【基地の鳥居・日本一の鳥居・古代インド型鳥居!】行ってみたくなる、変わりダネ鳥居④

2021.3.27

  • twittertwitter
  • facebookfacebook
  • lineline

久保多渓心 ( ライター・占術家 )

墨が織り成す一子相伝の占術 “篁霊祥命(こうれいしょうめい)” を主な鑑定手法とする占術家。他にも文筆家やイベント・オーガナイザーとしての顔も持つ。また引きこもり支援相談活動なども行なっている。

『行ってみたくなる、変わりダネ鳥居』第4回は、ちょっと変わった場所に建つ鳥居、日本一の鳥居、そして京都は奥嵯峨にある古代インド型の鳥居をご紹介します。

 

基地の鳥居

横田基地

日本国内にある米軍基地には、数多くの鳥居が設置されています。

おそらく鳥居は、日本を象徴するシンボリックなアイテムだと見なされているからでしょう。在日米軍司令部(USFJ)や、在日米海軍厚木航空施設(NAF)のエンブレムにも、富士山と並んで、朱の鳥居が描かれています(「USFJ」「NAF」のTwitterアカウントのアイコンを参照下さい)。

横田基地内の滑走路脇の鳥居は、中央に電光掲示板を備え、扁額部分には米空軍のエンブレムが掲げられています。全体的に骨太でどっしりとした印象。明神鳥居と、神明鳥居の特徴を併せ持つハイブリッド鳥居です。

横田基地内の、この朱の鳥居は地元住民や航空ファンで賑わうイベント「日米友好祭」などで直接見ることが出来ます。

他にも、沖縄県の読谷村にある米陸軍の通信施設「トリイ・ステーション」のゲートにある、2基の鳥居が有名です。

基地内の両部鳥居

 

日本一の鳥居

日本一大きな鳥居

和歌山県田辺市・熊野本宮大社

日本一の大きさを誇る大鳥居があるのは、和歌山県の「熊野本宮大社」。

大鳥居は、本殿から歩いて10分ほどの旧社地「大斎原(おおゆのはら)」にあります。

熊野本宮大社は、かつて1万1千坪(現在の8倍の広さ)の境内に5棟12社殿が建ち並び、神楽殿や能舞台も備える非常に大規模な神社でした。

明治22年(1889年)、紀伊半島南部に甚大な被害をもたらした十津川大水害によって、これら社殿のほとんどが流出。

被災を免れて残った4社が、現在の本殿に祀られ、流出した8社は、旧社地「大斎原(おおゆのはら)」の石祠に祀られています。

この旧社地「大斎原」の、長閑な大地にそびえ立っているのが、高さ33.9m、横42mのコンクリート製の大鳥居。10階建てのビルに相当する高さです。

大鳥居は、今年の5月11日で建立20周年を迎えました。

大斎原の石祠(左に中四社下四社、右に境内末社を祀る)

【材質別・日本一高い鳥居】

北口本宮浅間神社(木造鳥居・昭和29年竣功)高さ18m
大神神社(耐候性鋼板・昭和61年竣功)高さ32.2m、耐久年数1,300年
彌彦神社(特殊鋼製・昭和57年竣功)高さ30.16m、日本最大の両部鳥居
鹿嶋神社(チタン製・平成10年竣功)高さ26m、耐久年数1,500年
茅部神社(石鳥居・文久3年建立)高さ13m
熊野本宮大社
住所:〒647-1731 和歌山県田辺市本宮町本宮1110
電話:0735-42-0009
HP:http://www.hongutaisha.jp

 

日本一小さな鳥居

熊本県宇土市・粟嶋神社(昭和42年まで使われた初期のミニ鳥居)

熊本県宇土市にある「粟嶋神社」には、日本一小さな鳥居があります。

境内に3基あるミニ鳥居の大きさは、縦横30cm。

文化11年(1814年)、医薬の神として崇敬を集めていた粟嶋大明神に、重い病に苦しむ人がこの「粟嶋神社」で祈祷を受け、信仰を続けたところ奇跡的に完治。そのお礼にと奉納された鳥居が、こちらのミニ鳥居です。

そのご神徳にあやかろうと、ミニ鳥居をくぐる人が増えたそう。願い事を心に思いながら、鳥居をくぐれば心身は癒され、病気平癒ばかりか、子授け、安産、良縁の霊験がもたらされるとの言い伝えがあり、女性の参拝者が絶えません。

福岡県筑後市「六所宮」内の「粟嶋神社」や、長崎県雲仙市の「淡嶋神社」など、全国各地の「粟島(淡島)神社」には、同様のミニ鳥居があります。

長崎県雲仙市・淡嶋神社

粟嶋神社
住所:〒869-0403 熊本県宇土市新開町557
電話:0964-22-1197
HP:https://www.awashima.or.jp/top.htm

粟嶋神社(六所宮境内)
住所:〒833-0003 福岡県筑後市羽犬塚652-1
HP:https://kankou.chikugolife.jp/kankou/detail/31

淡嶋神社
住所:〒859-1301 長崎県雲仙市国見町神代506−1
HP:http://www.city.unzen.nagasaki.jp/info/prev.asp?fol_id=3477

 

古代インド型鳥居

化野念仏寺(京都市右京区)

京都・嵯峨野にある「化野(あだしの)念仏寺」は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された風光明媚でレトロな町並みが残る「嵯峨鳥居本」の最奥部にある寺院です。

鳥辺野、蓮台野と並び、京都の三大風葬地として知られます。この地に野ざらしにされていた遺体を、空海が丁重に埋葬、供養し、その後、法然が念仏道場を開いて、今の念仏寺になりました。

約8千体の石仏、石塔が立ち並ぶ「西院の河原」は有名です。

ここに、不思議な形の鳥居があります。

画像:筆者

『鳥居とは何か?』第1回の、鳥居の起源についてご紹介した部分で、「鳥居の原型」として取り上げた、Torana(トーラナ)」によく似ています。

インドのものよりもシンプルですが、(笠木や貫にあたる)横木が3本という点では同じです。

この鳥居があるのは、化野念仏寺の境内に建てられた「仏舎利塔(ストゥーパ)」。釈迦の遺骨(仏舎利)をインドの世界文化遺産である「サーンチー」から贈られ、収められています。

この鳥居は、サーンチーのトーラナを模したものだそうです。

画像:筆者

画像:筆者

 

化野念仏寺
住所:〒616-8436 京都府京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17番地
HP : http://www.nenbutsuji.jp

 

参考文献

『鳥居 百説百話』川口謙二、池田孝、池田政弘著 東京美術
『鳥居』谷田博幸著 河出書房新社

久保多渓心 のプロフィール

久保多渓心

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。

バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。

音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。

引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。

現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。

月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。

『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。

2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。

おすすめ関連記事

2020 07/24

五穀豊穣を司る水神「蛇」-『神々の意思を伝える動物たち 〜神使・眷属の世界(第一回)』