春を告げ、法華経を読む招福の鳥「ウグイス」『神々の意思を伝える動物たち 〜神使・眷属の世界(第三十九回)』

2021.3.12

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久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

神使「ウグイス」

春告鳥

私は登山が趣味なのですが、春から夏の盛りにかけて山中ではよくウグイスの「ホーホケキョ」という風情ある鳴き声がこだまします。しかし、声はすれども姿は見えず、なかなか姿を見せてくれません。普段は、山林などの藪の中に潜んでいることがほとんです。

ウグイスは早春に鳴き始めることから「春告鳥(はるつげどり)」と呼ばれ、春の訪れを知らせる鳥として知られます。また、「梅に鶯(うめにうぐいす)」といって、詩歌や絵画の世界などにおいて「良い取り合わせ」の例えともなっています。

しかし、実際に梅の花の蜜を好むのはメジロの方で、姿形もよく似ているのでウグイスと混同されたのかもしれません。

ちなみに「ホーホケキョ」の「ホー」は息を吸っている声、「ホケキョ」は息を吐いている声なのだそうです。早春に市街地や住宅地で春の訪れを告げて鳴いたあと(鳴き声の練習?)は、山に戻って巣作りを始めます。

秋から冬になると、再び里へと降りて来たウグイスは「チャッ、チャッ」と、その鳴き声を変えます。

お経を読む鳥

蓮如影像(室町時代作)ブレイズマン, Public domain

「ホーホケキョ」という鳴き声が、「法 法華経」または「法を聞け」と聞こえるとして、仏教に関わりの深い鳥としても知られるウグイス。

室町時代の浄土真宗の僧であり、大谷本願寺の住職であった蓮如上人が、病に伏せて山科本願寺に帰参した際に、弟子の空善が蓮如上人の心を和ませようとウグイスの入った鳥籠を持って来ました。

すると、ウグイスは「ホーホケキョ」と一鳴き。

これを聞いた蓮如上人が「このウグイスは、法を聞けと鳴く也」と言い、ウグイスを籠から出し空に放ったことが、『第八祖御物語空善聞書』(蓮如上人の晩年の言行をまとめた書物)に書かれています。

ウグイスでさえ「法を聞け」と鳴くのに、私たち僧が法を聞かないなんて嘆かわしい、そのような意味だったのでしょう。

京都市山科区の「西宗寺(さいしゅうじ)」には、「蓮如上人御往生之地」と記された石標が建てられています。明応8年(1499年)大阪御坊より、この地に移り往生されたのです。境内には「蓮如上人放鶯の像」が安置されています。

こうした謂れから、西宗寺の山号は「放鶯山(ほうおうざん)」とされました。

「法 法華経」と記されはじめたのは、江戸時代に入ってからだといわれます。

鶯張り

大覚寺(京都市右京区)

寺院など日本古来の建築物で、人が床の上を歩くことによって「キュッ、キュッ」というウグイスの鳴き声に似た軋み音が鳴る様に作られた構造を「鶯張り」といいます。

これは、外部からの侵入者を探知する目的があったという人為的な設計によるものだとする説と、構造上の劣化によるものだとする説があります。

京都の知恩院、大覚寺、二条城のものが有名です。

 

【ウグイスに所縁ある寺院】
西宗寺(京都市山科区)

 

参考文献

『神道辞典』国学院大学日本文化研究所(編)弘文堂
『神社のどうぶつ図鑑』茂木貞純(監修)二見書房
『お寺のどうぶつ図鑑』今井浄圓(監修)二見書房
『神様になった動物たち』戸部民生(著)だいわ文庫
『神使になった動物たち - 神使像図鑑』福田博通(著)新協出版社

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

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