2021.5.10
【赤鳥居・ハート鳥居・現代アート風鳥居】行ってみたくなる、変わりダネ鳥居⑩

「行ってみたくなる、変わりダネ鳥居」第10回目となります。
今回は、私の地元である福岡の鳥居を中心にご紹介しましょう。
水田天満宮

赤鳥居
太宰府天満宮と並び「九州二大天満宮」に数えられる、福岡県筑後市に鎮座する「水田天満宮」。御堀河天皇の勅命により、鎌倉時代に創建された歴史ある神社です。
入口に建つ赤鳥居は、基本形としては明神鳥居ですが、独特の様式をもちます。
笠木の上には屋根がつき、貫の先端は細くなっています。特に珍しいのは、島木と貫の間にある柱と額束の部分に装飾が施されています。
この赤鳥居をくぐった先にある文化財の「石造明神鳥居」も特徴的です。
笠木、島木、貫と比べて極端に太い柱、島木と貫の間が狭いこと、笠木と島木の緩やかな反り、垂直に切られた木鼻(柱から突き出た部分)が特徴で、北部九州に多い「肥前鳥居(筥崎鳥居)」の流れをくんだ鳥居です。

石の鳥居(寄進1614年・文化財)

本殿(創建1226年・文化財)
恋木(こいのき)神社
上でご紹介した「水田天満宮」の境内末社にあたるのが、この「恋木神社」。
恋の神様「恋命(コイノミコト)」をご祭神として祀るのは、ここ恋木神社だけ。
太宰府に流された菅原道真公が、都に残した家族を思う御心を慰めるために建てられた祠が、次第に縁結びの神様、恋の神様として親しまれるようになりました。
境内は、額束がハート型の鳥居や、ハートの陶板がはめ込まれた「恋参道」、ハートをかたどった「 良縁成就 恋木石灯籠 」などハートづくし。
ハートが施された「恋みくじ」「恋木絵馬」「ハート陶板守」などの授与品も人気を集めています。

ハートの鳥居

恋みくじはここへ

「恋参道」と「 良縁成就 恋木石灯籠 」
豊宇気神社
一見すると神社とは思えない「豊宇気(とようけ)神社」の佇まい。
入口にあるのはコンテンポラリーアート風のメタリックな鳥居。本殿もコンクリート打ちっぱなしのデザイナーズ住宅か、ギャラリーのような雰囲気です。
岡山県神社庁によれば、創建年代・由緒は不明で、かつては荒神社と称していたそう。
緑豊かで、荘厳な雰囲気の神社も良いですが、このように周辺の住宅や環境にマッチした神社も味わいがありますね。
同じように、シンプルな柱だけで構成された鳥居には、このような鳥居もあります。
こちらは福岡市中央区の閑静な住宅街にある「味噌喰地蔵尊」の鳥居。果たして、これを鳥居と言って良いのかは分かりませんが、そうだとすれば笠木部分が柱から僅かしか突き出ていない珍しい形状。
漢字の「円」に似ています。
こちらの味噌喰地蔵尊、京保17年(1732年)に起こった「京保の大飢饉」で亡くなった人々を慰霊するために1808年に建立された地蔵尊です。
この地で飢餓によって息絶えた人々を慰めるため、地域の住民たちが握り飯や生味噌を供えたといいます。後年になると、お地蔵様に願をかけてそれが成就すると、お地蔵様の口元に味噌を塗る風習が根付き、お地蔵様の口元はいつも味噌だらけになっていたそう。
そこで味噌喰地蔵尊の名がつけられたのですね。
住所:〒700-0807 岡山県岡山市北区南方3丁目3−41
味噌喰地蔵尊
住所:〒810-0023 福岡県福岡市中央区警固3丁目9−39
参考文献
『鳥居 百説百話』川口謙二、池田孝、池田政弘著 東京美術
『鳥居』谷田博幸著 河出書房新社
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。