2020.8.21
私という種を育てるように生きる『私らしく生きるための東洋の智慧(連載第五回)』

立秋が過ぎ、暦の上ではすでに秋がスタート。
ひと昔前までは「お盆が過ぎたら、風から秋を感じるようになる」とよく言っていましたが、まだまだ夏真っ盛りですね。
今年はいつもと違う夏。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
変化を受け容れて生きる
前回の記事で「ペルソナではなく、私の本質を生きること」、そして「私だけの幸せを見つけること」の大切さについてお伝えしました。
自分らしく生きること。
それは私たちが、のびのびと輝いて生きる上で欠かせない要素であり、四柱推命だけでなく、様々な分野で語られていると思います。
しかし四柱推命の視点では、自分らしさを生きた上で、その「らしさ」にしがみつくのではなく、変化していく自分自身を受け容れていくこともまた、幸せに生きるための秘訣なのです。
三つ子の魂百まで~大運の初旬
ここでは何度かお話していますが、四柱推命で分かることは大きく分けて二つあるといわれます。
それは「人生の初期設定」と「人生のタイムスケジュール」です。
私たちが生まれもった基本命が示しているのは、前者の人生の初期設定です。
そして、大運と呼ばれる10年周期の運気の流れ、また流年・流月・流日といった刻々と巡っていく60通りの干支が私たちの基本命に影響を及ぼし、これらによって人生のタイムスケジュールが組まれていきます。
大運では流年・流月・流日同様に、60通りの干支が巡ります。
五行の【木・火・土・金・水】は、それぞれに【春・夏・土用(季節の変わり目)・秋・冬】という季節に象徴されますが、大運にも同じように季節があり、どの干支/季節で始まるのか、何歳から大運の影響を受けるのかは、人によって様々です。
大運がはじまるのは0歳から10歳の間で、その一旬目のことを「初旬」と呼びます。
この大運の初旬は基本命同様、私たちの人生を診るにあたって、とても重要であると考えられています。私たちの基本命、つまりは生まれた年・月・日・時間の四柱、そして大運の初旬の干支とを合わせて「五柱推命」と呼ばれるほどなんです。
大運の初旬には、幼少期に周囲からどのような影響を受けて育ったのかが表れるので、それが私たちの人生にどれほどの影響を及ぼすのか、想像に難くないと思います。
「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、この四柱推命の視点とも通じるところです。
ここで大運の初旬が与える影響を実感した私自身のエピソードを。
私の基本命には、五行の「土」がありません。
私にとっての土は、勉強や学ぶことと関係しています。このように書くと一見、とても勉強嫌いの人に見えますよね(笑)ですが、小さい頃からずっと学ぶことは大好きです。
実は私の場合、大運の初旬でこの土が巡ってきます。
思い返してみると、私の母方の祖父が書庫を持つほどに大の本好きで、その影響を受けた母は読書が大好きだったのです。そして、父もジャンル問わず、常に何かしらの本を読んでいる人でした。
このように、小さい頃から本のある生活が当たり前の家庭で育ったので、読書も学ぶことも大好きな子どもに育った私。大運の初旬について知ったときは、とても納得でした。
後天的に身に着けていくチカラ
私たちは日々生きていく中で、大運という10年毎に移り変わる季節、そして日々巡っていく干支から、木・火・土・金・水すべての五行を自分の中に取り込んでいきます。
例えば、私の基本命には先述のように「土」だけでなく「水」もないのですが、今はその水の季節の大運を過ごしており、ここで水の気(エネルギー)を自分のものにしていくというプロセスを歩んでいます。
自分の基本命にはない五行が大運や流年で巡ってくるときは、それによって五行の流れが生まれ、バランスが整って物事がスムーズにいく可能性があります。
または逆に、なんだか違和感を感じたり、苦手なことや困難が巡ってきたり…ということも。
でもそれは単に「その五行に慣れていない」から、というだけなんです。
四柱推命には下記の【五原則】という要素があり、私たち個人と社会との関係を表します。
◎洩気(生み出すもの、アウトプット、自己表現、アイデア、行動、子ども)
◎財気(財、健康、ファン、形にする力、男性にとってのパートナー)
◎剋気(社会や周囲から求められるもの、仕事、役割、女性にとってのパートナー)
◎生気(インプット、学ぶこと、思考、母親)
これら五原則はそれぞれ五行と対応しているのですが、日干がどの五行にあたるかによって対応するものが変わります。下記の図は日干が陰の金、つまりは辛(しんきん)である私の例です。
私は土と水を元々持っておらず、水は特に大運の初旬でも巡ってこないので、洩気を後天的に身に着けていく必要があるといえますね。
単純に、この五原則に当てはまる五行が多ければいい、ということではありません。ただ、すべての五行があり、その数値がすべてバランスの良い状態だと、人生がスムーズに進みやすいといわれます。
私のように生まれもった五行に偏りがある人の場合、個性が際立っているのが強みですが、それと同時に、後天的に身に着けていった方がよい要素もまたあるということ。
例えば、基本命に剋気がない人は、それにあたる季節が巡ってきたときに、社会に適合する力や求められることに応える力を鍛えられる出来事に出会う可能性があります。
また財気がない人は、目標達成のためにコツコツ努力する力を身に着けていく必要性を、人生の中で実感するかもしれません。
私たちはもちろん、各々に得意分野と苦手な分野をもっています。
でも、それは私たちのもつ本質とは実はあまり関係なく、これまでの経験によって作られた、思い込みによるものの方が多い気がしています。
単にそれらの力を伸ばすチャンスが、幼少期になかったからかもしれませんし、練習すれば身に付くことも多いです。
平仮名ひとつとっても、みんな最初からスラスラ書けたわけではなく、繰り返し練習したからこそ読み書きができるようになったのです。
最初からスムーズにできることよりも、できるようになるまで時間を要したことの方が、結果的に得意になることだってありますから。
せっかく良いアイデアを沢山持っていたとしても(洩気)、それをカタチにする力(財気)がなければ、その才能はなかなか日の目を見ないかもしれない。
学ぶことが大好きだったとしても(生気)、アウトプット(洩気)するのが苦手だと、せっかくの知識が活かされないかもしれない。
そのように後天的に巡ってくる五行や五原則というものは、私たちが生まれながらにして持っている才能を活かすために、足りないところを育ててくれるもの。
こんな風に捉えると、チャレンジのように感じる出来事もまずは受け容れて、ちょっと頑張ってみようかな、と思えるのではないでしょうか。
人との出会いだって同じで、今まであまり身近にいなかった、むしろ苦手だったタイプの人が、あなたの人生を変えていくキッカケになるかもしれません。
実は四柱推命では、陰極まれば陽となるように、「その五行がない」ということは「無限大」「底がない」のだともいわれます。
わかりやすい才能よりも、潜在的に持っている力にこそ、何か大切な宝物が隠されているのかもしれません。
ときには「私らしさ」を手放してみよう
私らしく寛いで生きること。それは幸せに生きるためのキホンです。
ですが、「らしさ」にこだわりすぎて、苦手なことや未知のものから遠ざかってしまうと、自分にとって嬉しい変化さえ生まれなくなってしまうことも。
過去の自分像を握りしめて変化を拒むよりも、まだ知らない自分をワクワク楽しみながら生きる方が、なんだか可能性がどんどん広がるイメージが湧きませんか?
好きなものや行動パターンが変わっても、あなたという生まれもった種は変わりません。
その種が美しい花を咲かせられるように、美味しい実を付けられるように、季節に合わせて水やりをしたり肥料をあげたり…。四柱推命を通して、私たちがそんな風に自分自身という種を大切に育てられたら良いな、と思います。
城戸亜輝子 のプロフィール

会社員時代、セルフケアのために学んだアロマテラピーの奥深い世界に魅了され、本格的にアロマセラピストの道へ進むことを決意。
2008年から約5年間、福岡市内のリラクゼーションサロンにてリフレクソロジーや整体、ロミロミなどを通し、のべ7,000人以上のお客様のボディケアを担当。
その後、自分の今後を悩み始めたタイミングで、イギリス発祥のオーラソーマ®と再会。サロンの店長として日々奮闘する傍ら、オーラソーマの探求をスタートする。
より自分らしい生き方へとシフトさせてくれたオーラソーマの魅力、そして、体だけでなく心をケアすることの大切さをもっと伝えていきたいと、2013年5月【Kwan-Yin クワンイン】をオープン。
5周年を迎えた2018年5月、結婚という転機を迎えて自宅サロンとして再出発。
「心身両面、そして魂からの歓びと幸せをサポートする」という想いは変わらず、新たに四柱推命や陰陽五行を取り入れたメニューを提供中。
ホームページ→ https://www.kwan-yin.jp