2021.3.25
【お寺の鳥居・看板鳥居・プロペラ鳥居!】行ってみたくなる、変わりダネ鳥居③

「行ってみたくなる、変わりダネ鳥居」の第3回。
今回はお寺と神社の変形鳥居を2基ずつ、ご紹介しましょう!
長命寺の鳥居

滋賀県近江八幡市・長命寺
まるで2本の電柱の上に、柵を渡したような変わった作りをしている「姨綺耶山(いきやさん)・長命寺」の鳥居。
「鳥居とは何か?」の第一回、「鳥居の起源」の章でご紹介した「紅箭門(こうせんもん・フンサルムン)」に似ているため、朝鮮半島からの影響もあるように思われます。
この「長命寺」は琵琶湖畔の長命寺山の山腹にある、非常に由緒のある古刹として知られています。
武内宿禰が長寿を願って、この地の柳の木に「寿命長遠諸願成就」と彫って祈願をしたところ、300歳まで生きたという伝承があります。
のちに、聖徳太子がここを訪れた際、偶然に宿禰が柳の木に彫った文字を発見。感銘を受けながら、長寿を願って彫られた文字を見つめていると、太子の前に一人の白髪の老人が忽然と現れます。
老人は太子に、「この柳の木で仏像を作り、この地に安置せよ」と告げました。言われた通りに十一面観音を彫り、安置。宿禰の長寿にあやかって「長命寺」と名付け寺を創建しました。
本堂や、三重塔など重要文化財も多い「長命寺」。是非、訪れてみてはいかがでしょうか。

このような鳥居調の門も
本瀧寺の鳥居

大阪府豊能郡能勢町・本瀧寺 I, KENPEI / CC BY-SA
大陸からの文化流入の影響からか、寺院には不思議な形の鳥居が数多くあることが分かってきましたね。こちらの「本瀧寺」にも、異形の鳥居があります。
大阪最北端に位置する能勢町にある「本瀧寺」は、"北極星信仰の世界的聖地" とされる妙見山の中腹にあります。日蓮宗霊場の能勢妙見山は、自然豊かなハイキングコース、カフェなどがある「大阪の軽井沢」と呼ばれる避暑地としても知られています。
この異形の鳥居。笠木にあたる部分は、日本の伝統的文様「巴」がかたどられています。巴は水が渦巻く様を表しているとされ、火災除けとして瓦などに用いられました。また、八幡神の神紋としても使われています。
この地は、奈良時代の僧・行基が開いた霊場で、古来から滝行が盛んだったこともあり、鳥居の巴は、滝行を見守る龍神(水神)や、滝そのものを表しているのかもしれません。
住所:〒563-0132 大阪府豊能郡能勢町野間中718
電話:072-737-0028
HP:http://www.hontakiji.com
能勢妙見山
住所:〒563-0132 大阪府豊能郡能勢町野間中661
電話:072-739-0329
HP:https://www.myoken.org
看板鳥居

大阪市天王寺区・安居神社

住所:〒543-0062 大阪府大阪市天王寺区逢阪1丁目3−24
電話:06-6771-4932
プロペラ鳥居

大阪府泉佐野市・泉州磐船神社
「泉州磐船(いわふね)神社」は、別名「泉州航空神社」といい、関西国際空港を離発着する航空機の安全を祈願する、空の守護社として昭和58年に創建されました。
こちら「泉州磐船神社」の一の鳥居の扁額には、プロペラが取り付けられています。プロペラが回転すると、飛んで行ってしまいそうです。
本殿地下には航空資料館があり、狛犬の代わりにヘリコプターの実機が置かれています。また、御朱印には空を舞う八咫烏(やたがらす)が描かれています。
「泉州磐船神社」のご祭神は、饒速日命(にぎはやひのみこと)。
饒速日命は天照大神から拝領した、死者を蘇らせる霊験をもつ「十種の神宝(とくさのかんだから)」を携え、天児屋命(あめのこやめのみこと)ら、防衛(ふさぎもり)といわれる32柱の神々、五部人(いつとものひと)、伴領(とものみやつこ)らを従えて、「天の磐船」といわれる空飛ぶ乗り物に乗り、河内国河上の哮峰(いかるがのみね)に天降りました。その後、大和国鳥見白庭山(とみのしらにわやま)に移ったとされます。
この饒速日命が天降った地、哮峰(現在の交野市)にある「磐船神社」より分霊されたのが、この「泉州磐船神社」です。「磐船神社」には饒速日命が乗ったとされる天の磐船が御神体として祀られています。

大阪府交野市・磐船神社(巨大な御神体の天の磐船)
航空機や、空の安全を祈願する神社には他に、京都府八幡市の「飛行神社」があります。こちらの主祭神も饒速日命です。
日本で初めてゴム動力飛行機による飛行に成功した二宮忠八により創建されました。
二宮忠八は、世界で初めて有人飛行機の飛行に成功したライト兄弟よりも10年も前に、有人飛行機の飛行原理を発見、設計図も完成していました。しかし、当時の軍部が研究開発を却下したため、飛行実験の継続を断念せざるを得なくなります。
ライト兄弟が飛行実験を成功させた際には、拳を握りしめて無念の涙を流したといいます。
これ以降、世界は飛行機の時代へ突入していきます。これとともに事故も多発するようになり、飛行機開発に携わった者の使命として、二宮忠八は自邸内に私財を投じて飛行神社を創建することとなりました。
拝殿はギリシャ神殿のような趣きの、飛行神社。境内には零式艦上戦闘機の機首が展示されている他、二宮忠八に関する資料館も併設されています。

飛行神社・拝殿

零式艦上戦闘機機首部
住所:〒598-0001 大阪府泉佐野市上瓦屋392−1
電話:072-462-5900
HP:http://www.senshuiwafune.jp
磐船神社
住所:〒576-0033 大阪府交野市私市9丁目19−1
電話:072-891-2125
HP:http://www.osk.3web.ne.jp/~iw082125/index-j.html
飛行神社
住所:〒614-8002 京都府八幡市八幡土井44
電話:075-982-2329
HP:https://www.hikoujinjya.com/
参考文献
『鳥居 百説百話』川口謙二、池田孝、池田政弘著 東京美術
『鳥居』谷田博幸著 河出書房新社
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。