衝撃と混沌のインド、そしてアーユルヴェーダとの出会い『アーユルヴェーダで手に入れる、ほんとうの健康と幸せ(連載第一回)』

2019.10.31

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梅村静代 ( アーユルヴェーダ・セラピスト )

アーユルヴェーダ・エステサロン&スクールRAMA代表 / AMAJ(アーユルヴェーダ・メディカル・アソシエイツ・ジャパン)副理事長 。
アーユルヴェーダ・セラピスト、ヨーガ・セラピストとして、サロン以外にもヨガスタジオ、統合医療施設、美容サロン、整骨院、食品会社等などで、各種セミナーや基礎理論講座などを行っている。

初めまして!

私は福岡市で「アーユルヴェーダ・エステサロン&スクールRAMA」「ローフードマイスター福岡薬院校」を運営している梅村静代と申します

第一回目となる今回のコラムは、私のアーユルヴェーダとの出会いのお話から始めたいと思います。

アガスティアの葉を求めて

大学を卒業するも就職することに興味がわかず、ワーキングホリデーでオーストラリアへ行った私は、24歳で帰国後もスキー場のリゾートバイトや飲食店のアルバイトでお金を貯めてはリュックを背負って海外を放浪するバックパッカーでした。

旅先は安く旅行ができるバリ島、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、ネパール。

そして何となく次の行先をハードルの高いインドにしようと考えていた頃、友人から「インドに行くなら運命が書かれている葉っぱを探してみたら?」と、青山圭秀さんの著書『アガスティアの葉』という本を渡されました。

本を開くと、父から勧められていた青山さんの別の著書『理性のゆらぎ』の続編である事が分かり、そちらを先に読むことにしました。

東大卒の物理学者がインド聖者の起こす奇跡の数々を目撃して理性がゆらいでゆくという話ですが、信じがたい衝撃的な内容で次のページを読むのが楽しみで仕方ないという初の経験。

その本に紹介されていた生命の科学、アーユルヴェーダ。ですがここでは、こんな医学があるんだなと軽く読み流し、完読して次の著書へと読み進めました。

昔々、この世に生きていた聖者アガスティアは、後世生まれてくる人々のために彼らの人生を予言に書き残したとされ、彼が遺した予言は今でもインドに存在し、運が良ければ自分自身について書かれた予言を読むことができるというのが続編の内容です。

著者もその予言を見つけ出し、しかも帰国後に予言に書かれていた運命の結婚相手と出会うことに?!という、これまた次が読みたくて眠れなくなるような衝撃作で、読み終える頃には、著者の青山氏にどうしても会ってみたくなりました。

インターネットで検索してみたところ、<日本アーユルヴェーダ・スクール本科1期生募集中!青山圭秀副校長(当時)が哲学を教える!>というページがヒットしました。

運命を感じた私は青山先生に会いたい一心でスクールに申込みをしました。あわよくば、本に書かれていたサイババを一目見たい、自分のアガスティアの葉を読みたい、本場のアーユルヴェーダを体験したいという思いを胸にインドへ飛び立ったのでした。

アーユルヴェーダとの邂逅

初めて訪れるインドは、私に強烈な印象をもたらしました。

トイレの汚さ、町を歩き回る牛、クラクションを鳴らしっぱなしの車やバイク、沢山いる修行僧とホームレス、色とりどりのサリーを着て働く女性、日本人旅行者に親しげに話しかけてくる怪しい男性、ただボーッとしている人、見慣れない儀式を行うヒンドゥー教のお寺と熱心な信者、お香の香り、オレンジ色の袈裟を着て沢山の信者に囲まれるサイババ、甘いチャイ、辛いインドカレー等々、善悪、正誤、男女、聖俗入り乱れたまさにカオス。

私はそんな退屈しないインドにすっかりハマったのでした。

そんなインドでアガスティアの葉探しをしていた日はとても暑くて、クーラーも扇風機もなく窓が開け放たれて蚊がブンブン飛んでいる室内で、私たちは長時間待たされていました。

私と友人の2人分の葉が無事見つかり、解読は明日行うということで一旦ホテルに戻った直後、友人が顔面蒼白で倒れてしまいました。

「大丈夫?!」と声をかけても体をゆすっても反応がありません。

別の部屋にいた通訳兼コーディネーターのインド人を呼びに行くと、神様にお参りする時間だったらしく、数珠を握ったまま部屋から飛び出てきました。

友人の状態を確認すると部屋を出て行き、ライムと水を持って戻ってきました。友人の口にライム水を流し入れ、顔にも水をかけてパチパチと頬を叩いていると友人の意識が戻ったのです。

おそらく脱水症状だったのだと思いますが、落ち着いて迅速な対応をした通訳は、「インドではこうやって治すのです」と言って立ち去りました。

またある日は、友人が熱を出して寝込んでいたところ、アーユルヴェーダを学ぶ宿主のおじさんがハーブの粉を持ってきて、友人の頭に擦り込みます。

「インドではこうやって頭痛や熱を取るのだ」と言い、それが効いたのかは分かりませんが病院に行くこともなく無事に熱も下がって旅を続けることができました。

インドでは日本で考えられないような方法で病気や症状を取り除こうとするのだなと面白く、日本に帰ってアーユルヴェーダを学ぶことへの期待感が高まっていきました。

日本アーユルヴェーダ・スクールへの入学

ゴアという町を訪れた際、アーユルヴェーダの看板を出していたサロンにフラッと入ってトリートメントを受けてみました。

そこはアーユルヴェーダ医師がいない個人経営のサロンのような店で、インド人の女性セラピストが一人でオイルマッサージをしてくれたのですが、体にオイルを塗った後、床の雑巾がけをするような感じで体を擦られてマッサージ後の発汗もなく、あまり気持ち良さを感じられなかったのが私のアーユルヴェーダのトリートメント初体験でした。

インドから帰国後すぐの2004年、日本アーユルヴェーダ・スクールで本格的にアーユルヴェーダの勉強を始めました

本科1期基礎コースに入学し、スクール併設のハタイクリニックのセラピスト、鍼灸師、産婦人科医師、ヨーガ教師、大学生、エステティシャン、OL、キャビンアテンダント、主婦など様々な職種の生徒は全25人程で東京は祐天寺にある教室は満席でした。

1期では、校長のクリシュナU.K.先生と加藤幸雄先生がメイン講師で、誰もが自分の生活にアーユルヴェーダを取り入れるために積極的に質問していたのが印象的でした。

アーユルヴェーダを生活に取り入れる

私のアーユルヴェーダ生活は、お白湯を飲むことから始まりました。

お白湯には未消化物を燃焼させ、消化力を上げる効果があり、初めは味がしないことに抵抗があるのですが、薬だと思って飲み続けていくと、胃に留まらずお腹までスーッと温かいお湯が浸透していくようで、体が内側から温まり美味しく感じていくのでした。

次に取り入れたのは歯磨き後の舌掃除です。タングスクレーパーを購入するまではカレースプーンを使いました。寝ている間に舌の上には老廃物が出てきます。それを歯磨きした後にこそぎ取るのです。

白くてネバネバした老廃物が取り去られると、綺麗なピンク色の舌が登場して舌が軽くなります。講義で舌の上の細菌を写した映像が出てきましたが、見ていて気分が悪くなるほど凄い数の細菌量でした。

起床後に歯を磨かずに水を飲んだり、朝食を食べたりするという事は、この細菌も一緒に飲み込んでしまう事にもなるのです。その翌朝から起床後はすぐに排泄を済ませて歯を磨き、舌の掃除をして消化力の観察をすることが日課になりました。

アーユルヴェーダでは「全ての病気は胃腸で発生する」とされているため、未消化物を発生させないためにも適度な消化力を維持していくことが健康でいるための重要なポイントとなるのです。その消化力を観察するためにも舌の清掃は毎日欠かせなくなりました。

こうして毎週少しずつ学んでは、その食事法や生活法を取り入れて変化を観察するという日々が始まりました。

個人の体質を重要視し、自然の法則に合ったアーユルヴェーダを学ぶと、テレビや雑誌の目まぐるしく変わる情報に惑わされることがなくなり、自分の体質に合った食事や生活をすることで、自分で自分の健康を守ることができるという魅力は生徒達の心を捉えました。

セラピストとして、アーユルヴェーダの普及を目指して

体を整える智恵を学ぶと、次は心を整える智恵も学んでいきます。

私たちの体は食べたものでできているというのは感覚的に掴めますが、私たちの心も食べたもので作られているというと、あまり実感がわかないかもしれません。

国によってよく食べられているものは違いますが、例えば辛い物を食べ慣れている国の方々は少々気性が激しい傾向があるような気がしませんか?

それは辛い物を食べると、激しい心の性質が増加するからです。食べるもので心も体もできているという事は、何を食べるかによって変化する心と体の状態は自分で選べるということなのです。

毎回学ぶのが楽しくて仕方なかったアーユルヴェーダ・スクールを卒業し、しばらく経ってセラピストに興味を持つようになった私は、まず確かな技術を得るために過酷なエステ業界に就職しました。

修行の日々を経て、シンクロニシティと幸運に恵まれ20111111日、友人から場所を借りてサロンを開始。その後、長崎ハウステンボス内にあった統合医療施設へアーユルヴェーダ施術者として定期的に出張する事が決まり、そこでインドから帰国したてのアーユルヴェーダ医師である田端瞳さんと知り合いました。

私がアーユルヴェーダを学び始めた頃は日本にわずか2人しかいなかったインド政府公認のアーユルヴェーダ医師も現在では11人に増え、まるで宇宙が計ったかのように日本各地に点在されています。

その中で医療資格保持者は現在のところ3人しかいませんが、先生方それぞれがスクールや書籍、セミナーなどでアーユルヴェーダ医学を広めておられるため、今後は既に浸透している統合医療である鍼灸・漢方・アロマ・ヨーガ等のようにアーユルヴェーダが私たちの生活に浸透していくと期待されています。

私は個人経営しているサロン・スクールの他に、元々医療従事者(看護師・保健師)で現在は福岡の様々な医療施設でアーユルヴェーダやヨーガのカウンセリングを行っているアーユルヴェーダ医師の田端瞳先生と一緒にAMAJ(アーユルヴェーダ・メディカル・アソシエイツ・ジャパン)を運営し、アーユルヴェーダを普及し日本の医療に取り入れるために活動しています。

人々がアーユルヴェーダの智慧を通して健康で幸せに満ちた人生を送るために、これからも精進してまいります。

次回からのコラムでは、アーユルヴェーダって何?どんな風に良いの?健康で幸せに生きるために生活に取り入れた方が良い事は何?など、アーユルヴェーダを始めとする心と体の健康だけでなくより幸せに生きるためのエッセンスをお伝えしていきたいと思っています。

梅村静代 のプロフィール

梅村静代

大学卒業を機にワーキングホリデーでオーストラリアへ。20代は雑誌編集・マンション販売などの仕事で得た収入で海外を放浪。

のちに霊性の向上を求めてインドへ渡り、アーユルヴェーダ・ヨーガ・瞑想を学ぶ。

2005年、日本アーユルヴェーダ・スクール本科1期を卒業。シンクロニシティに導かれ九州に戻り、介護職・パソコン営業などの仕事を経て、有名痩身エステサロンに入社。

プライベートサロン、アーユルヴェーダサロン勤務の後、アーユルヴェーダ・痩身・エステ・ヨーガ・スクールを融合させ2012年8月8日RAMA(ラーマ)を開業。

同年より日本人アーユルヴェーダ医師の田端瞳に師事。田端瞳代表のAMAJ(アーユルヴェーダ・メディカル・アソシエイツ・ジャパン)副理事長として、アーユルヴェーダを普及する活動を続けている。

2017年からはローフードマイスター福岡薬院校としてローフード資格講座も開始。

活動はサロン内に留まらず、ヨガスタジオ、統合医療施設、美容サロン、整骨院、食品会社等でも、各種セミナーや基礎理論講座などを行っている。


RAMAホームページ→ https://www.rama88.com/



AMAJ(アーユルヴェーダ・メディカル・アソシエイツ・ジャパン)ホームページ→ https://amaj.jp


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