2020.4.6
ドーシャの特徴と簡単バランス方法『アーユルヴェーダで手に入れる、ほんとうの健康と幸せ(連載第五回)』

前回のコラムでは、自分の生まれ持った体質/プラクリティと、現在のドーシャのバランス/ヴィクリティを調べるチェック表をUPしてみました。
ご自分の体質について、何となく見当がつきましたでしょうか?
今回は各ドーシャが持つ詳しい特徴と、ドーシャをバランスさせる方法を見ていきましょう!
ヴァータ体質・心身の特徴まとめ
五大元素では、「空」「風」が元となっている『運動エネルギー』です。
ヴァータのエネルギーが体内で行っていることは、呼吸する、話す、食べたものや血液など身体を構成している要素を運搬・循環する、など動きに関連することの全てです。
ヴァータが持っている性質は、乾性、軽性、冷性、移動性、粗性、微細性などがあります。
ヴァータ体質の人は華奢で痩せている人が多いのですが、ヴァータの増加で精神不安定から過食に走り太っている方もいるため、一概に痩せているとは言えなくなっています。
しかし基本的には肩幅や骨盤が狭く、胸板も薄いような人が多いです。血管やじん帯などが浮き出ている事があります。関節が目立ちポキポキと鳴りやすい特徴があります。
身長が極端に高い人や低い人、手足がとても長かったり短かったりします。皮膚は冷たく乾燥肌です。生まれつき肌が浅黒い方です。髪の毛も乾燥していてツヤがなく縮れていたりもして、フケや枝毛が多いです。
目は小さくてキョロキョロとよく動き、ドライアイになりやすいです。ワシ鼻もヴァータ体質の特徴です。唇も乾燥していて切れやすく、歯並びや噛み合わせが悪いです。爪も大きさが不揃いで割れやすいです。
食欲や消化も不規則で、急に大食いしたり、熱中して食べるのを忘れたりもします。瞬間的にエネルギーを使えますが持続力がないので、元気よく何かを始めてもすぐに休憩をしたがります。
とにかく寒がりでいつも手足が冷たいです。汗も尿も少なく便秘の傾向があり、お腹にガスが溜まりやすいです。便も乾燥しているのでウサギのようなコロコロ便だったりします。女性は生理不順や生理痛がある人が多いです。
アイデアが豊富で、明るく活発で、機敏ですが落ち着きに欠けます。早口で、聞かれていないことまでよく喋ります。会話の引き出しが多く、内容は感覚的で、あちこちに話が飛びます。歩くのも早いし、体を動かすのも好きですが、すぐに疲れるため重労働には耐えられません。
新しいことに飛びつきすぐに始めますが、飽きっぽいので長続きしません。意志が弱く衝動的で、信念や考えも変わりやすく持続しません。
寝る・食べる・排泄するなどの生活習慣が不規則になりやすく、寝つきが悪い、眠りが浅いなどの不眠傾向があります。神経質で緊張しやすいですが、社交的で新しい環境に馴染むのも人と打ち解けるのも速いです。
音にとても敏感なので大きな音が苦手です。お金を稼ぐのも速いですが遣うのも速くあまり貯めておくことができません。想像力が豊かで、新しいものや変化が好きです。物事を理解し記憶するのも速いですが、忘れるのも速いです。
体内にヴァータのエネルギーが増えてくると、痩せる、肩こりや腰痛などの痛み、冷え、乾燥、便秘、不眠、精神不安定、気分変動、不安や心配、などの症状が出てきます。
ヴァータ体質の人が罹りやすい病気は、神経系疾患、骨の異常、うつ病などの精神疾患、耳鳴りなどの耳疾患などがあります。
ヴァータ体質の簡単バランス方法
基本的な考え方として、ドーシャが持っている性質と反対の性質を取り入れることで、ドーシャを鎮静させる事ができます。
例えば、ヴァータには乾性がありますので、調理をする時に適量の油を使って食事を作ったり、肉の油が入った栄養価の高いスープを飲んだりして、身体の乾燥を内側から予防しましょう。また、体にも温かいオイルを塗ってマッサージを行って皮膚の乾燥を防ぎましょう。
冷性があり体が冷えやすいので、特に午後2時を過ぎたら首の後ろや足首などを冷やさないようにして、温かい飲食物を摂るように心がけます。体にオイルマッサージをした後はサウナに入るか、お風呂で発汗する事で老廃物の排出を促すことができます。移動性があるので、働き過ぎない、動き過ぎないようにして、疲れを感じたら温かい所でのんびり過ごす事が勧められます。
ピッタ体質・心身の特徴まとめ
五大元素では、「火」「水」が元となっている『燃焼エネルギー』です。
ピッタのエネルギーが体内で行っていることは、消化と代謝です。入ってきた情報を自分なりに理解・分析・解釈するようなこともピッタの働きです。
ピッタが持っている性質は、温性、鋭性、少し油性、流動性、変動性、軽性などがあります。
ピッタ体質の人は中肉中背で、スタイルが良い人が多いです。体のバランスがとれていて、胸板は厚くも薄くもなく、血管も中等度に浮き出ていて、筋肉も程々か筋肉質で、体の柔軟性が高いです。ピッタは様々な面においてヴァータとカファの中間の人と言われています。
身長は中程度、皮膚は薄く柔らかできめが細かく輝きがあります。日焼けしやすく、ほくろ・シミ・そばかすが目立ちます。敏感肌で、ニキビや吹き出物、皮膚炎に悩まされる人が多いです。
暑がりで手足はいつも温かいです。髪の毛は細くてツヤがありますが、若白髪や若ハゲになりやすい傾向があります。目は鋭く眼力があって充血しやすいです。歯は中程度の大きさで歯並びも良いですが、歯茎から出血しやすく口内炎も出来やすいです。爪の形も揃っています。鼻先が赤い人もいます。
食欲旺盛で消化力も強いです。お腹が空くとイライラして怒りっぽくなります。暑がりなので冷たい飲食物を好む傾向があります。体重は一定な方で太っても減量が簡単に出来ます。年中汗かきで、尿量も排便回数も多めで軟便になりやすいです。体臭や口臭があります。体温が高く、太陽光やサウナなどの熱が苦手です。女性の場合、月経は定期的ですが出血量が多めです。
計画的で完璧主義、会話や行動に無駄がなく、勇敢でチャレンジ精神があり、強い意思を持ち、優れた指導力・リーダーシップがあります。雄弁家で論理的ですが、議論を好み、批判的で喧嘩っ早いところがあるので敵を作りやすいです。スピリチュアルなことにも興味が強く、信心深く狂信的になりやすいところがあります。睡眠も中等度なので、途中で目が覚めることもありません。
見た目を重視し、見栄っ張りです。高級品やブランド物、アロマや香水などの香りが好きです。何事も計算的で計画性があります。鋭い理解力があり、知的で、情熱的で、負けん気が強く、野心に溢れています。
体内でピッタのバランスが崩れると、短気で怒りっぽく攻撃的になり、自分の思い通りに相手をコントロールしようとします。発熱、異常な空腹感、若白髪や若禿、発汗過多、出血、灼熱感、などの症状が出てきます。
ピッタ体質の人が罹りやすい病気は、消化器系疾患、肝臓・脾臓・膵臓疾患、皮膚病、眼病、出血性疾患などがあります。
ピッタ体質の簡単バランス方法
ピッタには温性があり、シミやそばかす等が出来やすいので、特に夏の暑い時期などは日陰を歩いて日傘やサングラスなどで防御しましょう。
汗も多く皮膚炎になりやすいので、適度にエアコンを使ったり、清拭したり、水浴びしたりして体を冷やしましょう。
ピッタにはお酒や辛い食べ物が好きな方も多いですが、それらは温性を増加させますので、あまりお勧めできません。それよりは体を冷やす夏野菜、果物やココナッツオイルといった南国系の食べ物が合っています。
鋭性があって目つきや意見が鋭くなりがちですので、そういった自分の傾向を知って日頃からそうならないように気を付けておくことで、敵を作る喧嘩や衝突を避けることができるかもしれませんね。ピッタにも流動性などの動きやすい性質がありますので、働きすぎにならないように、自然の中に行って優しい気持ちでのんびり過ごす時間を大切にすると良いでしょう。
カファ体質・心身の特徴まとめ
五大元素では、「水」「地」が元となっている『結合エネルギー』です。
カファのエネルギーが体内で行っていることは、心身の安定、結合に関わることです。
カファが持っている性質は、油性、冷性、重性、緩慢性、粘着性、停滞性、柔性、安定性などがあります。
カファ体質の人は、肩幅や骨盤が広く、胸板が厚く、骨太で筋肉も発達しており、脂肪が付きやすいので、がっしりした体型か太っています。血管は見えにくく、関節の動きが良いです。
皮膚はもち肌&色白で、厚くて、脂が多くて湿っています。髪の毛は黒くて、濃くて、艶があります。大きく魅力的で、優しく潤いのある目をしています。まつげが長く、白目の白さが際立っています。白く輝く丈夫な歯をしており、歯並びが良いです。
食欲は安定していますが、消化するのに時間がかかり、食事の量も少なめです。体力があるので食事を抜いても平気です。脂肪も何でも溜め込む傾向があり、太りやすいです。発汗は普通で、排便は定期的です。体臭も少なく、香水などの香りは好みません。ハードな肉体労働やスポーツにも耐えられる丈夫な人です。女性の場合は生理も定期的で量も普通ですが、むくみやすいです。
歩くのも、食べるのも、話し方も何事もゆっくりマイペースで落ち着いています。物覚えも遅いですが、一旦記憶したことはいつまでも覚えています。新しいことや変化することを好みませんが、忍耐力や持続力があるので、粘り強く物事をやり遂げることができます。寝るのが好きで、どこでも、いつまでも寝ていられます。
感情もお金も物でも何でも収集する、溜め込む傾向があります。食べることにお金を遣います。心穏やかで、寛大で、落ち着いており、慈愛深くて、献身的で、争いを好まぬ平和主義者です。
カファのエネルギーが増えすぎてバランスが崩れると、無気力、怠惰、思考が鈍る、執着、貪欲、頑固になります。
カファ体質の人が罹りやすい病気は、関節疾患、糖尿病、ぜん息、肥満、花粉症などのアレルギーなどがあります。
カファ体質の簡単バランス方法
カファには油性があるので、揚げ物や油を多く使った食事などの摂り過ぎには気を付けた方が良いでしょう。
ヴァータと同じく冷性があり体が冷えやすいので、すぐに羽織れる上着を持ち歩く、シャワーで済まさずに必ずお風呂に浸かるなど、体を温かくしておくことが勧められます。
洗髪後は必ず髪の毛を乾かしましょう。カファの人は栄養を摂り過ぎると太りやすいので、甘い物や肉類は控えめにして、特に冬~春にかけては夕食を軽くするなどのプチ断食を取り入れると良いでしょう。
停滞性や安定性があるので、気持ちは乗らないかもしれませんが、運動を習慣にするのがおススメです。運動をすることで、体内に溜め込みやすい水分も汗となって排出され、むくみも解消し、体だけでなく心も軽くなったことを感じられます。
3つのドーシャについて見てきましたが、前回もお伝えしたように、ある1つのドーシャだけが多い方もいらっしゃるのですが、2種類のドーシャが多い複合体質の方もいらっしゃいます。その場合は2つのドーシャがどちらもアンバランスになりやすいということですので、両方のドーシャに気を付ける必要があります。
次回も引き続き、体質に関わるドーシャをバランスさせる方法を詳しく見ていきましょう!
参考資料
RAMAのアーユルヴェーダスクール資料
「インドの生命科学アーユルヴェーダ」上馬塲和夫・西川眞知子著
「インド伝承医学で健康に!アーユルヴェーダ入門」上馬塲和夫・西川眞知子著
梅村静代 のプロフィール

大学卒業を機にワーキングホリデーでオーストラリアへ。20代は雑誌編集・マンション販売などの仕事で得た収入で海外を放浪。
のちに霊性の向上を求めてインドへ渡り、アーユルヴェーダ・ヨーガ・瞑想を学ぶ。
2005年、日本アーユルヴェーダ・スクール本科1期を卒業。シンクロニシティに導かれ九州に戻り、介護職・パソコン営業などの仕事を経て、有名痩身エステサロンに入社。
プライベートサロン、アーユルヴェーダサロン勤務の後、アーユルヴェーダ・痩身・エステ・ヨーガ・スクールを融合させ2012年8月8日RAMA(ラーマ)を開業。
同年より日本人アーユルヴェーダ医師の田端瞳に師事。田端瞳代表のAMAJ(アーユルヴェーダ・メディカル・アソシエイツ・ジャパン)副理事長として、アーユルヴェーダを普及する活動を続けている。
2017年からはローフードマイスター福岡薬院校としてローフード資格講座も開始。
活動はサロン内に留まらず、ヨガスタジオ、統合医療施設、美容サロン、整骨院、食品会社等でも、各種セミナーや基礎理論講座などを行っている。
RAMAホームページ→ https://www.rama88.com/
AMAJ(アーユルヴェーダ・メディカル・アソシエイツ・ジャパン)ホームページ→ https://amaj.jp