2019.8.26
夏と腸の冷えについて『心と体の調律(腸律)〜腸律セラピーで腸を調える(連載第三回)』

猛暑が続いていますね。
夏が暑いのは当然のことなのですが、私たちの体は意外にも冷え切ってしまっています。
2018年に行われた全国の20代から60代女性500人を対象としたインターネット調査によると、女性の約70%が冷えに悩んでいるとのこと。
その冷えを自覚する女性の75%が「動くのがおっくう」「仕事や家事に集中できない」「生活が楽しめない」などの自覚があるそうです。
そうしたことを考え合わせると、体の冷えは心の冷えにも繋がっているのかも知れません。そして、それは腸の動きとも連動していると腸律師である私は考えるのです。
連日続く、この耐えがたい夏の猛暑が、私たちの腸に与えるダメージには大きく分けて2つの要因があります。
温度差
ひとつめは「温度差」。
この季節、外は猛烈に暑いのに部屋の中は凍えるように寒いといったことがあります。
営業やお買い物などで炎天下の街中に出て、冷房で冷えた建物の中に入る。涼しい電車の車内から、突然蒸し暑い車外に降りる。とにかく1日の中で、何度も温度差を感じるのがこの季節なのです。
体内の内臓機能をコントロールする役目の一つに自律神経があります。自律神経は体温調節にも深く影響を与えます。私たちの意志とは無関係に体温を自動調整してくれる神経です。
私たちは通常寒さを感じると交感神経が優位になり抹消血管の周りの血管平滑筋(けっかんへいかつきん)が収縮し、血管が細く、そして硬くなり血圧も上昇。体内の熱を逃さないようにします。
特に皮膚や消化器系臓器の周囲は交感神経の密度が高く、交感神経の作用を受けやすいとされています。
逆に暑さを感じると副交感神経が優位になり抹消血管の周りの筋肉が緩み血管が柔らかくなり、血管が拡張し血圧の低下をもたらし汗をかくことで体温を放出します。
しかし、温度差の激しい場所に何度も出入りするだけで、この自律神経と体温、そして血圧の動きが乱れ始めます。
外に出て暑さを感じ、副交感神経が優位になったと思えば、電車に飛び乗り、いきなり電車内の冷房にさらされ寒さを感じ、また交感神経が優位な状態になってきたところで、また電車を降りて移動。
身体の中のコントロールがついてこられなくなり自律神経の乱れを引きおこしてしまいます。
冷たい食べ物
ふたつめは「冷たい食べ物」です。
どうしても夏は冷たいものを食べたり飲んだりしがちになります。
冷たい食べ物や飲み物は直接、腸を冷やしてしまします。人の免疫力の70%は腸内細菌が作っているといわれています。冷たい物の飲食で腸の温度が1度下がるだけでも免疫力は30%落ちてしまうという結果も出ているのです。
免疫が下がっているので、夏風邪を引いてしまうと治りにくいというのはここからきているのでしょう
身体の中のほとんどの臓器が自律神経の影響を受けています。
人間の体の中でいちばん大きな臓器が腸ですから、腸の中の自律神経は私たちの体や健康に大きく影響してきます。
腸の働きは消化吸収のほか、免疫力、セロトニンの分泌、血液、ホルモンにまで深く影響を与えます。
自律神経が乱れるとセロトニンの分泌も抑制されるので、動くのがおっくう、仕事や家事に集中出来ない、生活が楽しめないということになってしまいがちです。
自律神経の乱れを抑えるには、エアコンの温度設定を26度から28度に変更するなど、外気温と室温の差を極力少なくすることが必要です。
調整できない場合は、ショールやカーディガンを羽織るなどして、直接肌にエアコンの風が当たらないように気を付けましょう。
そして自律神経の乱れがある人は、体温調節が難しく、自分の汗で体が冷え切ってしまうこともあります。薄手の夏用の腹巻を巻き、一枚はカバンの中に入れ、汗をかいたら取り替えるなど、お腹を冷やさない工夫が大切になります。
そして冷たいものですが、せめてお水は氷なし、または常温のお水をいただきましょう。冷たいものを食べたあとは、温かいものも食べて、急にお腹の温度を下げることを防ぎましょう。
考えてみるとフランス料理でもサラダのあとは温かいスープ。冷たいデザートのあとは温かいコーヒー。必ず交互に出てくるようになっています。
体の冷えは万病の元。
体の冷えは腸の冷えとも直結している場合があります。暑いからこそ、温める。身体の冷えは心の冷えに繋がります。
この猛暑を乗り越え、楽しい夏の思い出を作ってくださいね!
小澤かおり のプロフィール

腸律サロン セラピーエ 代表 腸律師。
介護士時代、『排便トラブル』に悩む多くの利用者様が認知症などの病状が悪化していく状況に気付く。排便トラブルの原因を探っているうちに、薬、病気、腸の動きに着目する。
腸には体の不調を改善させる大きな可能性があることが分かり、介護予防、病気予防、健康、美容、不眠、鬱などの全ての改善に繋げたいと腸律サロン セラピーエをオープン。
不調の原因を腸から読み取るオリジナルメソッドを提供。『自分で生きられる力』が何よりも必要と考え、自分で出来るセルフ腸律も教えている。
『手の温もりで救う』を志に、サロン通いからの卒業を目指し『一家に一人の腸律師』を増やすべく、執筆活動や講演活動も行なっている。