2021.5.27
【四角鳥居・変形唐破風鳥居・原木鳥居】行ってみたくなる、変わりダネ鳥居⑭

『行ってみたい、変わりダネ鳥居』をいつもご覧いただき、有難うございます。
今回も、全国の変わった鳥居、不思議な鳥居をご紹介します。
車折神社
「車折神社」は、2度目の登場です。
前回は、三条通側の参道入口にかつて存在した「屋根付き鳥居」をご紹介しました。今回は嵐電・車折神社駅側、境内裏参道に鎮座する境内社「弁天神社(滄海神社)」の鳥居です。
こちらの鳥居は、一見するとごく普通の明神鳥居に見えますが、実は四本足の鳥居、四角い鳥居なのです。四方のどちらにも笠木、島木、貫、額束があります。
四本足の鳥居は「四脚鳥居」といい、分類上は「三ツ鳥居(三輪鳥居)」を指します。しかし、こちらの鳥居は上から見ると四角(正方形)なので、「四角鳥居」といった方が良いかもしれません。
四方を向いた鳥居が、それぞれ柱を共有して建っています。
このような鳥居は、三重県四日市の海山道町に鎮座する「海山道(みやまど)神社」にも見られます。
境内社「天神菅原社」には弁天神社と全く同じ「四角鳥居」があります。こちらは、学問の神様であるご祭神にちなみ、「失格(四角)しない鳥居」とされています。
(*車折神社の屋根付き鳥居については以下をご参照下さい)
(*三ツ鳥居については以下をご参照下さい)
住所:〒616-8343 京都府京都市右京区嵯峨朝日町23
HP:http://www.kurumazakijinja.or.jp/
海山道神社
住所:〒510-0845 三重県四日市市海山道町1丁目58
HP:http://www.miyamado-jinja.com/
石切劔箭神社

二ノ鳥居
「石切さん」「でんぽの神さん」(*「でんぽ」関西の方言で腫れ物のこと)として親しまれ、お百度紐を折り数えながら行う「お百度参り」でも有名な「石切劔箭(いしきりつるぎや)神社」。
こちらの、一ノ鳥居、二ノ鳥居、そして近鉄奈良線石切駅の線路沿いに建つ鳥居が、とても変わった形状をしています(一ノ鳥居には「石切宮」、二ノ鳥居には「石切神社」、石切駅側の鳥居には「石切劔箭神社」の扁額が掛かる)。
いずれも、唐破風鳥居の一種でもあると思われますが、一ノ鳥居、二ノ鳥居については島木がなく、貫も柱を貫通していません。また、白一色の唐破風鳥居も珍しいものです。また、額束の2本あります。
石切劔箭神社への参拝は、近鉄けいはんな線新石切駅下車の方が移動距離が短いですが、上述の近鉄奈良線石切駅で下車し、石切参道商店街をのんびり散策しながらの参拝がお勧めです。占いのお店が多く軒を連ねることで有名で、レトロな食堂や、雑貨店、石切大仏などが立ち並びます。
(*唐破風鳥居については以下をご参照下さい)

二ノ鳥居

石切駅の線路脇にある鳥居

石切参道商店街への入口

百数十店の店が立ち並ぶ石切参道商店街
小瀬石鎚神社
直島(なおしま)、豊島(てしま)と並び、アートの島として多くの環境客が訪れる香川県小豆島。
この小豆島に、不思議な岩「重岩(かさねいわ)」を御神体とした「小瀬石鎚神社」が鎮座しています。
小豆島には大阪城築城の際に使った石垣を切り出した、石切丁場跡が島内に数多く点在しており、この重岩のある「小瀬の丁場」はその一つ。
重岩は、2つの巨石が上下に重なったもので、断崖に絶妙なバランスで屹立しています。眼下には美しい瀬戸内海の絶景が広がる、まさにパワースポットです。
こちらの鳥居が、なんとも素朴な雰囲気を醸し出しています。
細い木の原木をそのまま使用していると思われ、笠木と柱部分はやや湾曲し、貫は比較的真っ直ぐです。
このような原始的な原木鳥居に、京都・嵐山に鎮座する野宮神社の「黒木鳥居」があります。樹皮がついたままの櫟の木が使われ、防腐処理が施されています。
こちらの鳥居は、野宮神社の黒木鳥居よりも細く、古代の息吹が感じられます。美しく装飾された鳥居にも圧倒されますが、こうした素朴な鳥居を前にすると、不思議と自然に対する畏敬の念が湧いてきます。
住所:〒761-4100 香川県小豆郡土庄町小瀬
参考文献
『鳥居 百説百話』川口謙二、池田孝、池田政弘著 東京美術
『鳥居』谷田博幸著 河出書房新社
久保多渓心 のプロフィール

画家の父、歌人の母のもと、福岡市博多区で生まれる。
バンド活動を経て、DJ、オーガナイザーとしてアート系イベント、音楽イベントなどを多数手掛ける傍ら、フリーライターとしても活動。
音楽雑誌でのアーティスト・インタビュー記事、書籍、フリーペーパー、WEBなどの媒体で政治、社会問題から、サブカルチャー、オカルトまで幅広いジャンルでコラムを執筆。
引きこもり、不登校、心の病など自身の経験を活かし「ピアカウンセリング」を主軸にしたコミュニティを立ち上げる。後にひきこもり支援相談士として当事者やその家族のサポート、相談活動にあたる。
現在は亡き父から継承した一子相伝の墨を用いた特殊な占術『篁霊祥命』や、独自のリーディングによって鑑定活動を行っている。2021年で鑑定活動は16年目を迎える。
月参り、寺社への参拝による開運術の指導なども行う。
『AGLA(アグラ)』スーパーバイザーを務める。
2020年10月より活動名をマーク・ケイより、久保多渓心に改名。