2020.6.8
四柱推命の基礎 ~東洋の叡智”陰陽五行”〜『私らしく生きるための東洋の智慧(連載第三回)』

四柱推命の根底に流れる東洋の叡智
古代中国で生まれた四柱推命。
私たちが個々に生まれもった本質や人生の流れを読む命学ですが、この元になっているのが東洋の叡智、陰陽五行説です。
小説や映画で一躍有名になった陰陽師も、この陰陽五行説を用いて祈祷や占術を執り行っていました。
陰陽五行説は、東洋医学の基礎としてもよく知られています。
最近は日本でも女性を中心に、アロマテラピーやハーブティーと同じように、漢方や鍼灸をカジュアルに生活に取り入れている方が増えています。「陰陽五行」という言葉を耳にしたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
陰陽五行説は、この世界に存在するものは、陰と陽の二つに分類することができるという【陰陽論】が起源です。
存在するすべてのものはエネルギーでできているという東洋の思想があり、これを「気一元論(きいちげんろん)」といいます。
そして、光あるところに影が生じるように、この地球上では、何かが生まれるとその対極にあるものが同時に生まれます。これが陰陽の成り立ちであり、自然の姿です。
磁石をどこで切っても必ずS極とN極が生まれるのも、まさにこれですね。
私が陰陽論で特に好きな点が、良い・悪いや善悪の区別がないという考え方です。
光があれば必ず影が生じます。これが宇宙における自然な在り方です。光は明るくて影は暗いというイメージから、陽は良いもので陰は悪いものだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
例えば、これからますます太陽の日差しが強く射す季節になりますが、そんな暑い日にちょっと日陰で休むことができたら嬉しいですよね。
また、晴れの日は気分が明るくなり雨の日はどんよりしがちですが、そんな晴れの日が続いてカラカラの状態のところに雨が降ると、それは恵みの雨となります。
そのように陰陽は絶対的なものではなく、時間や空間、また見ている人によって、どんな意味を持つのかが変わる相対的なものなのです。
ここ数ヶ月間、新型コロナウイルスによる自粛ムードや混乱が続いています。
もちろん悲しい出来事や憤りを感じることも沢山起きていますが、この大きな変化の中で自分自身を見つめ直し、新しい生き方を切り拓いていく方たちも多くいらっしゃるでしょう。
そこには負の側面だけではなく、同時に別の視点が存在するということ。
世界中で経済活動にブレーキがかかってしまった一方で、空気汚染がグッと改善されたというニュースも多く目にしました。
季節が巡って種が芽を出し、花を咲かせるように、この世に存在するエネルギーは刻一刻と変化し、陰陽のバランスも移り変わっていきます。
この世で唯一不変なものは、変化し続けることであるというのが、四柱推命をはじめとする東洋思想の大切な考え方。
実は私がサロンで提供しているイギリス発祥のカラーセラピー、オーラソーマ®でも同じことが言われるので、東西問わず、古代の賢者たちが辿り着いた共通の哲学なのかもしれませんね。
私たち個人の人生だけでなく、この世界で起こる様々な出来事を見ながら、この陰陽論という教えの深さをひしひしと感じています。
陰と陽が表しているもの
実際に、陰陽が示すものは以下のようになります。
陰:内/下/家庭/時間/内面/肉体/女性/量
陽は促進作用をもった無形のエネルギー。水が温められて、蒸気になってどんどん広がっていくのを想像していただけると良いと思います。
対して、陰は抑制作用をもった有形のエネルギーで、冷やされた水蒸気がギュッと凝縮して水滴となり形を持つイメージです。
このように水の変化を例に挙げると、陰陽の対比がお解りいただけるのではではないでしょうか。
そんな陰陽が発展して、次に生まれたのが五行です。
陰陽から発展した五行論
五行は木・火・土・金・水の5つから成り、それぞれの陰と陽のバランス、また象徴するものの例は以下のようになります。
木(もく)→ 陽中の陰:春/青(現代でいう緑)/肝・胆/酸味/怒り
火(か)→ 陽中の陽:夏/赤/心・小腸/苦味/喜び
土(ど)→ 陰陽挟雑(きょうざつ):土用/黄/脾(西洋医学でいう膵臓)・胃/甘味/思慮
金(きん・ごん)→ 陰中の陽:秋/白/肺・大腸/辛味/悲しみ
水(すい)→ 陰中の陰:冬/黒/腎・膀胱/塩辛さ/恐れ
※陰陽挟雑とは…陰と陽が混じり合ったカオスの状態
「陰陽」という文字を見ただけでも、陽は明るく温かいイメージ、陰は暗く冷たいイメージを持たれる方が多いだろうと思いますが、五行はそんな陰陽のバランスによって5つに分類されています。
<陽中の陽(ようちゅうのよう)>、つまり陽が極まっている「火」の季節が夏であり、反対に陰が極まった<陰中の陰(いんちゅうのいん)>である「水」が冬を象徴しているというのは、四季の中で暮らす私たちにとって馴染みやすい考え方でしょう。
また上の五行の一覧で、「土」の象徴する季節として土用が挙げられています。
土用というと、いわゆる「土用の丑の日」として知られている夏の土用が有名ですが、季節の間には必ず土用という期間が存在します。ですので、1年間に4回土用の季節がやってくるというわけです。
土は陰と陽が混じり合い、全てのエネルギーが存在するカオスな状態。つまり季節の変わり目を指しています。
土用は体調が揺らぎやすいので、東洋医学では、胃を休めるために暴飲暴食を控えることが大切だといわれます。また、土からエネルギーを受けやすくなるので、庭のお手入れなど土いじりは避けた方がいいという話も。
どれも四季の移り変わりがある、東洋ならではの思想ですね。
十干・十二支について
さて、五行(木・火・土・金・水)はそれぞれ、更に陰と陽に分けることができ、以下の図のようになります。これが十干(じっかん)と呼ばれるものです。
木 | 火 | 土 | 金 | 水 | |
陽 |
甲 (こうぼく ・きのえ) |
丙 (へいか ・ひのえ) |
戊 (ぼど・ つちのえ) |
庚 (こうきん ・かのえ) |
壬 (じんすい・ みずのえ) |
陰 |
乙 (おつぼく ・きのと) |
丁 (ていか・ ひのと) |
己 (きど・ つちのと) |
辛 (しんきん ・かのえ) |
癸 (きすい・ みずのと) |
また、四柱推命で使用する十二支も、この五行に分類することができます。
木にあたる十二支が【寅・卯】、火にあたるのが【巳・午】、土にあたるのが【辰・未・戌・丑】、金にあたるのが【申・酉】、水にあたるのが【亥・子】です。
四柱推命の命式は、これら陰陽五行から生まれた十干と十二支で成り立っており、それらが持っている質、陰陽のバランスや力関係によって、私たちが生まれ持っている才能や人生の流れ、現在の運気などを診ていくことができるのです。
気質・体質を調べてみよう
ここで陰陽五行のバランスを用いた、簡単な気質・体質のチェック方法をお伝えしましょう。
例えば、これを書いている今(2020年5月25日 15:50 福岡)は、このような命式となります。
この日、この時間に生まれた方がいたとして、この人の気質や体質はどんな感じかな?と見たとき、陰陽五行を用いて簡単にチェックする方法があります。
それは命式中の十干と十二支をみて、どの五行が多いかを調べる方法です。
例えば、この命式の天干に土(戊・己)が1つ、金(庚・辛)が3つありますね。そして地支には、火(巳・午)が1つ、土(辰・未・戌・丑)が1つ、金(申・酉)が1つ、水(亥・子)が1つです。
合計すると、木がゼロ、火が1つ、土が2つ、金が4つ、水が1つ。温かい陽のエネルギーを持つ木と火に比べて、冷たい陰のエネルギーを持つ金と水が多いのがお分かりかと思います。
陽にあたる木・火の十干・十二支が命式に多い方は、大らかで楽観的。体温は高めで血液循環が良く、一方で便秘になりやすいかもしれません。
逆に陰にあたる金・水が多い方は、知的で用心深くクール。体型は細身である傾向にあります。酒豪が多いという話も!
みなさんはどちらに当てはまりそうな気がしますか?
実は命式の中にとある組み合わせが存在すると、これらの十干・十二支の五行が変化する場合があったり、生まれた季節にも影響されたりするので、これだけでは一概には言えませんが、ご自身の思考パターンや体質を垣間見ることができるかと思います。
ご自身の命式を調べるには無料のサイトなども多くありますので、ぜひ四柱推命に触れてみてくださいね。
城戸亜輝子 のプロフィール

会社員時代、セルフケアのために学んだアロマテラピーの奥深い世界に魅了され、本格的にアロマセラピストの道へ進むことを決意。
2008年から約5年間、福岡市内のリラクゼーションサロンにてリフレクソロジーや整体、ロミロミなどを通し、のべ7,000人以上のお客様のボディケアを担当。
その後、自分の今後を悩み始めたタイミングで、イギリス発祥のオーラソーマ®と再会。サロンの店長として日々奮闘する傍ら、オーラソーマの探求をスタートする。
より自分らしい生き方へとシフトさせてくれたオーラソーマの魅力、そして、体だけでなく心をケアすることの大切さをもっと伝えていきたいと、2013年5月【Kwan-Yin クワンイン】をオープン。
5周年を迎えた2018年5月、結婚という転機を迎えて自宅サロンとして再出発。
「心身両面、そして魂からの歓びと幸せをサポートする」という想いは変わらず、新たに四柱推命や陰陽五行を取り入れたメニューを提供中。
ホームページ→ https://www.kwan-yin.jp