or.jp/omikuji/

「氣多大社」(*恋みくじ)
https://keta.jp/omikuji/

 

本年の更新は、今回で終了となります。今年もお付き合いくださり誠に有り難うございました。

来年も皆さんのお役に立つ記事をお届けできれば幸いです。

良いお年を!

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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