2019.11.18
カラダを温めるハーブティー!その三大効果とは?『暮らしを彩るハーブの魅力(連載第六回)』

秋も終盤ですね。どんどん気温が落ちてきました。今年は早くからインフルエンザの罹患者が出て、流行は避けられないようです。これからの時期に備え予防に気を配って元気で楽しい年末年始を迎えたいところです。
予防の要となる「免疫」については、このハーブシリーズの中でも書かせていただきました。ビタミンCをたっぷり摂ることを始め、「保温と保湿」も大事なポイントになります。その中でも、本日は、「カラダを温める」(保温)をテーマにハーブをチョイスしていきたいと思います。
もともと、私たちのカラダには免疫機能がしっかり備わっています。カラダを覆っている皮膚は外界からウィルスや雑菌の侵入を防いでいますし、目や鼻、口といった皮膚以外の部分は粘膜がその役割を担っています。保湿という意味ではこの粘膜がしっかり潤っていて、さらに体温が36度以上あればウィルスや雑菌の繁殖を抑えることができるということがわかっています。
カラダを温めるとどんな良いことがあるの?
現代を生きている私たちの「カラダは冷えている」と言われています。日々、多かれ少なかれストレスにさらされている私たちのカラダは交感神経が優位で、リラックス神経といわれる副交感神経のスイッチになかなか切り替わらない。
それが原因で、血管が緊張して収縮してしまい毛細血管まで血流が行き届かず、エネルギー産生に必要な栄養素や酸素を運べない状態になっています。即ちエネルギーが生み出されず、体温が上がらないというメカニズムになってしまいます。この状態だと女性にとっては美容にも大きく影響が出てくることになります。
カラダを温めることで、どんな良いことがあるのかを具体的にあげてみると、三つほど挙げられます。
一つ目は、温かいとリラックス状態になり「副交感神経が優位」になる点。そうすると、血管が拡張し、血流がよくなり、栄養素が毛細血管まで行きわたることに。そうなると必要な細胞の修復などお肌の生まれ変わりなどが期待できますね。
二つ目は、酵素の働きに大きく影響するという事です。
私たちのカラダの中にある酵素は、「代謝」に関わる触媒として働いています。例えば、この酵素は、私たちが食べた物を分解して栄養を吸収し、エネルギーに変えるという働きをしています。この働きだけでなく、私たちの体内には数千種類の酵素がそれぞれ特別な働きをしているわけです。凄いですよね。
また、酵素は免疫力とも深い関係があり、冬に風邪をひきやすかったり、インフルエンザなどの罹患率が高かったりするのは、気温が低く体温が下がりがちな寒い時期に、免疫に必要な酵素の働きが下がっていることが一因です。カラダを温めると、酵素の働きが上がり、その結果、代謝が進んで免疫力も上げることができるのです。
その体内の調子を整えるために働く酵素の多くは、最適な温度が37℃前後。ですので、カラダを良い状態に保つためにも、酵素が働きやすい体温を維持することがポイントになってきます。
最後は、神経伝達速度。
私たちのカラダは、温めることによって神経伝達速度が上がるということが、研究でずっと以前から解っていました。つまりカラダを温めることで、脳へあるいは脳からカラダの末梢へ情報が速く伝わるようになるということです。
副交感神経優位の情報や酵素の情報も早く伝わることになります。副交感神経、酵素、神経伝達の働きはそれぞれ密接に連携をとっています。カラダを温めることによって、すべての働きがより活発に、より良くなれば、互いに影響し合い、カラダが快調になることが期待できます。
温めることで免疫系の働きを向上させれば、健康になり、これからの季節に流行するインフルエンザへの罹患率も下げることができます。すなわち予防に効果的ということです。
日頃から自分のカラダを温めることを意識してみて下さい。そうすれば、きっとより健康的な毎日を送れるはずですよ。
カラダを温めるフィトケミカル(植物化学)成分は?
カラダを温めるハーブは、それこそ得意分野で沢山の種類があります。
そのもととなる植物化学成分は主にフラボノイド類。ハーブとしては、ルイボスやネトル、ローズマリーなど血行を促すものの殆どが対象になりますが、今回はこの時期に最適なエルダーフラワーやカモミール、ジンジャー、そしてスパイスのシナモンなどがお薦めです。
エルダーフラワーに含まれるフラボノイドのほかに粘液質があります。エルダーフラワーはカラダを温め血流促進し、体温が上がることで発汗し熱を下げることからインフルエンザの特効薬といわれています。また、粘膜に働きかけて、カタル(のど、鼻水、くしゃみなど)症状にとても良いとされています。この時期は特に活躍するハーブのひとつです。
カモミールはとにかくリラックスして落ち着かせてくれるハーブ。お休み前に飲むことで、香りからくるリラックス効果でカラダが温まり質の良い眠りへ誘ってくれそうです。
スパイスをふんだんに使う「チャイ」!
ハーブとは少し違うアイテムとして、スパイスがあります。
スパイスティーで特に有名なチャイは年間を通して、うちの教室でも人気講座のひとつ。手軽に作れる飲み物ですが、スパイス使いがわからないという方が多く参加されます。
基本はシナモンやカルダモン、ジンジャーやスターアニス、オールスパイス、クローブ、ペッパーなどの好きなスパイスを使う、で大丈夫。
スパイスに含まれる成分はほとんどが「脂溶性」のいわゆる油成分です。ですので、お湯で抽出するよりも牛乳やワインなどの脂溶性の飲み物やアルコールとの相性は抜群です。
インドなどではお砂糖をたっぷり使いますが、牛乳自体に甘味があるので、砂糖は使わずとも美味しくいただけます。また、牛乳に含まれるカルシウムもリラックス効果に繋がります。
スパイスに含まれる成分は、香りがスパイシーーで特徴的ですよね。
含まれる成分の薬効に抗菌力や血流をアップさせるものが多く含まれます。近年、シナモンに血糖値を下げるなどの研究結果が報告されるなど、カラダにとても有用なことがわかっています。但し、多く摂りすぎると肝臓に負担をかけることがあるので、ご注意下さい。(普通に使う限り問題はありません)
身近にあるジンジャー(生姜)は、生で使うより乾燥しているものを使います。
乾燥したジンジャーには生に含まれる辛み成分のジンゲロールから変化したショウガオールが含まれていますが、この成分がカラダの芯から温めてくれるので、冬の冷え対策には特におすすめです。
辛いというイメージがありますが、乾燥しているショウガは熱湯で抽出してティーにしても辛みより甘味を感じて美味しく飲むことができますよ。他のハーブティーとともにブレンドしてもいいでしょう。
そして、この時期は特に人気のティーアレンジとして、ドイツでクリスマス時期に飲まれるアドベントティーがあります。
アドベント(Advent)とは「出現、降臨」を意味し、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間(クリスマスの4週間前の日曜日から、クリスマスイブまで)を言います。
5世紀後半から、アドベントはクリスマス前に断食をして身を浄める期間とされていました。この時期に、沢山のハーブとスパイスをブレンドし、カラダを温めて病気をしないカラダ作りの一つとして今でも飲まれているティーになります。
使われているハーブやスパイスはハイビスカス、ローズヒップ、リコリス、シナモン、カルダモン、クローブなど10数種。甘い香りづけにバニラビーンズも私は加えています。
とにかくポカポカになるティーブレンドで免疫力もアップしてくれるアイテムとして毎年欠かせません。このティーをやはりクリスマスまで、毎日一切れずつ食べるといわれる「シュトーレン」とともに頂くとカラダもココロも温かくなりますよ。
ハーブやスパイスにはカラダを整えてくれる成分が沢山含まれています。その成分はシリーズの最初にお伝えした通り、植物が自分の種の存続のために作り出した自分を守るために必要なもの。その大事な成分を私たち人間が健康のために活用しているということ。
それを忘れずに季節ごとに必要なものをハーブや野菜や果物などから、美味しい自然の恵みとしていただくことに感謝して、また私たち自身も自然の一部として存在していることを意識しながら過ごしていきたいですね。
素敵なハーバルライフを。
岩橋たか子 のプロフィール

ハーブ活用のスペシャリストとして、ハーブのもつ植物化学成分を日常に効果的でおいしく取り入れるための活動を中心に展開している。
スクールでハーブの「ティーレッスン」から資格認定講座などを開催する一方、大学や企業での健康セミナーやイベントなどの講師活動も行っている。ハーブの枠にとどまらず、健康視点のアプローチが最近ではとても人気の講座となっていて、料理のプロではなく「ハーブのプロ」としてハーブ&スパイスを使った「ハーブクッキング講座」なども好評。
また、ハーブを健康や病気予防、美容の為だけでなく生活空間やテーブルを彩り生活を豊かにすることをコンセプトに、企業や協会の会報誌に寄稿、TVやラジオなどのメディアからも常に情報発信している。
さらに、ハーブ関連の商品プロデュースにおいては、健康増進と美容を目的としたブレンドティーやサプリメントなど多くの企業へレシピやアイデアを提供している。
HP→ ひだまりハーブガーデン&スクール